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パンの食べごろ ①

こんばんは。
読むこと、書くこと、食べることが大好きな
ひらさわあけみです。

私は、和食派の人間です。

作るたびに、
「炊きたてのご飯は最高」
だと思います。

それと同じで、パンも焼きたてが一番おいしいと思っていました。

ところが、パン屋さんの店員さんに言わせると、「必ずしもそうとは限らない」らしいのです。

焼き上がったばかりのパンの中には、余分な水分が残っているので、生地に粘り気が出てしまうとのこと。

そうなると、ふわふわした食感を味わうことができなくなる。

なるほど、と思いました。

それに加えて、発酵した時のアルコール臭がほんの少し香るらしい。

全く意識していなかったので、正直なところ、ピンときませんでした。

「どれくらい経ったら、食べ頃ですか?」
「20から30分くらい、パンクーラーの上に置いて、粗熱を取って下さい」

パンクーラー。
和食でいうと、おひつみたいなものでしょうか。

「パンの中にこもっている水分が、焼き上がったパンの熱で蒸発することで、弾力と軽さが出てくるんですよ」

目を輝かせながら力説する店員さん。
そのアツさにこちらも引き込まれます。

「焼きたてを食べないと、もったいないような気がしちゃって......」

「そうですよね。その気持ちはよく分かります」
うんうんとうなづいてくれました。

「パンが冷める時、香りが生地の内側になじんでくるんです」
「結局はパンによるんですけど」

恥ずかしそうに言った店員さんの表情が、とても柔らかくて、温かいパンのようでした。

材料になる粉や酵母。
中に入れるフィリング。

全てに合うタイミングはありません。

やはり、それぞれの特性を知った上で、なるべくおいしい食べ頃を楽しみたいですね。


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