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1ヶ月

4月がもう少しで終わる。
写真は、庭のチューリップ。桜のあとを追うように、ぱぁと咲いて、私と母はニマニマした。

4月1日から新しい仕事が始まり、毎日バタバタと過ごすようになった。
引っ越してきてから、あーだこーだ考えたり文句を言ったりしていた暇な時間がうそのような。全く違う日々が始まった。

新しい仕事は、始まって2日目で軽く絶望させた。
新しいといっても、2年前まで勤めていた組織とほぼ同じで、対象となる人が市民から県民になったという具合だ。
何をするにも決裁が必要で、上司のハンコがないと郵便も出せないし、会議の資料も配れない。全て「伺い」から始まる。知っているよ、この世界。私も少し前までその世界の住民で、いかに決裁をスムーズにするかばかり考えていた。ただ、1年その世界から離れてしまうと、その世界はとても窮屈で、何をするにも書類作りからか〜〜と力が抜ける。瞬発力はそんなに求められない。先を先を見て、必要な決裁を確実に取っていく。計画性?が求められるな〜と思う。
そんな世界に好きで戻ってきたのに、2日目で「こんな毎日が続くのか…」と目の前が一瞬暗くなる。大丈夫かな、とどうしようもない不安がやってくる。

3日目から、早くも開き直った。オリエンテーションを受けて、給料とか休みとか福利厚生の話をやっと聞いて、手厚いじゃーーーんと思えた。大きな組織に来たのだなと思った。ファミリー感はない、アットホーム感はない。無機質で、さっぱりしていて、仕事上の関係で全てが成り立っている組織にホッとする。居心地がいいなと思う。頑張れる気がする!!と思えて、少しずつ元気になった。

担当する業務は、他の職員から見ても忙しいよね〜と言われるやつのようで、もう忙しい。4月なのに忙しい。会議の準備、研修の準備、書類の発送、アンケートの報告書作成、県内のあちこちからかかってくる電話。10年ぶりの地元は、高校生までの知識で止まっているので、〇〇市がどこにあるかわからない。あの市とこの市を合わせて〇〇地域と呼ぶことも知らない。どこまでが県南で、どこからが県北なのかもわからない。そんなこんなであたふたして、バタバタしている。朝、仕事始まったー!と思ったら、あっという間に夕方になる。
この間入社したばっかりだけど、この間社会人になったわけではないので、「わかりませーーーん」て顔をしていられない。即戦力とはまさにその通りで、ホイホイと仕事を任せられる。やることがあるのは良いことだけど、もう少しゆっくりと仕事が増えてほしいなと思う。もう無理だけど。

会議も、大量の郵便を出すのも、怖くて胃が痛い。知識も経験も少ないから、自信がなくて「これでいいのかな」と思いながらも進めていかないといけないというプレッシャーにやられている。ザワザワする、早くこのプレッシャーに慣れたい。

職場で「忙しそうな人」でいるのはラクだなと思う。忙しそうな人は、実は自分の仕事しかしていないので、そんなに大変じゃない。自分の仕事を進めながら、余白を作り他の人も手伝う人がいる。その人は手伝ってくれるので、一見忙しくなさそうに見える。でも、その人が一番すごい。忙しくなさそうな人は、すごい。組織に勤める社会人歴もそれなりになってきたので、そういうのが見えるようになった。今の私は紛れもなく「忙しそうな人」であって、自分の仕事しかしていない。だから、周りのことをあまり考えていないので、ラクなのだ。自分の業務にヒーヒー言っているだけだからね。本当はラクなんだよな〜と、帰り道を運転しながら考えていた。

朝起きれば、母が朝ごはんを出してくれて、母の作ったお弁当を持って出掛けて、帰ってくれば夕飯が出てくる。洗濯もしてくれるし、私の取り留めのない話も聞いてくれる。今の私は仕事しかしていない。このご時世、こんな夫はダメだと言われるような状態そのものだ。家では、何もしていない。それなのに疲れた、忙しいと言う。びっくりしちゃうよね〜〜と、私も思っている。母はそれに特に文句も言わず、何でもやってくれるから全力で甘えてしまう。まぁ、これに関しては今はちょっと許してほしい。ね。

休みの日は、昼ごはんは1人で外食して、その流れでコーヒーを飲みに行って、必要なものを買いに行って、夜は家で家族と一緒に食べるという生活になった。週末は、父が単身赴任から帰ってくる。ただ、両親はあまり外食をしないので(母がなんでも作れるので家で食べるのが一番美味しいと父は本気で言う)私はそれだといやで(お店に行くのが大好きなので)土日の昼はそれぞれで食べることに落ち着いた。結局、好きなお店でご飯を食べて、コーヒーを飲んで、本を買って読むことばかりしている。

4月もあと数日。GWがあるらしいけど、それが霞むほど、4月の残りの数日でやらねばいけない仕事が大物なので、気が気ではない。
はぁぁぁ、こんな毎日がこれから続く。好きで選んだくせに、胃が痛い。仕方ない、やるしかない、きっと大丈夫と唱える。
この生活にもう少し慣れたら、きっと胃の痛みは治っていくと信じている。


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