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いろんな採用サービスある中で人材エージェントについて考えました

現在、人材採用したい企業様が選択できる採用方法はたくさんあります。
当社も提供している人材紹介(エージェント型)サービスから始まり、求人広告を使った広告掲載型、更には、人材データベースへアクセスするダイレクトリクルーティング型、そして、社員の友人や知人を採用するリファーラル型など、採用の手法は多岐に渡ります。もちろん手間も採用費用も異なります。
先日(真意はわかりませんが)、当社から紹介した人材の評価は非常に良かったにも関わらず、採用費(エージェント手数料)が、掲載中の求人広告費と比較して高いから、という理由で、ご縁をいただけなかったケースがありました(号泣)。実は、この出来事をきっかけに、人材紹介(エージェント型)の提供価値って何だろう?と、ずっと考えていましたので、今日は、そのことを書いてみたいと思います。

当社が人材エージェントを始めた理由

本文に直接関係のない(当社の)沿革みたいな話に興味はないぞ!というお声が聞こえてきそうですが、少しだけお付き合いください。
当社は、2012年にSNSマーケティングのサービスから事業を起こしました。社名が変なのは、雑に言えばそのあたりに理由があります。(社名の理由を正しく知りたい方は別途ご連絡ください)その後、SNSを通じて、たくさんの日本語堪能な外国人材との出会いがあり、高度外国人材を専門とした転職支援、生活支援を2017年から始めました。更に2019年からは、高度外国人材を紹介したお客様からのご要望もあり、外国人材だけではなくハイキャリア人材を中心に人材紹介サービスと人材定着支援のコンサルティングの領域へと、サービスを拡げてきました。
何をお伝えしたかったかと言いますと、人材事業は完全に後発です、ということです。

私個人としては、前職で外国人社員のマネジメントを行い、同時に中途採用の担当もしました。加えて、職責としては、経営企画部門の責任者として、既存事業でのアライアンス推進、新規事業の企画立案と実行、IPO準備(2016年にIPO)などを担当していました。一言で私のキャリを表現すれば、事業計画の推進と、それに必要なキャリア人材の採用を、表裏一体の案件として推進してきました。採用担当としての経験は十分にありますが、人材エージェントとしての経験が少ない私が、今回、あえて人材紹介サービスの価値を考えてみました、というのが、以下の内容の前提です。
前提が違えば、解釈も異なると思ったので、前置きが長くなりましたが、先にお伝えしました。

人材業界の問題点。数撃ちゃ当たる?

さて、本題です。
人材紹介とは、ある側面では完全にルーティーンな作業から売上が上がってくる仕組みになっているので、ときに、単位期間(1週間とか1ヶ月とか)あたりの紹介件数を最大化させることで、成約件数を増加させようとする魔の力が作用するときがあります。かくいう私も、売上が欲しいときに、陥ってしまいそうになる魔の力です。結果、どうなるかと言いますと、当たらずとも遠からず、みたいな候補者様を、どんどん企業様に紹介していくというルーティーン作業に入ってしまいます。紹介された候補者様と企業様にとっては、当たらずも=当たっていないので、結果お断りになるケースがほとんですが、『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』という格言(?)通り、たまに当たります。これが、魔の力になってしまいます。
こうなってくると、採用企業様にとっては、『おいおい、採用費(手数料)高いよー』ってなるのは当然で、前述のケースのように、『人は良いけれど、採用費の問題で。。』という回答も当然といえば、当然の結果ともいえます。(もちろん、先程の当社例では、当社は乱暴な紹介はしていませんよ!)

誤解を恐れずに言えば、スペック(経験や資格など)が合っていた上で、更に面接の結果、フィーリングが合えば、採用決定というパターンでは、人材紹介(エージェント型)としての価値の提供が不完全だろうと考えています。
もちろん、スペックが合っていてフィーリングが合いそうな人材を多数の候補者の中から探し出してきたという功績は、相当の価値があるものと言えますが、しかしながら、採用企業さんにとっては、出会いの手間と時間の代替手段にしか過ぎず、この世知辛いの世の中 & 特に後発組の当社みたいな会社には、その価値を認めてもらいにくいのだろうと感じています(泣)

【組織は戦略に従う】のか【戦略は組織に従う】のか?

急に小難しいタイトルになってしまいましたが、簡単に説明しますので、安心してください。
そもそも、どんな状況で企業様は人材を採用したいのか?という人材を採用したいと思った状況別に、人材紹介(エージェント型)の価値の出しどころ、を考えてみました。

言葉の説明から簡単にいきましょう。
1.【組織は戦略に従う】とは、サッカーを例にしますと、勝つために必要な戦略が先にあって、それを実現させるために、ふさわしい布陣(組織)を考えるというパターンです。
具体的には、4-3-1-2(トップ下は●●選手が良い)だったり、3-5-2(2トップは△△選手と☓☓選手が良い)など、布陣ありきで起用する選手を決めるパターンです。
一方、2.【戦略は組織に従う】では、我がチームには、背の硬い■■選手がいるので、ボールを大きく前線へ蹴って、ポストプレーから得点を狙おう、といった選手ありきで戦い方(戦略)を考えるパターンになります。

