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「美しい」の研究報告(4月)

見たり、触れたり、味わったり。日常の中で感じた「美しい」を掬い上げ、それについて研究した内容を綴る、日記に近い研究報告です。「美しい」ってなんだろう?そんな曖昧な感覚について深く考えてゆきます。

Taste

人気店の最後の味

二甲料理店

4月末で閉店の「二甲料理店」へ友達と行ってきた。
二甲料理店は大阪・新町にある西洋料理店。細い路地を抜けた先のビルの1階に佇むその場所は、味はもちろん雰囲気も心地よく、センスも良い。飲食系雑誌では「センスのいい酒場」として取り上げられたりしていた。そんな飲食店はすぐに人気者になり、過去何度か足を運んだときは大体満席で入れない。とっても繁盛しているお店。そんなお店が3年の月日を経て4月末で閉店した。今後は飲食のコンサル会社を立ち上げ、別の飲食店として姿を変えて営業するらしい。「あの人気店が?」と、とても驚いた、そして潔いなと思った。新しい挑戦をするために、たとえ人気でも多くの人に求められていても意志を持って手放す潔さ。ついつい人は「辞めること=負」という風に捉えがちだが、より強くなるために手放す、辞めてみる、という思い切りの良さが挑戦の後押しになるケースも多い。地球の水が穏やかに循環を繰り返すように、手放した場所に新しいチャンスが巡ってくる。そう考えたときに、二甲料理店の閉店は実に美しく逞しく感じたのだった。

二甲料理店のビシャカツ。最後まで美味しかった。

☑二甲料理店
https://www.instagram.com/nikoh_ryoriten/




Place

オリジナルが集う空間

4月某日、 東京・六本木にある21_21 DESIGN SIGHTにて開催中の「The Original」へ行ってきた。

何がオリジナルか分からない現代。真似、オマージュ、コピー…そんなオリジナルを模倣したものが溢れる中で、改めて「オリジナル」と呼ばれるものを集め、オリジナルの素晴らしさや歴史に触れることで新時代の物作りに繋がるように。そんなコンセプトで開催された展示。産業革命、アートアンドクラフツ運動、第二次世界大戦。歴史的な出来事の裏では、いつも新しい発明が生まれその次代をより良く生きていくための物作りが生まれる。そんな歴史をたどりながら、その歴史の中で生み出された「オリジナル」を目の前に「オリジナルって何だろう?」とそんな問いを心の片隅に置きながら巡る時間。物作りの本質と「オリジナル」を生み出すというロマンスに溢れていて、かなり刺激的だった。

「オリジナル」と言うと、4月末に訪れた東京都現代美術館で開催中のDior展も素晴らしかった。トルソーに着せられた美しいオートクチュールのドレス。一つ一つ丁寧に仕立てられたドレスは近くで見てもその美しさに感動するが、遠目で見ても本物のエネルギーを全てのドレスが纏っていて、刺激的な空間だった。

Dior展での一枚

街中をウィンドウショッピングしていると「あ、〇〇っぽい」と思ってしまう何かのオマージュ、コピー、真似た商品が溢れている。オリジナルでない商品が沢山並ぶ光景は、現代では当たり前のこと。複雑な反面、憧れの「〇〇っぽい」商品を安価に入手できることに喜ぶ自分もいる。文明が進化することは素晴らしいこと、だけど常にオリジナルや本物に触れる意識は持ち続けたい。

☑”The Original”
https://www.2121designsight.jp/program/original/

☑”クリスチャン・ディオール、 夢のクチュリエ”
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Christian_Dior/




Time

運転練習を口実に

私は毎月1回、家族に自動車運転の練習に付き合ってもらっている。

ペーパードライバーな私。2月から始めて現在3ヶ月目。(一応)夏頃には一人で四国をドライブできるようになることを目標に練習をしている。徐々に運転が上達することも嬉しいのだが、月1回家族とまったり過ごす休日が好きだったりする。しかし、過去を振り返ると、家族仲はそんなにいい方ではなかった。毎日ケンカしてたし、学生時代の私の口癖は「早く家出たい」だった。社会人になり、一人暮らしを始め、社会の苦楽を味わい、やっと家族との心地よい関係性を築くことができるようになってきた気がする。人間は変化し続ける生き物。昨日の自分と今日の自分は違うし、それは親しい人にも言えること。変化を受け入れ、変化と共に関係性も緩やかに形を変えていく。運転練習を口実に、どんな形が心地よいだろう?と今月も思いを巡らせた。

先月の家族で見に行った、京都の椿。




Book

強い文脈と弱い文脈


4月はコンテクストデザインを読んだ。『コンテクストデザインとは、それに触れた一人ひとりからそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」の取り組みや現象を指す。』(本書より引用)良い映画は、複数の解釈や感想が生まれるように、それに触れた一人ひとりが語り部として物やブランドを語りたくなるよう補助線を引く作業がコンテクストデザインでは行われる。本書の中で、「強い文脈と弱い文脈」という表現が出てきた。強い文脈とは、作者が作品に込めたメッセージやテーマのことで、弱い文脈とは、読み手一人ひとりの解釈や読み解きを指す。強い文脈or弱い文脈ではなくて、この2つが両立することで時代を超えて語り継がれるような物作りに繋がる。作品に触れた読み手が主役となって語り部になるためのはどのように補助線を引いていくのか?エピソードを交えて展開されていてとてもわかり易かったし、正解に溢れた世の中で受けてを中心に据えて解釈の余地を作るコンテクストデザインはとても美しいデザインだなと感じた。

☑「CONTEXT DESIGN」渡邉康太郎著
https://aoyamabc.jp/products/context-design

☑渡邉康太郎さんのnote
https://note.com/waternavy/n/nba719b704057




Other

フォトサービスを立ち上げた

4月、新年度のバタバタの波に飲み込まれぬように友達とフォトサービスを立ち上げた。

Theatre B

「Theatre B(シアタービー)」
オーダーメイドフォトサービスで、その人らしい雰囲気やスタイリングをプロデュースし、プロフィール写真にも使える写真を撮影する。(サービス立ち上げの想いや秘話は後々どこかでお話ししたい…)

今まで個人プロジェクトとしてハンドメイドアクセサリーのブランドを一人で運営していたが、誰かと事を立ち上げるのはとても楽しい。一人では生まれないアイデアが生まれたり、一人ではやり切れないことも二人ならなんとかできたりする。そんな有り難い経験ができて嬉しい4月。まだまだサービスを大きくしていきたいし、本業の傍ら、遊ぶようにブランド作りを楽しみたい。

(応援よろしくおねがいします…!)

☑Theatre B(予約サイト)
https://mosh.jp/services/118580


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