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料理を科学するレシピ集 「調理科学のなぜ?」

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。
今回のテーマは「#このレシピが好き」です。

今回のテーマ「#このレシピが好き」を直感的に捉えるなら、「美味しい」とか「柔らかく作れる」とか、そういったことを目的とした材料及び工程をイメージするかもしれません。前の記事で彩音さんもいくつか紹介していますが、そういったレシピブックは読んでいるだけで本当に楽しくなりますよね。

僕も肖って、あるレシピブックを紹介したいとおもいます。その本とは、女子栄養大学名誉教授である松本仲子著「楽しい食品成分のふしぎ 調理科学のなぜ?」です。

実はこの本、レシピを書いてあるのですが、その横に実験と書いてあるのが特徴です。以下にいくつか例を書いてみます。

料理名:アジの酢じめ
材料:アジ、塩、酢、みょうが、青じそ、しょうが
作り方:あーだこーだ(詳細は本を読んでください)
実験:アジを酢じめにするとき、酢につける前に塩をするかしないかによる食感の違いをみる
解説の概要:魚の酢じめは、タンパク質が酸で凝固する性質を利用して身を引き締める料理で、青魚を使用する。塩をしないで酢につけると、タンパク質(ミオシン)が水分を吸収するためかえって柔らかくなる。塩をつけることでアクトミオシンという別の物質になるため、水分を吸収せず身が引き締まる。

料理名:ホットケーキ
材料:薄力粉、ベーキングパウダー、砂糖、卵、牛乳、バター
作り方:あーだこーだ(詳細は本を読んでください)
実験:薄力粉に加える水分を牛乳にするか水にするかで、焦げ色の違いを見る
解説の概要:アミノ酸と糖が共存するとアミノカルボニル反応が起き、メラノイジンという褐色の物質が発生する。(北京ダックに水飴をかけて美しい焼き色をつけるのもこの反応)それに牛乳の乳糖のカラメル化も加わることから、牛乳を加えたほうが焦げ色がつきやすい。

料理名:茹でレンコン
材料:レンコン、酢
作り方:レンコンを茹でる
実験:レンコンを茹でるとき、酢を入れるか否かで色を比較する
解説の概要:レンコンに含まれるフラボノイドという色素は、酸性では無色あるいは白色、アルカリ性で黄色になる。レンコンは酢を加えて茹でると白くなり、酢を加えないで茹でると黒ずむ。
レンコン、ゴボウ、サツマイモ、モヤシなどは鉄鍋で長時間加熱するとフラボノイド系色素が時間をかけて鉄と反応し緑〜黒っぽく変色する。避けたいときはステンレス、アルミ、ホーロー鍋を使用する

このように、あらゆるレシピでうまくいくコツとそれをしなかったらどうなるか、というのを実際に実験しつつ、その理由を解説してくれる本になります。

僕みたいな人間は「レシピで手順を書いてあるけど、やらなくてもいいなら(メンドイから)省きたいなぁ」と考えがちなので、「あぁなるほど、この手間はこういった目的があるのね」と納得できるのが気持よくて好きなんです。

また、子供と理科の実験をするのに丁度いいネタ集としても良いと思っていて、「身の回りのすべてのものに科学は入り込んでいるんだよ」「対照物を作って比較をしたならば、それは立派な実験だよ」ということを、一緒に料理を作ることで体験することが出来ると思っています。

いわゆるレシピブックとは趣が異なりますが、料理全般に応用が効く本なので、本棚に一冊いかがでしょうかー。

(タイトルの画像はAmazonより引用)

記事:アカ ヨシロウ
編集:真央

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