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アスリートとメイク

先日の新聞でアスリートとメイクについての記事が特集されていました。
競技へのストイックさが求められ、精神論が根強く残るアスリートの世界では、メイクやおしゃれを楽しむことはタブーとされがちです。

本気になるイコール女を捨てること
絶対に化粧とかをしてはいけない雰囲気

選手たちは、こんな現実の中で自分を押し殺して競技に集中していました。

そんな中、大学などでメイクがパフォーマンスや心理状態にも好影響を与えるという研究も始まっています。

自分のモチベーションになり、心も体もきれいに強くなれる
丁寧なメイクでスイッチが入る
メイクすることで気合が上がる

実際に、このような体験を語る選手も少なくないといいます。

アスリートには、極限状態で最高のパフォーマンスを発揮する集中力、心と身体の力強さが求められます。

それでは、真剣勝負の世界でメイクやおしゃれは邪道なのでしょうか?

私は、まったくそうとは思いません。

歌舞伎の世界では、現実を忘れ去る化粧を施すことで、念を入れて身も心もまさにその人になりきります。

戦国武将の数々は、他の追随を許さない個性とパワーを放つ鎧兜に身を包むことで、命がけで戦う戦場で士気を高め、勝機を呼び込みました。

素顔(すっぴん)の自分から変身するメイクや衣装(おしゃれ)は、古来から集中力を高めたり、潜在能力を引き出す効果があったと考えられます。

私は、昨年生まれて初めてメイクをしました。

好奇心から未体験の世界に飛び込んだという感動とともに、普段の自分にはない内なるバイタリティーが湧いてきたのを記憶しています。

メイクの持つ効果は、単なる見た目の美しさや可愛らしさの追求というコンセプトだけでは語りつくせないものがあります。

これは実際に体験し、その魅力や難しさを身体で感じ取った者でないと理解できないでしょう。

人は、審美的変化によって明らかに内面や心理面も変化し、外部に向けての集中力やパフォーマンスにも影響します。

アスリート→身体を張った競技→男性的・肉体的・精神論という概念でイメージする人が多いかもしれませんが、高度の集中力を必要とする場面では、かえって自分らしさを誇示するメイク・衣装・環境に身を置いた方が、パフォーマンスが発揮できるという仮説もありえます。

アスリートはもっとも端的な例だと思いますが、偏見や差別の視点を持つことなく、メイクの持つ偉大な力によってその人の職業や人生がさらに花開く時代を迎えたいものですね。

学生時代に初めて時事についてコラムを書き、現在のジェンダー、男らしさ・女らしさ、ファッションなどのテーマについて、キャリア、法律、社会、文化、歴史などの視点から、週一ペースで気軽に執筆しています。キャリコンやライターとしても活動中。よろしければサポートをお願いします。