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吾輩は猫でR-犬神家の一族-

吾輩は猫でR。名前はM。
今夜は吾輩のご主人であるAkari姐が焼肉をたらふく食って苦しいとのた打ち回っているので、代わりに猫Mが弱輩ながらエッセイとやらを代筆することに相成った。
生暖かい目で見ていただければ、これ幸いでR。

「みいちゃん頼む! 代筆、頑張って」

吾輩に「頑張る」という人間的意識はない。
目の前のご飯に喜び、
くるくる動く猫じゃらしに興奮し、
寝たい時に寝、したくなったらトイレに出向く。
ただそれだけだ。

人間は頑張り過ぎだと常日頃思っている。
頑張って物事が好転するなら良いが、無駄な頑張りのほうが多いのではないかと吾輩は思うのだ。
時には自由気ままな猫を見習うといい。
人間のご立派な脳でこねくり回すと物事は無駄に複雑になる。
猫のように本能と直感で行動すれば、物事はシンプルだ。

シンプル・イズ・チョッキ、だったか?
いや、ちと違うか。

*****

さて、急に振られて何を書いてよいものやら。
ご主人は気に入ったドラマがあると、大きな四角い物体の前に椅子を置き、その上で正座をして観ている。
歓声を上げたり、拍手をしたり、泣き出したり、それはそれは忙しい。
ご主人は四角い物体が好きだ。
我が家には大きいのと小さいのがある。

大きい四角は、その中で人間たちが動いたり、草原や山や海、そのほか様々な地球の景色が映し出される。時々仲間の猫が映ることがあるが、その時は吾輩もちょいと興奮する。

小さい四角の前にはキーボードというのが置かれており、ご主人は目にもとまらぬ速さでカチャカチャと音を立ててそれを打つ。
大きい方と違って小さい四角の前にいる時のご主人は静かだ。
黙々と四角に向かって指を動かしている。

が、時々声を発することがある。

「犬神家の一族観よ!」

突然発せられたその言葉を、吾輩は聞き逃さなかった。
どうやらまたあの映画を観るようだ。

ご主人は気に入った映画を何度も何度も観る。
「犬神家の一族」は吾輩も一緒に拝見した。
だから今はこうして「犬神家の一族」と変換できるようになったのだが。

最初にそのタイトルを聞いたとき、
吾輩の体毛は一気に逆立ったのであった。

「犬が三毛の一族」

想像しただけで身の毛もよだつ。

三毛は猫の特権である。
それを犬貴なんぞに持って行かれては、たまったものではない。

ちなみに三毛のオスは滅多にいないというのはご存じか?
三毛のオスは1000匹に1匹程度しかいない。それはそれは希少価値なのだ。
その三毛のオスを船に乗せると遭難しないという伝説があり、江戸時代には高値で取引されていたという。

しかし、残念ながら吾輩は二毛のメスでR。

(2016年5月作)

*****

このエッセイは、2017年に17歳で虹の橋を渡っていった愛猫みいちゃんが書いてくれたもの。茶白の可愛い相棒でした(*^^*)
猫Mの代筆エッセイ、まだいくつかあるのでUPしていきます♪

みいちゃん


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