小説『雨下の向日葵』 2018年春―①
カレンダーをめくるのを忘れていた。気付いたと同時に自分のだらしなさに嫌気がさした。今朝方から続く憂鬱な気分もそれを手伝って、私の気分は一層深く沈んだ。丁度夕食を終えたタイミングだったので、面倒臭さを感じつつも立ち上がり、隣の部屋に移動して、壁にかけたカレンダーの一ページ目をつまんだ。四月のページの上半分には、澄み切った青空と、その下で桃色の袖に包まれた手を広げる満開の桜の写真が載っている。どこで撮られた写真かは知らないけれど、写真の桜も、今頃はこの近所の公園のそれと同じよう