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自己判断で中止してはいけない薬~抗菌薬~

皆さんは薬の飲み忘れや自己判断で服用をやめたことはあるでしょうか。前回の冒頭でもお話しましたが、薬って飲み忘れること、一度飲み忘れると続けて飲むことが難しいことってありますよね。しかし、薬によって飲み続けるべきものと、服用する前に中止すべきか相談した方がいいものがあります。今回は処方された分は服用を続けるべき「抗菌薬」についてお話したいと思います。

感染症が疑われるときに「抗菌薬」を処方されることは我々、ヒトも経験あるのではないでしょうか。その時は一日1回もしくは一日2回で、1~2週間など短期的に処方されることでしょう。動物病院では犬猫の膀胱炎の時は少し長めに処方します。それは膀胱炎は再発しやすいため、細菌を十分に減らす必要があるからです。

しかし、抗菌薬を服用し始めると劇的に膀胱炎の症状(頻尿、血尿、疼痛など)が改善するため、途中で投薬をやめてしまう飼い主さんは少なくありません。しかし、皮膚炎でも膀胱炎でも抗菌薬の投薬は処方された分をしっかり飲み切ることが大切なんです。

薬を飲み切らなければならない理由に「薬剤耐性菌」の問題があります。薬剤耐性菌は文字通り「抗菌薬に耐性を持った細菌のこと」です。この菌は基本的に人為的に発生します。その原理については下記の資料もご参考の上、読み進めてください。

抗菌薬は細菌の増殖を抑制したり、殺したりする働きのある化学療法剤のことです。感染症の治療には大変優秀な薬であるため、よく使用されています。しかし、容量や処方期間を守らないような投薬を行うと、細菌数は減り、症状は一時的に改善にあるように感じますが、生き残る菌が少数生じます。これが薬剤に触れていたために「薬剤耐性菌」になってしまうのです。

この薬剤耐性菌は最初は少数でも再び増殖し、症状を再発させます。焦って抗菌薬の投与を再開しても、すでに「薬剤耐性」の能力がありますので、細菌数を減らすことができません。この薬剤耐性菌を減らすためには作用機序が違う別の抗菌薬が必要になるのです。

抗菌薬の使用における「薬剤耐性菌」の問題はヒトの医療でも深刻であり、多くの抗菌薬に耐性を持った菌は「多剤耐性菌」と呼ばれ、免疫が抑制されたような患者さんが感染すると治療はさらに困難となります。抗菌薬は犬猫ならびにヒトでもよく使う優秀な薬だからこそ、投薬量と期限を守った適切な扱いが重要になるのです。自分だけでなく他の誰かを守るために。この深刻な問題をこれ以上広げないために。

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