順番が逆になりますが、まず、2.【戦略は組織に従う】から説明します。
一般的に、既存事業を支えてきた従来の方法で、これからも事業推進していく場合には、2.【戦略は組織に従う】パターンを選択するケースが多いです。上手くいっている戦略にハマっている組織を拡大(あるいは改良)していくパターンです。
つまり社内の人事異動や、社内で活躍している人に近いスペックの人材を採用することで、売上向上を目指すとなります。

一方、今回のコロナ騒動のような、大きな環境変化等が原因で、既存事業のテコ入れ(戦略の転換)や、新規事業開発などが必要な場合には、1.【組織は戦略に従う】方法が効果的と言われています。
従来の仕事のやり方(戦略)に慣れ親しんだ社内の人材や、それに類似する人材では、これまでと異なる発想や手法を用いて業績を出すまでには、余計な時間がかかる、ことが多いというのがその理由です。

人材紹介(エージェント型)が活躍できるシーン

これからの人材紹介(エージェント型)会社が、お客様に価値を提供できるとしたら、既存事業のテコ入れ(戦略の転換)や、新規事業開発などが必要な場合にこそ、価値が発揮できると思います。つまり 1.【組織は戦略に従う】が必要なタイミングです。
勝つために、(従来と異なる)戦略を考えて、それに必要な布陣(人員)を起用したいときにこそ、プロフェッショナルな人材紹介(エージェント型)サービスに意味が出るような気がしています。

冒頭に述べたように、現在は、いろいろな採用方法があります。求人情報を掲示すれば、手間の問題はさておき、人材市場へのアプローチは、どの企業でも簡単にできます。求人情報を魅力的に魅せるといったディテールの手法は、もちろん人材紹介(エージェント型)側にもありますが、求人媒体の広告会社や、採用代行会社などにも十分にあるので、人材紹介(エージェント型)サービスにとって特別の優位性ではないと思います。それだけでは採用費の高い、安いが論点にもなりがちです。

また、2.【戦略は組織に従う】という状況で、それほど大きく戦略を変える必要はなく、人材ありきで組織をつくっている場合には、新たに採用したい人材スペックも変える必要はありません。
前述のサッカーの例に戻せば、背が高ければOK。大きく前線へボールが蹴れたらOK。が固定していますから、求人情報と採用基準に手を加え必要もなく、これも手間の問題はさておき、最も安いコストで人材採用を進めたほうがお得となるのは当然です。
こういう状況下では、人材紹介(エージェント型)に、ほぼ出番がありません。『汗かいて多数の中から探してきます!』ということしか言えません。

いろいろと考えた結果、私なりに行き着いた考えは、

人材紹介(エージェント型)の介在価値とは、

【お客様と一緒に事業戦略を考え、共に熟考を重ねながら求人情報と選考基準を見直し、従来とは異なる視点から該当する人材をスカウトし、採用をお手伝いする】

ことだと思います。

今、コロナ騒動でどの会社様でも大変な時期にあると思います。当社も大変です。でも、こんなときだから、<after コロナ>を考えて、事業戦略を見直すときだろうと思っています。
そうしたときに、人材市場の中で、多彩な人材を毎日見ていて、その方々が活躍している背景などにも精通している人材紹介(エージェント型)に出番が回ってくるような気がしています。

まとめ

人材紹介(エージェント型)の介在価値について考えてみた今回の内容でしたが、いかがでしたでしょうか?
私個人の泣き言なのですが、経営者の皆様は、口を揃えて、『人はコストではない!』とお話をされますが、採用費(手数料)のお話になると、とたんに、皆様口を揃えて、コストのお話をされます。。。
たまに(極たまにですよ)『採用手数料も含めて人はコストではない!』と言ってくださいよぉーって思うこともありますが、でも、そうも言えませんので、可能な限り介在価値を高めていくことを考えたいと思っています。

採用方法がたくさんあるのは、すでに御存知の通りです。これからも新しい方法が出てくると思いますし、採用コストを下げる手法も登場すると思います。つまり、採用母集団の形成と、候補者の絞り込みの手間だけでは、マクロでみれば、代替手法がある中で人材紹介(エージェント型)に勝ち目はないと思っています。

そこで、事業戦略から必要な人材を導き出すお手伝いが、これからの人材紹介(エージェント型)に求められる機能なのだろうと考えました。多くの会社様とお付き合いがあり、多様な人材と毎日接している人材エージェントだからこそ、事業計画の立案と実行、それに必要な具体的なキャリア人材の提案ができると思っています。もちろん、担当エージェントの経験ということも重要な要素となります。

長くなりました。まとめのまとめをします。

とにかく、頭使ってお客様のお役に立ちたいと思っていますので、ぜひ、お付き合いのある人材エージェントには、人探し以上のことを求めてください。
そして、くれぐれも、紹介された人材との面接後に、『採用費高いから、お見送り』って言葉だけは、何卒ご勘弁を。
最後はちょっとばかり愚痴ですみません。ではまた。

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