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女子大生が立ち上げたプロスポーツのビジネス戦略ストーリー

というタイトルは表紙の左隅で、著者名と一体にまるで副題のようなレイアウトだ。
そしてこの物語の中心が、帯の上にタイトルのような体裁でレイアウトが施された「剣シング」。

どう見てもラノベでもなく漫画の表紙なのだが、これは書店の〈経済・ビジネス書〉コーナーに置かれたマーケティング書だ。

すでに8年前のものだが、当時はやはり表紙の意外性が話題となり、本文中に語られる商品ネーミングのノウハウとその実例を、本の外側で実践していることに驚かされたものだ。

内容は剣道をベースとした剣術格闘技のプロスポーツを起こす重厚で緻密なストーリー。
よく読み進めて咀嚼していけば、相当応用が利くのではないかと思えてならない。

その当時たまたま私は、剣道ベースのショービジネスができれば、アメリカ人にバカ受けするのではないかと、無双ではなく夢想していた。そんな時にほんし思わず飛びついた次第だ。

すこし年月はながれ、2018年。
貴乃花光司さんが相撲協会を除籍された時に、はたと本書を思い出した。
彼はきっと相撲ベースのスピード感と華々しさのある相撲リーグを作ってくれるのではないかと期待したのだが、さすがにそれは私の異世界物語だった様だ。

本書は緻密なマーケティング教科書ながら、内容は丁寧なラノベ風の語り口。
よくある漫画で解説するテキスト書の間違いのような、図示や箇条書きにただキャラクターが被っている稚拙さとは正反対の本作は、読み進めるラノベ文が、本当にマーケティングの実例と実務を身につけられる深さを持っていることに感服するばかりだ。

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女子大生が立ち上げた
プロスポーツの
ビジネス戦略ストーリー
渡辺保
日刊スポーツ出版社 2012年

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