見出し画像

『ミントとカツ丼/牛島映典』(七月堂)の感想文

牛島映典さんの第一詩集『ミントとカツ丼』を読みました。

著者の詩、言葉、命、人間、森羅万象のありとあらゆる全てを見つめる直向きさが心を撫でます。

私は詩評など論じる高尚で学のある人間ではないし、器でもありません。
読めない漢字は読み方アプリで検索しそれらの格の違う表現をその場で初めて知るくらいです。
詩集を読んで何かを述べるそんな立場にいないが単純に感想をお伝えしたくnoteに記します。

素敵な詩集でした。
丁寧で飾らない純粋な言葉の連なりにどこか安らげる温かくて優しい第一詩集でした。

新しい詩との出逢いはラジオの周波数をつまみで微調整しながらチューニングすることに似ています。
牛島さんを知るきっかけもひとえに人と人との繋がりによる縁でした。
まだ、どのような詩を書かれる方なのかも知らなかったのに、漠然ときっと私の好きな詩を書かれる方だと直感したのも共通の周波数のラジオを聴きつづけてきた方がおられたからなのでしょう。
やはり、水が合いました。
間違いなかったのです。

九州から東京へ。
人との距離。心の距離。
生きること。食べること。
そして地名を言えること。
ほんの些細なひとことにこだわること。(もちろん良い意味で)

さりげなく昭和を漂わせるのは作って出来ることではないし、とても居心地が良い世界観は同じ周波数を発信もしつつ傍受もしつつ、なので無条件に親しみを覚えるのです。

時にひとり語りであったり、それは私の好きな『北の国から』を想起させたり、流れ行く時や街や人の中で『中島みゆき』が聴こえてきたり。(あくまでも個人的な感想で見解です)
中原中也の詩で私の好きな『正午 丸ビル風景』をどこかその日常に添えてくれる、そんな気さえするのです。

装丁の裏表紙はぜひお買い求めになって確かめてみてください。
私はとても嬉しい気持ちになりました。
タイトルもなぜカツ丼なのか、一貫した芯を私は受け取れた気がしました。
ミントのエッセンスも秀逸でした。

七月堂さんから発行された牛島映典さんの第一詩集『ミントとカツ丼』
私は出逢えてしあわせでした。
そして、これからも新しく生まれる牛島さんの詩を読むことが出来る世界にいられることもしあわせなことです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?