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リモートワーク中に感じたこと

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、リモートワークが推奨されてもう少しで1ヶ月が経過しようとしています。4月も終わりです。私達にとって、この体験は、将来の就労環境や労働感を大きく変える歴史の転換点になるだろうと私は思っています。少なくても今年の新入社員の多くは、自宅で仕事をするということが “当たり前” のところからスタートするわけですから、あと数年して、彼らが中核メンバーになったとき、なんで毎日、朝から会社いくの?と疑問を持っても全く不思議ではないことは、想像に難くないでしょう。

コロナ騒動の前までは、オフィスとは、良い人材を集めるために必要なものだったり、会社の“格”を表現する仕事場以上の価値のあるモノであったと思います。しかし、コロナ騒動以降、緩やかに従来とは異なる考え方が出てきているようにも思います。それは、
『もしかしたら、オフィスはそれほど、重要ではないかも?』
という発想です。
リモートワークでの生産性を高める方法、リモートワークでも社員間のコミュニケーションをとれる方法があれば、オフィスに多額の投資をすることは必要ないのかも?と思いはじめている会社が出始めているように思います。
そこで今回は、従来からの発想転換の参考なればと思い、同時に、今後のリモートワーク運用でのポイントになると思われる

・リモートワークで生産性を高める方法
・リモートワークでも社員間のコミュニケーションがとれる方法

について、私がこの数週間で感じたことなども含めて、まとまりなく、書いてみたいと思います。

リモートワーク失敗からの教訓

なんとなく(本当になんとなくですが)ちょっと、ベンチャー企業あたりでは、『リモートワークって、これからの時代、当たり前だよね。』という空気感が拡がってきているような気がしています。あくまでも個人的にそんな気がしているだけなので、調べたわけではありません。
これからリモートワークは、本当に【あたり前田のクラッカー】(昭和30年代のギャグです)になるのでしょうか?

歴史に学べと思い、ちょっと調べてみましたら、すぐに出てきました。
国土面積も広いアメリカでは、一説では、既にリモートワークで働いている人は、就労者全体の約4割にも及ぶとされていて、日本よりも先に進んでいます。アメリカの大手通信企業AT&Tが、リモートワークを取り入れた理由は、オフィススペース、パーキングスペースのコスト削減(日本でいう交通費削減ですね)従業員のワークライフバランス確保、そして何より優秀人材の流出防止だったそうです。人材が流動的なIT業界において、AT&Tは優秀人材が他社に流れること危惧し、リモートワークの導入を行ったそうです。
結果として、多くの優秀人材の流出を防いだという実績もあるそうです。

ここまで見ると良さそうですが、そのアメリカでは、数年前に一度、リモートワーク縮小の流れもありました。この事例から何か学べそうです。

アメリカの失敗例

しかし、この日本よりも進んでいたリモートワークは、アメリカでは、2010年代に入って縮小傾向になります。しかも、その縮小傾向は、リモートワーク躍進の中心的存在であったIT業界から起こります。縮小に最初に踏み切ったのは、あのYahooでした。このニュースは、皆さんのご記憶にあるかもしれません。Yahooは、2013年にそれまで積極的に推奨してきたリモートワーク推奨の方針を一転させ、社員のリモートワークを禁じました。

その後、バンクオブアメリカ、ベストバイなどのアメリカ大手企業も、リモートワーク禁止に追従します。2015年5月には、IBMも、在籍していたリモートワーカーに対し、出社するか退社するかの選択を強制的に迫るという暴君とも言える指令を出し、突然に全面的にリモートワークを禁じました。その後は、Google・Apple・facebookといったGAFA(amazon入っていませんが)、もリモートワークを積極的には推奨していないそうです。
この縮小への背景を知るには、Yahoo!の当時のCEOのメールを見ると、わかります。

マリッサ・メイヤー氏からの当時のメール

「最上の職場になるためには、コミュニケーションとコラボレーションが大事。ゆえに、私たちはサイド・バイ・サイドで(机をならべて)働く必要がある。社内にいることが肝要なのだ。ベストの決定や見解は、社内の廊下や社員食堂での、新たな人たちとの出会い、いや即席チームミーティングから生まれることもある。在宅勤務だと、スピードと仕事の質がしばしば損なわれる。私たちは、ひとつのヤフーにならねばならぬ。そして、それは物理的に一緒にいることから始まるのだ。」

なのだそうです。要はコミュニケーションが希薄になったことで、新しいアイデアが生まれない組織になってしまったことへの危機感からのようです。その後、これには、管理体制不備からくる問題もあったと指摘もされています。つまり、アイデア出る、出ないの前に、給料分働いてない!への経営者からの危機対応だったという意味ですね。

一例をあげれば、在宅での勤務時間中に社員が副業を行っていたり、中には会社の目が届かないという特性を利用して勤務時間中に、転職面接(これもオンラインで)をしていたりと。ちなみに4月になってから、当社にも転職希望者からの面談希望は急増してます。
優秀な社員を引き止めるために許容していた自由な社風とはいえ、さすがに看過できない事態も生み出してしまっていたのです。
このYahooの失敗のからは、リモートワークという新しい働き方を導入し、従業員を意図通りに働かせるためには、リモートワーク下での“従来とは異なる”マネジメント方法の確立が重要ということを示唆していると思います。

