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【レビュー】『フランスの子どもは夜泣きをしない ―パリ発「子育て」の秘密―』

こんな人向け

  • 出産前から赤ちゃんを迎える準備や育児のイメトレで不安だらけ

  • 育児中だがいつも何かに追われて頭がいっぱい

  • 妊娠前の自分や、キラキラ自由に輝く他人に劣等感を感じる

この本は正確に言えばネントレ本ではなく、「日本とは異なる価値観の子育て・女性像・生き方を知る育児情報書籍」です。

著者はアメリカ人女性で、夫はイギリス人。フランスに移り住み結婚・妊娠出産・育児を経験するなかで、自分たち(訳曰く英米人)とフランス人の考え方や振る舞いが、様々な場面で大きく異なることに衝撃を受けます。

パリの妊婦はスリムで、産後も美しく、夫婦関係は良い。赤ちゃんは夜泣きせず、我慢強く、食事も静かに済ませる。なぜか?

著者が妊娠・出産・育児で奔走する様子に対し、上記に書いたような事実に羨望する気持ちは、日本人の私も共感する部分がとても多かったです。

手放しにフランス式の考えや子育てを称賛するのではなく、なぜそのような結果になるのかを観察したり取材(聞き取り)して発見する、という過程も読み物として楽しい一冊。

この本について

概要

子どもの生きる力を信じる、これぞ「ちょい待ち育児」の真髄!日本の育児をむずかしくしているのは、日本の大人たちかもしれない。 
―日本赤ちゃん学会理事長 小西行郎
3児の母親でもあるパリ在住の元ジャーナリストがフランス流子育てを観察・分析し、秘訣を紹介する。夜泣きや食育、保育園などの様々な場面において、子どもを「小さな大人」として扱うフランス流の「子育て」の秘密をユニークに明かす!

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著者について

コロンビア大学大学院卒業。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙の外国特派員として、サンパウロ、ブエノスアイレス、エルサレム、パリに駐在経験をもつ。夫と娘、双子の息子らとともにパリ在住。

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読んでみた感想

読了後に感じたのは、自身の気持ちを保つために出産前に読んでいたかったな、ということでした。

初めての妊娠出産育児で、私が頼りにしていたのは本屋にある日本の育児本でした。それらの情報は間違いではないけれど、あくまで「やり方:ハウツー本」なのかなと思うのです。

最近はモンテッソーリ教育や語りかけ育児など、子どもへの向かい方はよく見かけますよね。でも、親自身の「向き合い方:自己啓発」的要素は、あまり見かけないように思います。「産後うつを防ぐためにリフレッシュしたり他人に頼ろう!」というワードはあっても、どうも上辺だけに感じてしまっていました。

例えが悪いかもしれませんが、「うまくいく!料理の秘訣」「料理上手さんのキッチン紹介」「体が整う食材選びと組み合わせ」という、料理ありきな視点が多いのです。

でも行き詰ったりしたときは、「あなたにとって食べるとは何か」「豊かに生きるライフスタイル」みたいな、動機や姿勢を再確認することで腑に落ちることもあると思うのです。

そういった意味で、自分と全く異なる動機や姿勢で出産育児に臨む人々の存在を知ることは、とても有意義なのではないかなあと感じました。

言うことを聞いてくれない子ども、協力的ではないパートナー、自分の変わってしまった容姿など…自己犠牲がしんどくなったら、ぜひ読んでみてほしい一冊です。

解決法は見当たらなくとも、異国へ旅に出るような気持ちで読んでみると、自分が何をしたかったのか・どんな暮らしにしたいのかを、改めて見つめ直せるきっかけになるのではないでしょうか。

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