SAP CO用語集

一応、私が最も得意としているモジュールです。ただし、S/4の時代になってからは、SACや、SAP以外のEPM(Oracle, Tagetikなど)を使って管理会計を運営する企業も増えているため、CO単独のコンサルタントよりも、EPMもできるようにしておかないと苦しくなります。そして、COコンサルタントは、前提として「予算(計画)」と「実績」の区別を理解する必要があります。予算の話をしているのか、実績の話をしているのか、区別できるようになりましょう。

・管理領域
管理会計を実施する単位です。複数の会社コードを割り当てすることも可能です。管理領域ごとに、SPROのカスタマイズもあります。

・分析対象
CO-PA(収益性分析)を利用する場合に使います。収益性分析を実施する単位です。複数の会社コードを割り当てすることも可能です。

・バージョン
管理会計は、「最初の予算」「見直し予算」など、複数の予算を管理する必要があるため、このバージョンで管理を行います。「0」が実績だったと記憶しています。

・原価要素
COで利用する勘定コードのようなものです。一次原価要素はFIの勘定コードと同一、二次原価要素はCOのなかだけで使用します。

・原価センタ
部署別などに原価(費用)を管理するコストコレクターの役割を果たします。実際の部署が存在しなくても、費用を集計する単位として原価センタを登録する場合もあります。一時的にその原価センタに集計して、その後、実際の部署の原価センタに配賦したりします。原価センタをまとめた原価センタグループというものもあります。

・利益センタ
原価センタとは異なり、収益も管理することができます。

・配賦と付替
一般的な会計用語とは違っているので注意が必要です。付替は、同一勘定コード(一次原価要素)で、金額をマイナスして、他のコストコレクターへ移します。配賦は、別の勘定(二次原価要素)を使用して、別のコストコレクターへ移します。なぜ、配賦などが必要なのかは、簿記の一般常識なので割愛します。

・活動タイプ
一般的には、工場での稼働時間を活動タイプとしてマスタ登録することが多いです。例えば、機械稼働や労働者の作業の加工時間単価を計算し、実際の稼働時間で掛け算して加工費を計算します。配分原価要素を登録しておき、その原価要素に金額計上されるようになっています。加工費の配分は直接活動配分、間接活動配分、テンプレート配分などがあります。

・分割
活動タイプにまだ紐づけされていない費用を、分割によって活動タイプに紐づけすることができます。これで、活動単価が決まります。

・統計キー数値
部署の人数や、部屋の面積などを登録しておいて、配賦の基準に利用するマスタです。

・実績転記と統計転記
COの世界では、実績転記と統計転記の違いがあることを覚えておきましょう。実績転記は本当にそのコストレシーバに転記された費用です。しかし、統計転記は参照(参考)目的に転記されたにすぎないものです。なので、実績転記された費用はほかのレシーバに配分することが可能ですが、統計転記の場合はできません。実績転記できるレシーバは一つだけです。

・勘定設定初期値(OKB9)
原価要素ごとに、どの原価センタ(内部指図)に転記するか、初期設定を行うことができます。どのレシーバに転記されるかは優先順位がありますが、「忘れました」。先輩コンサルタントか、Googleで調べてください。

・内部指図
原価センタは一般的には部署別に費用を管理するコストコレクターですが、内部指図は、部署では管理できない費用を管理します。例えば、イベントや、研究開発プロジェクトなどです。ソフトウェア開発のプロジェクトなどは、完成後、無形固定資産としてFIに決済することもできます。

・標準原価
一般的には、BOMと作業手順で決まります。BOMは部品表とも呼ばれ、完成品をつくるのにどのような部品構成が必要かが定義されています。作業手順は、ある製品をつくるのにどのような作業工程が必要かが定義されます。標準原価を積み上げしたのち、マーク・リリースすることで品目マスタに記録されます。標準原価はあくまでも「目安」であり、実際の原価とは異なることに注意が必要です。月次決算で標準原価と実際原価の差異計算をして、実際の原価を算出します。

・製造指図
製造指図は、ものをつくるための指示書のようなものです。また、コストコレクターとしても機能します。製造指図は一般的には計画手配から変換されてつくられます。

・品目元帳
品目元帳を使わないと、標準原価と実際原価の差異を配分するのは、アドオンか手作業になります。品目元帳を使えば、自動的に毎月、品目別に案分してくれます。売れ残っている在庫への案分と、売れたものには売上原価として案分します。品目元帳は利用している会社が少なく、ISIDかどこかのデータでは、25%程度のようです。

・収益性分析(CO-PA)
P/L(損益計算書)を多角的に分析するためのモジュールです。EPM製品がメジャーになる前は、このCO-PAが損益分析の主要ツールでした。特性と値項目で構成されます。特性は、見たい分析軸です。例えば、品目別に収益と原価を見たい、などです。値項目は、売上や費用のことです。販売費、売上原価などがあります。CO-PAで特性誘導やExitを多用すると、それだけロジックが複雑になって、何か不具合があったときに特定しづらくなるため、個人的な見解としてはあまり推奨できません。特性誘導はまだマシですが、ExitはABAPのロジックなので、ソースコードを詳細に見たり、デバッグしないと不具合分析ができないこともあります。SD、MM、PPなど数多くのモジュールからデータが流れてくるため、それなりに他のモジュールの知識もないと、CO-PAコンサルタントは務まらないです。


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