『虎に翼』第3週感想 ~弱音を吐くこと、怒ること~
2024年4月期の朝ドラ『虎に翼』、私も毎日楽しみに見ています。
私は、細かい描写に瞬時に気付くのは得意ではないし、考察などはSNSで見て楽しむタイプですが、自分なりの感想をまとめてみたいと思いました。あくまで、私個人の体験や生活に引き寄せての感想なので、その点をご了承ください。
第3週目の感想です。
第3週のあらすじ・公式ダイジェスト動画は、下記のリンクからどうぞ。
すべてのセリフを文字起こししたいくらいの第15話
第3週は(も?)、感想のテーマにしたいセリフがいくつもあった。週の頭から「よね」の人身売買寸前だった過去に、幼少期の父親からの身体的暴力など、時代と、そこからくる地域格差や経済格差を写すヘビーかつ重要なエピソードも満載だった。(2分ダイジェストでは惜しくも場面ごとカット)
とはいえ、たくさんの印象的なセリフはリアルタイムのXの実況や、瞬時の感想と考察が得意な有名アカウントの皆様にお任せしたい。
私は、できるだけ偏った「私だからこう見てしまったのかも」な感想を書いていきたい。(つまり的外れな場合も多々ある)
やはり週間単位の感想だと、山場はほぼ金曜日になる。
今、これを書くために家事をしながら第3週の金曜の見逃し配信を音だけ聞いていたが、すべて文字起こしをしたいくらい、本当にセリフだけでも素晴らしい回だった。(演技や映像が加わればより素晴らしいのは言わずもがな)
つらかったら弱音を吐いたらいい。
朝ドラ常連の皆様ならご存知だったことなのだろうが、こうして感想を書いていくと、金曜日というのは次週のテーマにつながる布石も実はちりばめられていることに気付く。
その中でも私の心に、ふっと軽い「ひっかかり」があったのは金曜日放送・第15話の中盤、寅子と学友たちのやりとりだった。
第3週前半で出てきた法廷劇「毒饅頭殺人事件」の検証のために寅子宅に集まり饅頭づくりをしていた、女子部法科の面々。
そんな中で、またしても構造的で無意識な「女性を下に見る視点」に気付いてしまう仲間たち。
しかし、その会話にすら声を上げられない、寅子の兄嫁であり女学校時代の同級生で親友の花江は、孤独を感じて泣きだしてしまう。(詳しくは見逃し配信をご覧ください)
そんな花江を見て、いつも強気で言葉のきつい「よね」が、「自分で選んだくせに弱音を吐くな」「どんなに恵まれていても、つらくない人間なんていない、それでもみんな弱音を吐かずに頑張っているだろ!」と一喝する。
ここで、このドラマでは、もうおなじみ寅子の「はて……?」である。
「弱音を吐くな」と言われているのは誰か
「つらいなら弱音を吐くべき」という寅子のセリフには全く共感である。
私も過去にライターとして執筆した記事で似たような結びを書いたことがある。
ただ、この時はこの寅子のセリフからのみんなの気付きにハッとすると同時に、「よね」から「弱音なんか吐いても解決しない」というセリフが出たことにも心が留まった。
男性は「つらくても弱音を吐くな」と教育される傾向が、女性よりも圧倒的に強いだろう。
実際にはつらい時もたくさんあるだろうし、男女関係なく個人によって、環境によって「何がどのくらいつらいか」は違うはずだ。
それなのに、男性という性別のみで感情を吐露することを禁じられる場面は多い。それは、この時代から今に続く「男性は強くあるべき」という呪いであるだろう。
その呪詛にも似た言葉を「女を捨てた」と、常に肩ひじを張っている「よね」が女性の仲間たちの中で言い放つ。「よね」もまた、「女」でないならば「男のような」価値観に頼るしか立ち上がれなかった。
それに対して寅子は、「よね」に対しこうもいう。
権力や社会制度などの上位に位置するものの理不尽には、正当に怒りを表明することも重要だ、と何かで読んだ。「よね」はより構造的な弱者でもあり、その怒りを体現する人物でもある。
第4週は、寅子たちが女子部を卒業して、男子学生もいる大学の法科に正式に入学をする。これからは男性も出てくる。
男性の生きづらさや、男子学生各個人の個性、それぞれの考え方のグラデーションにも、きっと今後スポットがあたるだろう。
すでに放送中ですが、第4週の予告とあらすじは下記リンクから。
アイキャッチ画像:(UnsplashのBlake Meyerが撮影した写真)
記事内に引用した、わたくしの記事にもし関心を持ってもらえたなら、下記のリンクから読むことができます。
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