見出し画像

ドッキリが裏目に!?アイドルの暴走とディレクターの苦悩物語

『ドッキリ連鎖』

私はテレビ局のディレクターだ。
仕事は好きだが、最近は視聴率が低迷している。
そこで、人気アイドルにドッキリを仕掛けるという企画を思いついた。
こわいヤンキーに絡まれるというものだ。
アイドルは驚いて泣き出すか、逃げ出すか、あるいはヤンキーに反抗するか、どれも面白そうだった。

しかし、予想外のことが起こった。
アイドルは豹変して殴るわ蹴るわでヤンキー役をボコボコにしてしまったのだ。
カメラはすべて回っていた。私はどうしようか迷った。
マネージャーさんに相談するとお蔵入りにしてくれと言われた。
そりゃそうだ。あんなかわいい子が鬼の形相でマウントポジションから顔面連打パンチ。
いくらなんでもギャップ萌えにはならない。

しかし、悪いことが起こった。

その様子を誰か通行人が撮っていて、SNSで拡散されてしまった。
どうするべきか?
なんとかしなくては。このままではマウントポジションアイドルになってしまう。

急遽、逆ドッキリにしようという案が出た。
私が仕組んだドッキリだったが、アイドルがヤンキー役をボコボコにして、私が驚くという逆ドッキリだ。

しかし、また悪いことが起こった。

ヤンキー役5人うち4人がケガした事実が出回った。
一人は頭を打ってまだ意識が回復していないらしい。
世間では憶測が飛んだ。
これは誰のせいなのか?そもそもディレクターに誰がドッキリ仕掛けられるんだ?このドッキリは誰が仕切ったのか?

もう何がなんだかわからない状態になった。

私は自分がこんな企画を考えなければこんなことにはならなかったと後悔した。
そんな中、私の前に現れた謎の男だった。

その男は、私にこう言ってきた。
タイムマシンでドッキリの前に戻らないか?

私はその提案に一目散に乗った。
これで元に戻れる、そう思った。
謎の男が言うには、タイムマシンには燃料が必要らしい。
今の現代だと200万かかるらしい。
私はすぐに支払った。

それ以来、その謎の男を見ることはなかった。

そう、私はだまされたのだ。
普段ならこんな単純な詐欺に引っかかるわけないのに。
そんな思いもあり、私は愕然とした。

そして200万がなくなったことを妻に詰められた。
真実を言っても何も信じてくれない。そりゃこの一連の話を信じる方が難しい。

そして妻は出ていった。

私はもう何もする気力がなくなった。
もう終わりだ。

そう思った瞬間。

「テッテレー」

妻の声だった。
ドッキリという札を持って帰ってきたのだ。

私は安堵の涙を流した。
妻は言った。「そんなことで私が別れるわけないでしょ」
私は心の底からよかったと思えた。
妻は続けた。「大丈夫。200万なんてなんとかなる」

??????????

そう、妻が出ていくというところだけドッキリだったらしい。
あとは妻は全く知らないとのこと。
結局、現実は何も変わっていなかった。

「もうマウントポジションアイドルでよくないっすか?」
そうマネージャーさんに言おうと思った。


今週のラジオトークのテーマ「ドッキリ」でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?