見出し画像

男はみんな女から生まれている

半年以上左手首にしていた、友人からのもらいもの、美しくカットされた薄いあめ色のチャームがなくなっていることに気づいた。

手首にあったのは赤い糸だけだった。

それは友人がフランスのマドレーヌ寺院で
手に入れたものだということだけおぼえていた。
世にもおいしそうな名前だったので。

なぜか気になり、パソコンで検索をしたらMadeleineという言葉がフランス語で「マグラダのマリア」を指すことを知り、深いところがゆらっとしたのを覚えている。

マドレーヌ寺院の守護聖人は、聖女マグダラのマリア。とりたてて詳しいことを知っている訳ではないけれど、わたしにとっては重要なシンボル。

だいたい、男たちに「娼婦」と名付けられた女性たちが実際、"真実"として「娼婦」だったことがあるのだろうか?

わたしはこのことを考えると、あまりにもバカバカしくて笑いでお腹がよじれそうになる。

女性をおとしめるにはこの言葉が一番てっとりばやい。そんな思考停止の安直さが、わたしを心から笑わせる。その昔、問題になった議会のヤジと同じだ。"ねんごろ"と一緒。

娼婦に憧れながら、さげすみ、自分の安全さを保とうとする男のちっぽけなプライドと恐れを、わたしは愛する。

本当のことに気づく力、感情の泉、まわりを巻き込み、包む、制限のない器。

自分たちにはない、女固有の能力がこわいのだ。戦って勝てる相手ではないことはわかっているのだろう。だからおとしめたり、奪ったりしてとりあえず気を休めてきたのだろう。

それが世界中でおこってきた女権社会から男権社会への転換のあらまし。
文字にも明確には残っていない、もはや神話レベルのおはなし。
でもそれがあったのは本当のことだ。
それがいまの社会のありようの一部だ。

だからといって、侮辱しおとしめることで
自分より無理矢理下に位置づけて
安心しようとするやり方は、お利口ではない。
こわい相手は、味方にするのが一番なのよ。
自分よりあきらかにうわてな相手には小細工なんて通用しないのよ。

ただ、素直に抱かれればいい。
そんで泣きたかったら泣いて笑いたければ笑ったりすればいい。
そんで喜ばせたいなって思ったら、思いっきり喜ばせたらいい。

こどものときってそうじゃなかった?

この世の男は全員、女から生まれているんだぜ。

男が主導して何百年、何千年かけてつくりあげてきた概念に男たちがひいひい辛そうにしているのをみるのはまったく忍びない。

あるテレビ番組で、20代のりゅうちぇるが自分で服のボタンをつけたり、少しでも時間ができたら仕事の合間に家に帰って育児を手伝ったり、慣れない料理をやり始めたと発言すると、女性たちは素晴らしいと目を輝かせ、50〜60代の男性タレントたちがそんなのありえないとばかりに、「料理は結婚する前に習っておいてほしい」「男は女に甘えたい生き物なんだよ」などとブーブー言うのを見て、めちゃくちゃ笑った。

ここ20年の変化は想像以上だ。本当にいい時代がやってきている。人類の進化は、実に目覚ましく喜ばしい。
願わくば、わたしを含む旧時代の人間たちが未来を担う人たちを阻害せず、励まし、見守り、舵取りをどんと任せるのがいい。スムーズな移行を望むばかりだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?