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【レビュー】『0歳でも、1歳からでも大丈夫! 赤ちゃんが夜早く、長く眠る かんたん ねんねトレーニングBOOK』

こんな人向け

  • 既に1歳近く、または1歳になってしまったが、ネントレに抵抗がある(睡眠知識低め)

  • 「自分はダメな親だ、しんどい、もういやだ」などネガティブ思考がちで疲れた

  • メジャーなネントレ本を読んで試したが上手くいかなかった

本書の特筆すべき点はふたつあります。

ひとつめは、著者が東洋医学の知識を持つ「鍼灸師」であること。ふたつめは、「マインドチェンジ」の要素があること。

私自身も何冊かネントレ本を読みましたが、小児はりを家庭用にアレンジした「スキンタッチ」というものがあることは知りませんでした。「かんのむし(癇の虫)」…つまり神経が高ぶって興奮しやすい状態。それを落ち着かせる効果が期待でき、本書の中で簡単に紹介されています。すぐに取り組める手軽さなので、試す価値アリかなと思います。

また、折々に思考の変え方についてアドバイスが記述されています。認知行動療法・アドラー心理学など。感情状態と身体不調の関係性を診る東洋医学ならではの視点で、パパママの心の疲れを自分でコントロールするコツは、ねんねだけでなく育児全般で悩んでいる親にも参考になりそうです。

この本について

概要

ママには料理や掃除、洗濯など育児以外にもやるべきことがたくさんあります。
職場復帰しているママなら、昼寝の時間管理なんてできません!赤ちゃんが寝てくれないと体がツライ。でも「ねんねトレーニング」をする暇も気力もない。悩んでいるうちに、「ねんトレ」にベストな0歳をすぎた。本書ではそんなママのために、自身も息子の夜泣きに悩んだ経験を持つ「こども専門鍼灸師」である著者が、睡眠学や心理学を学んで独自に開発した寝かしつけを紹介します。

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著者について

鍼灸師/こども専門鍼灸師。1967年生まれ。大阪府出身。慶応義塾大学文学部通信教育課程卒業後、リクルートフロムエー入社。会社員時代に悩んだ腰痛体験をきっかけに鍼灸専門学校へ進学。2000年はり師・きゅう師免許取得後、鍼灸カウンセリング治療院を開業。心理学や心理療法を取り入れ、患者さんと多くの対話を重ねる。出産後は息子の夜泣きに悩んだ経験から、少児はりや子どもの睡眠についての知識を得て、寝かしつけのカウンセリングや、リラックス効果の高いスキンタッチ指導を開始し、「こども専門鍼灸師」として活動する。
日本アドラー心理学会会員、東京スキンタッチ会会員

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読んでみた感想

正直に言えば、本気でネントレに挑戦しようとしている人にとって、この本は向かないかもしれません。赤ちゃんの睡眠についての基本情報は、他の本と同じくらい(それくらい確立された情報なのでしょう…母子手帳に書いてほしい!)。

肝心のネントレ方法は「ゆるゆるネントレ」と「スピードネントレ」のふたつ紹介されていますが、メジャーな○○メソッドという手法ではなかったと思います。とくにスピードネントレは、パパに託すというもの。「こうした場合はどうすればいいの!?」と手順不良や例外が起きたときに、丁寧に解説してほしい方には、少々物足りなさを感じるかもしれません。

でもこの本から伝わってくるのは、「パパ・ママ・赤ちゃんのみんなが、心穏やかに過ごすためのアドバイス」です。パパと話し合うこと。赤ちゃんに協力してほしいと伝えること。ママはちゃんと羽を伸ばして楽しむこと。など、“理想的だけど無理だよ~”と言いがちなことこそ、きちんとやりましょうと重点的に記述しているように感じました。

本記事の冒頭にも書いた通り、本書には思考を変えるためのコツも紹介されています。育児中はどうしてもカリカリするし、自己嫌悪に陥りがち。優しい言葉を文中から投げかけてくれるだけでなく、自分自身でプラス思考に変換できる癖の付け方を教えてくれるのは、意外と無かったなぁ。

あと、ネントレや寝かしつけが上手くいかない!という人にもオススメだなと思ったのは、「スキンタッチ」という新しい対処法や、「眠りを誘う4つのワーク」という方法が書かれていること。つい赤ちゃんを何とか寝かしつけようと躍起になりがちだけど、赤ちゃんを気持ち良くするためのポイントは、ネントレ難民にとって、再認識・再発見できるものではないかな、と感じました。

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