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ダブリナーズの魅力

今まで行った国の中で一番好きな国はどこかと聞かれたら、迷いなくアイルランドだと答えます。風景も食べ物も人も好き。とりわけダブリンの人たちはとても魅力的です。 今回はダブリンの人たちの特徴の中で、個人的に特に面白いと思うポイントを3つ紹介します。

1.挨拶の返事を待たない

初めてダブリンに着いた日、1人で通りを歩いていると反対側から歩いてきた男性が“Hi, How are you doing?”と声をかけてくれました。わあ、フレンドリーだなと嬉しくなって“Fine thanks, and you?”と答えようとしたんです。 でも、その人は私が”F”も発しないうちに視界から消えていました。 遠ざかる背中を見て、呆気にとられたのを覚えています。

それ以降、何人も同じ調子だったので、たまたまカフェで隣り合った人に「相手の返事には興味ないの?」と聞いてみました。その人は「そうだね。興味ないかも」と笑いながら教えてくれました。
最初は戸惑いましたが、ある意味いい習慣だなと思います。相手の反応を確かめないので「挨拶したのに無視された」と気分を害することもないですからね。
それでも、やはり挨拶は返したかったので、滞在中は自分から先に声をかけるか、せめて”Hi”だけでも相手が通り過ぎる前に言えるように心がけました。 もしかしたら地元の人たちは、そうやってるのかもしれません。


2.大通りでも平気で信号無視

ニューヨーカーが赤信号でも渡るのは有名ですが、そんなのは可愛いほうだと思えるくらい、ダブリンの人たちは凄まじいです。

もちろん全員ではないでしょうが、高齢の女性でさえ躊躇せずに渡っています。まるで敵陣をドリブルで突き進むサッカー選手のように、猛スピードで走る車を器用に避けてホイホイと渡るのです。市内には起伏の激しい道路もあって、渡りかけると突然車が現れたりするので怖いんですよ。それを渡ろうなんて命知らずだよなと思いますが、なかなか変わらない信号を待ってるのもつらいものです。

次々に道路の向こう側に行く人を目で追いながらなかなか踏み出せずにいる私を見て、後から来た人が「臆病者は信号を待った方がいい」と笑顔で言って渡っていきました。
臆病だとは思いたくないですが、マネをするのは断念したほうが良さそうです。

3.超辛口ジョーク

ダブリンの人たちはダークユーモアが好きなようで、一般的にタブー視されるような話題もネタにします。同じことを日本やアメリカで言ったら問題になりそうですが、それを笑いにできるところに人間的な成熟さや深みを感じます。

相手を笑わせるか怒らせるかの絶妙なラインを突いてくるのも上手いです。
人種ネタもあって、私も日本人を揶揄するジョークを言われました。恥ずかしながら私は寛大な人間ではなくて、失礼なことを言われたら相手が誰であろうと倍にして返すぐらいの気の強さも持っています。でも、そんな私でも不思議と傷つくとかムッとするということはなかったんですよね。
おそらく根底に悪意がないからでしょうか。アイルランドの国民は歴史的に差別に苦しんできた側です。相手の存在や人格を貶めるようなことは言わないので、どんなに毒舌でも笑い合えるのかもしれません。

私もお返し(?)としてアイルランド人に関するジョークを考えたのですが、そのギリギリのラインを見極めるのが難しくて口には出せませんでした。もっとよく観察して相手にインパクトと笑いを与えられるようになりたいです。

この3点は、あくまで私が観察した人たちや実際に交流した人たちを通して感じた印象です。ただ、生粋のダブリンっ子である友達に話したら「言えてるね」とウケていたので、ある程度は当てはまると思っていいかもしれません。


これを書きながら私の中のダブリン熱が再燃してきたようです。ちょっと風変わりで一緒にいると楽しい人たちに会うために、1年以内に再訪したいなと思っています。


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