見出し画像

森村刑事


森村刑事は私より10歳ほど年下
奈良県警の刑事 階級は恐らく巡査長
一方 取り調べ担当の鈴木刑事は
階級は、警部補。

警察社会は、階級がすべて
上司の命令は絶対!

とはいえ、両名は 大阪と奈良
組織が違う、例えるなら
別会社の課長と主任みたいなもの。

それでも、鈴木はいつも
命令口調で森村刑事に
指示して、その度に
恨めしそうな目で 黙々とパソコンに
向かい、私の供述調書を作成していた。

森村刑事は、昨夜
合同捜査本部が解散され
打ち上げの会で
憂さ晴らしに たらふく
酒を飲んだそうだ。

お前のお陰で、わしも打ち上げ会では
普段はお目にもかかれない
偉いさんと会えて ええ経験
してきたは!

そらそうと、この先どうなるか
わしにはわからんが、もし社会復帰
したら、お前は何するんや?
まあ、お前さんの事やから
なにやっても成功しよると思うけどな

お前の嫁さんや 嫁さんの親 関係者
わしら、仕事やから会いに行ってきたぞ

みんな、お前のこと 悪く言うやつ
1人もおらへんかったは

むしろ、嫁さんの親なんか
お前のこと 褒めてたで
あの人は、立派な人やって

森村刑事は、仕事の事 自分の家庭のこと
また、釣りの話、ひととおり雑談を終え


ほな、お別れやな
嫁はんに、わしの携帯教えとるさかいに
出所したら、連絡くれや?
それまで身体に気をつけてな!

そう言って 取り調べ室から
出ていった。

出所??
この時、私は まさか
自分が 刑務所に入るなど
1ミリも考えはいなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?