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また生物部がやらかした!A-Levelを学ぶ編¦酵素2(生体分子#10 )

A-Levelは、世界で最も一般的な高校~大学1年レベルの知識を問う国際資格で、海外大学の入学要件としても広く用いられています(詳しくはこちら)。
このマガジンでは、A-Level Biology(生物学)の内容を、ポイントを押さえながら分かりやすく日本語で説明しています。
英語でA-Levelを学ぶお供、社会人の学び直しなど、いろいろな用途で使うことができます。
途中からでも、最初からでも、ぜひ読んでくださいね!目次はこちら
もちろん、日本の高校生物・生物基礎の内容にも対応させています!

こんにちは!
ちょっと長めの休暇が欲しいこの頃。。
うつらうつらしてしまいます…。。
ハッ、、、!!ダメだ、ダメだ!集中!

今日も酵素のお話です!
始めていきましょう!!!


酵素は結局どうやってはたらくの?

現代の生物学では、酵素のはたらきが広く理解されていますが、、これらは多くの科学者の方々の研究の賜物(たまもの)!
幾度の失敗を繰り返し、新事実が発見されるたび、これまでの理論の再検討がなされてきました。
その中で、酵素についての理解も、時代とともにゆっくりと変化してきたのです。
その過程を少し辿ってみましょう!

研究活動は大変だけど、楽しいよ!

★「鍵と鍵穴」と「誘導適合」
酵素は、酵素の活性部位に適合した基質でなければはたらきません(基質特異性)。
そこで当初、酵素のはたらきのモデルとしては、「鍵と鍵穴」モデルが考え出されました。
「鍵と鍵穴」モデルでは、活性部位と基質がお互いに補い合うような形(相補的)をしているということを示されています。

しかし研究が重ねられる中で、「錠と鍵穴」モデルでは全ての現象の説明がつかない事が分かってきました。
実は、酵素は基質と完全に結合し固定するために、少しだけ形を変える事が明らかになってきたのです。
そこでこれを解決するために「錠と鍵穴」モデルの代わりとして「誘導適合」モデルが考え出されました。

左が「鍵と鍵穴」モデル。右が「誘導適合」モデル。酵素(Enzyme)の活性部位の形に注目!

「誘導適合」モデルでは、基質が活性部位に適合しているだけでなく、活性部位の形状を変化させることが示されています。
現在は誘導適合モデルは広く認知されています。
ちなみに誘導適合は全ての酵素で見られる訳ではないので、そこは注意しておきましょうね。



酵素の特性を決めているのは、結局何?

酵素がどういった特性をもっているかは、活性部位の形がどのような基質と相補的であるかによって決まっているので、三次構造が酵素の特性を決めていると言えますね。
でも、酵素の三次構造はアミノ酸配列、つまり一次構造によって決まるので、酵素の特性を決めているのはその一次構造である、とも言えます。
もっと言うと、一次構造を決めているのは遺伝子なので、結局は遺伝子が酵素の特性を決めている、とも言えますね。

突き詰めれば、遺伝子によって酵素の特性が決まっていると言えますが、なぜそう言えるのかについて、しっかりと説明できてほしいところ!

さて、酵素の三次構造が変化すると、活性部位の形が変わって基質と結合できず、酵素がはたらけなくなります。
では、酵素の三次構造が変化するときって、どんな時だと思いますか?

以下に挙げてみました!

★pHの変化
アミラーゼはだ液の中に含まれていて、デンプンの分解を促進しますが、中性で最もよくはたらきます(最適pH)。
しかし、強酸性や強アルカリ性の下では、酵素の形が変わって(変性)、機能しなくなります(失活)。
一方で、胃液中に含まれているペプシンはむしろ強酸性の下でよくはたらくので、酵素それぞれに最適pHがあることが分かりますね。

酵素ごとに最適pHが異なるので、それぞれの酵素で青い縦線の位置が違います!

★高温
先ほど述べたペプシンは胃液中でタンパク質の分解を促進しますが、体温程度の温度の下で最もよくはたらきます(最適温度)。
しかし、体温をはるかに超える熱が加わると、これも酵素の形が変わって機能しなくなります。
一方で、高温の温泉中で生きる好熱菌の持つ酵素は、高温下でよくはたらくので、酵素それぞれに最適温度があることが伺えます。

同じく、酵素ごとに最適温度が異なるので、それぞれの酵素で青い縦線の位置が違います!0℃の時に酵素の反応が失われていないことに注目!

★遺伝子の変異
タンパク質の一次構造は、遺伝子によって決まっています。
しかし、何らかの原因で遺伝子の変異があった場合、酵素の三次構造も変わる可能性があります。

DNAの変化で、遺伝子の変化が起こり、それが酵素のはたらきを止めてしまう…。DNAについては、また今度学びましょうね!

これらの変化が起こると、もう元に戻って基質と結合することはありません(不可逆的な変化)。
一方で、例えば温度を冷やしただけでは、酵素の反応速度は落ちるかもしれませんが、特に活性部位の形は変化しないので、温度を元に戻せば、酵素のはたらきも元に戻ります。
つまり、酵素のはたらきが失われたとは言えませんね。
何をしたら、永遠に酵素がはたらかなくなるかを考えてみましょう!

高熱を加えると、もう元には戻らない…。


ということで、今回はここまで!
欧州-羽田間の飛行機の航路が北極に近くなって、オーロラが100%見れるってことだけど、、本当に!?
もしそれがほんとだったら、高いけど直行便に乗って帰るのもありだなぁ。どうしよう。
ではまた!^^


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