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【映画のある日々】 『パスト ライブス/再会』

『パスト ライブス/再会』
(監督:セリーヌ・ソン、2023年)


お互いに淡い恋心を抱く少女ナヨンと少年ヘソンが、12歳の時にソウルで別れ、その後24年の時を経て再びニューヨークで巡り合うまでを描いた、セリーヌ・ソン監督の長編デビュー作品。

物語、映像表現、音楽、どれもが素晴らしい!また、私はこの作品の画面内の「余白」に魅せられてしまった。例えば、ノラ(ナヨンの英語名)とヘソンが24年ぶりにニューヨークで再会するシーン。このシーンではキャメラは引いた位置から2人を撮っていて、その周りには余白が生まれている。この余白は埋まりそうで埋まらなくて、ノラはカナダやニューヨークで、ヘソンはソウルで、それぞれ離れ離れで生きてきた時間の長さを感じさせる。この映画ではそうした余白も丸ごと大切にしていて、2人の再会を優しく丁寧に描き出している。

一つ一つの語り方が繊細でとてもよくできた、唯一無二の恋愛映画だ。

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