今、リモートワークで感じている気がかりなこと

これは、私が当社のリモートワークを通じて、まだ整理もできていませんが、直感的に感じた、『今後、問題になるかも』と思ったことを書いてみます。

**<今後問題になるかも> 

 その1:社内コミュニケーションの希薄化**

もともと当社は社内のコミュニケーションが闊達な方ではないので、実は、今に始まったことでもないのですが、この数週間で、よりコミュニケーションが減りました。もともと少なかった当社でもコミュニケーション量が減ったと思うのですから、和気藹々とした環境だった会社では、もっと痛感しているのではないでしょうか?逆に、リモートワークになったからこそ、社員間のコミュニケーション量を意識的に増やしているという会社もありましたので、一概には言えませんが。

オフィスにいて、何気ない時間や空間を共有しているわけではないので、これまで当たり前のように成立していた、職場での人間関係や、社員同士、上司、先輩とのコミュニケーションは、どうしても減ってしまいます。仕事上の進捗状況の共有などは、むしろ、『Slackで』なんて言いながら、オンラインツールのほうが正確に共有できますが、会社の理念の共有だったり、あるいは、くだらない雑談を交わすことで生まれてく仕事へのアイデア、相談内容も決まっていないような相談などは、リモートワークでは再現しにくいことは間違いありません。
リモートワーク下において、意図的にコミュニケーションを増やす時間をとっても、確かに、新しいアイデアの発生という点は課題かもしれません。

**<今後問題になるかも> 

 その2:部下の管理が難しい**

これは、見えない環境で仕事をちゃんとやっているか?ということが気になるということです。極論を言えば、気にしても仕方がないと分かっていながらも、前述のYahoo!の例でもみたように、仕事時間中に転職活動しているのではないか? あるいは、サボっているのではないか?ということが、上司や経営者が気になりだしたら、止まらないと思います。

仮にサボってないか?という性悪論でなかったとしても、労務管理がゆき届かないので、働きすぎになっていないか?など適正な労務管理がしにくいという点も気になると思います。会社によっては、裁量労働ですよと言ってしまえば、それまでですが、しかし、それでも労務管理はしっかりしておかないと、残業時間の管理や、ひいては従業員の体調管理の面での責任を負えません。

**<今後問題になるかも> 

 その3:部下の評価が難しい**

業務プロセスが見えなくなるので、会社によっては従来の評価方法では、評価を付け難くくなってしまうケースがあると思います。とくにまだ経験が少なく、すぐに成果を出せない従業員(新入社員とか)への評価が難しくなってくるとは思います。目の前で頑張っている若年層を、その姿勢やマインドも含めて大きな目で評価していた会社にとっては、目の前ではないところで頑張ってくれている社員をどう評価するのか?この点も課題かなと感じています。

リモートワークって常時オンライン状態なのか?

ここから先は、私にも結論もなく、なんとなくまだ考え中のことです。
現時点では、段階的な変化という結論になるような気がしていますが、そもそも、オフィスにいる環境をそのまま自宅に持ち込むという発想自体が、個人的には無理な気がしています。
つまり、常時チャットシステムとかにログイン状態で、いつでも話しかけ(チャット)て、リアルタイムな返答を期待する、という状態は、なんか気持ち悪いとさえ、私は思っています。『就業時間中なんだから当然だろ!』というご意見は、ごもっともなのですが、それを前提にすると、結果、従来と同じ、オフィスに全員がいる状況をオンライン上で再現することを期待しているとなり、管理主義が前提になるので、前述のアメリカでの失敗と同じことが起きるような気がしているのです。なんか大人な感じがしないのです。北風と太陽の話で言えば、北風感強いなと。

前提としては、自宅やそれ以外の場所では、オフィスとは異なり、仕事しながら、他のことにも意識はいくだろうな、くらいに思うところから、リモートワークでの生産性を高めていく方法を考えていくべきかなと思っています。
誤解を恐れずにいえば、仕事ブリを労働時間で管理することはできないという考えから、新しいマネジメント方法を生み出していく必要があると思っています。それが何かは私にもまだわかりません。
評価を成果主義にしましょうとか、リモート中のパソコンのログデータをリアルタイムで管理しましょうとか、いろいろなアイデアやサービスは、登場してきていますが、何が正しいのかは、私にもまだ分かっていません。
ただ、管理主義は失敗しそう・・・な予感がアメリカの事例からは、感じています。管理主義の決着点は、全員オフィスに再集合!という元のスタート地点に戻ってきそうな気がします。なので、従来から異なる、リモートワーク下での新しいマネジメント発想が必要なのだろうと思っています。具体的には、まだわかりません。

新しいマネジメント発想は、マネジメント側に課される発想転換ですが、同時に、従業員の意識も変えてもらう必要があるとも思います。昔から言われていることですが、自由と責任は常にバランスされるものなので、リモートワークという自由を手にした従業員には、これまでにはなかった責任が発生してしまうことを知ってもらった上で、会社の中でどんな役割や貢献をするのか?ということを求めていく必要があるんだろうなと漠然と考えています。理想的には、自由を手にした従業員から、新しい発想が生まれてくるというのが良いのでしょうが、それは少し先かもしれません。

まとめ

まだまだ、私にも良い方法は見つかっていません。
多くの会社で様々なトライ&エラーが進行していくと思います。会社にはそれぞれ文化や社風もあり、経営者の考えもあり、マネジメントへの考え方も異なるので、これが正解!はないと思いますが、それでも、何かを変えないといけないのは確かだとは思いますので、まずは、変えられそうなところと、当面は変えられなさそう、なところの区分から、整理して考えていきたいと思います。
まとまりのないまとめですみません。。。ではまた。


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