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#12. 華やかでエレガント。ポルトガルのワイン産地「ダォン」について

こんにちは、72season'sアドベントカレンダー14日目です😁
今日はドウロ渓谷の南に位置する「ダォン」という産地について記事にしたいと思います。

ドウロで何日も使ってしまったので、ここからはサクサクと進めたいと思います!(たぶん...)

歴史

まずは簡単に歴史を見てみましょう。
ダォンは1908年に原産地の範囲が規定された歴史ある産地です。しかし、1940年代からの政府の介入によって、20世紀後半のダォンは冴えない産地として過ごします。具体的にはサラザール政権(長く続いた独裁政権)による協同組合化の推進で、ワイン生産が標準化され、ワインの質も下がったことが原因です。

しかし1986年にポルトガルがEUに加盟し、1989年にダォンの協同組合を規定した法律が廃止に。その後、地域の中心地に近代的なワイナリーを立ち上げたSograpeという大企業のリーダーシップや、いくつかの小規模生産者たちの影響で、ダォンの名声は回復してきました。

場所、気候

ダォン無地

ドウロ渓谷から80キロ南の山岳地帯。畑の標高は主に200〜400メートル。

冷涼で湿った冬と、温暖で乾燥した夏があり、気温の日較差が大きい大陸的な気候。気温が下がり始めるのが夏の終わりと早いため、果実の成熟は長くゆっくりと続き、ブドウが複雑なアロマと酸を蓄えることができます。

山々に三方を囲まれており、西のカラムーロ山脈によって大西洋の影響が遮断され、バイラーダ(カラムーロ山脈より海側にある)よりずっと乾燥しています。年間降水量は1,100mm程度ですが、降雨は冬に集中しています。
また、南東部に位置するポルトガル最高峰のエストレーラ山脈の麓は、生育期間が長く、ダォンでも特に良い赤・白ワインができます。

ダォンは花崗岩の丘で形成されており、母岩が砂質土壌から見え隠れするような産地。砂質花崗岩土壌は水はけが良い反面、ときに良すぎて水分不足になりブドウの成熟に悪影響を及ぼすこともあります。

赤ワインのスタイル

80%が赤ワインの産地です。

かつては梗と一緒に長いマセレーション(浸漬)を行い、古い木樽で過度な熟成を行っていたため、すっぱくて渋くエレガントさやフルーティさのないワインでした。
いまでは、ポルトガルで最もエレガントでミネラル感に溢れた赤ワインを生みだしています。

ダォンの赤ワインは繊細な赤い果実の香りがあり、タンニンは柔らかく酸が高い
ドウロ渓谷と同じトゥリガナショナル種が多いですが、ドウロ渓谷の赤ワインがフルーティだとすれば、ダォンはフラワリー・華やかという印象。ダォンのワインはブルゴーニュグラスがよく似合います。

ブレンドが中心で、特に古い畑は多様な品種が混植されています。
一方近年は、区画をわけ、適した土壌を見極め、単一品種に植え替える傾向があり、単一品種のワインも増えています

ブドウ品種としては、ジャエン(メンシア)が一番多く、次にトゥリガナショナル、ティンタ・ロリスが三番目となっています。

白ワインのスタイル

白ワインは国内のトレンドに合わせて、今世紀に入ってかなり品質が向上し、フレッシュさを損なわずによりフルーティなワインへと変化しています。

ダォンで最高の白といえば、酸が高くフルボディのエンクルザード。軽くてフレッシュなものから、木樽発酵のリッチなものまであります。
オーク樽での発酵やリースエイジング(酵母とともに熟成する)に非常に相性が良く、このような造りをするとブルゴーニュを彷彿とさせる白ワインになります。早飲みでも楽しめますが、酸が高く30年ほどの熟成にも耐えます。

ビカルという品種はバイラーダとダォンでの生産が多く、しっかりアルコール度数が上がり、フレッシュな酸とピーチ系のアロマが特徴です。

今日のまとめ

いかがでしたか?本日はエレガントなワインの印象が強いダォンでした。
ドウロの赤ワインとダォンの赤ワインの飲み比べは、産地の違いがわかりやすく出るので、とても楽しいですよ😋
また、ブルゴーニュが好きな方はぜひ木樽発酵の白ワインを試してみてはいかがでしょうか?😁

明日はバイラーダにいきたいと思います。
お楽しみに!

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