小沢茜

1988年生まれ 4歳児を育てつつ都内で働きながら小説を書いてます。ジャンルはヒューマ…

小沢茜

1988年生まれ 4歳児を育てつつ都内で働きながら小説を書いてます。ジャンルはヒューマンドラマ?

最近の記事

創作備忘録②作品を書き上げた後のメンタル管理

書くのは好きだ。小説であれエッセイであれ、文章表現という行為そのものが好きなので、ここ最近はほぼ毎日コツコツ作品を作っていた。書いているうちは、集中して創作の世界に没頭しているのが苦しいながらも心地良い。だが書く手が止まると、途端に苦しくなるのだ。 仕事、家事、育児の合間を縫って、時間を捻出し作品作りに励んでいるうちは良い。自分が書いているのがつまらないんじゃないかと疑いながらも、信じて前に進む。出来上がりを目指してひたすら書く。時々、他の優れたエンタメ作品をインプットしな

    • 創作備忘録①モチベーション維持

      本格的に小説を書くようになって三年目になった。仕事と育児、家事の合間に時間をみつけて、最初は断続的ではあったけれども、少しずつ小説を書くことが習慣化され、今では毎日小説のことを考えている。 なぜ書くのか。それは自分が好きだからに他ならなくて、書かずにはいられない情熱があるからだと思う。文章表現をしたい気持ちが根元的にあるわけだ。書くことが好きだから書く。それだけのことなのに、書いている途中で才能という言葉に逃げがちになって、いちいち自分の首を絞めてしまうことが多い。 自分

      • 【短編小説】しおからい/アンチ家系ラーメン文学 15,482字

         今も覚えているのは太陽が沈む前の一瞬のきらめき。水平線に一筋、黄金色の光がパッと眩き、そして火を消すように夜を告げる。田んぼだらけの田舎で暮らしていた頃、空は広く、体全体がまるっと暗い藍色に飲み込まれる瞬間が好きだった。  大学を卒業して、もう何年経つだろう。上京したのは大学進学の時だから、東京暮らしももう慣れたもの。それでも丸の内地上三十階の労働監獄に一日十二時間くらい身体拘束されていると、太陽が今日も地球の裏っ側に沈んでいく瞬間を見て味わうような心の余裕などあるはずもな

        • 【短編小説】宇宙のファンタジィ/久しぶりに会った親友に宇宙装置を売られる話

          集英社 第227回 短編小説新人賞(オレンジ文庫)で「もう一歩」の作品に選出された作品です。 作品の中には色々な小ネタが仕込んであります。気がつくと一層楽しめるかもしれません。 ——————————————————————————————————————- 自宅アパートから出ると、東の空に満月が浮かんでいた。綿菓子のような雲が薄く月にかかり、冷たい夜風に吹かれて、一瞬の翳りをもたらした。年が明けて、一月も中盤。この頃が一年で最も寒い気がする。今宵は風が強く、気が狂った口笛みた

        創作備忘録②作品を書き上げた後のメンタル管理

          【短編小説】置き忘れた花束/ほろ苦い片想いのお話

          「本当に人の事、好きになったことある?」 その一言が、矢となって心臓に突き刺さる。本気で好きになった人。遠い昔、確かに好きだった人。南の島の海みたいに綺麗な笑顔が脳裏に浮かぶー。  高校時代、隠キャでもない、陽キャでもない、むしろ不思議ちゃんで誰も友達のいないポジションの私は、クラスの中心人物に恋心を抱いていた。ほろ苦い片想いの行き着く先とは。 【モノコン2023 文藝×monogatary.comコラボ賞】邂逅に参加した作品です。 もしよろしかったら、こちらからご覧

          【短編小説】置き忘れた花束/ほろ苦い片想いのお話

          【短編小説】コーヒーブレイク/コーヒー嫌いな私がコーヒー好きになった話

           深い眠りについていたため、物音がした時、自分がどこで寝ているか分からなかった。暗く深い無意識の海に沈んでいたのに、突然花火が上がって、勢いで水面に打ち上げられたような気分だった。目を覚ますと寝室が明るくなっており、目の前には恋人の亮介がいた。私は寝ぼけた目を擦りながら、黙って彼を見ていた。そうだ、鍵を預けているから好きに入って来れるんだった。彼と交際を始めて我が家に泊まることが頻回になったところで、私は心を許して鍵を預けてしまったのである。好きな時に来てとは言ったけれども、

          【短編小説】コーヒーブレイク/コーヒー嫌いな私がコーヒー好きになった話