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老舗塗料メーカーのtwitter奮闘記

2021年の振り返りです。公式twitterを軸にお話を。
今年は大変ありがたいことに大きなバズが発生し、そこからどうビジネスにつなげていくのかご紹介できればと思います。

バズから世界が変わった

今年バズった11月末のこちらの投稿からご紹介します

ウレヒーローをゴム手袋に塗装した動画です。情報発信の投稿ですが、1000RTを越えインプレッションも49万。社内でも大騒ぎ。個人的にも心の中で大きなガッツポーズをしました。万バズには届かずとも弊社としては大きく躍進するツイートで、BtoBの塗料メーカーが、toC向け塗料を自社サイトで販売するきっかけとなりました。

投稿に至った背景

もちろんバズは狙って発生するものではありませんが、ウレヒーローがターゲットとするサブカルファン(ホビーやコスプレ造形)に興味を持ってもらえるに違いないという確信のもと発信しました。今回のバズは幸運で拡散くださった方には感謝しかありません。
背景の説明として、簡単ですが企業アカウントのtwitterコミュニケーションをゲームでのSNS運用に見立てて紹介します。

ゲーム業界のSNS運用の考え方はもっといさんの記事をご参考ください。
https://note.com/mottoi/n/nda5e6b2b7a9a#gQnDL

ゲーム業界のSNS / コミュニティマーケティングの取り組みと考え方の基本 〜 ゲームをもっと楽しくするインフォメーションとコミュニケーションより

上記記事を参考にすると

バズは認知や興味の総量を増やす施策だと思っています。認知率や利用意向やブクマの数その辺りを増やす施策です。バズったらすぐ売れると嬉しいのですが中々そう簡単にはいきません。

発信と交流を相互に作用させて、ウレヒーローに対する認知や興味を高めていく必要があります。

そしてバズにもインフォメーション型とコミュニケーション型(他にもあるとは思いますが…)があると勝手に思っていまして、

インフォメーション型:ものすごく興味をもってもらえる情報の発信
コミュニケーション型:ユーザーに意見を求めたり応募などの交流

厳密にはコミュニケーション型のバズは、インフォメーション型との掛け合わせが多いと思いますが、興味をもってもらう情報を発信しながら、例えばサスティナブルな問いかけや地域活性のアイディアなどを求めてリプライや引用リツイートが多数発生してると思います。

今回はウレヒーローのバズはインフォメーション型を狙いました。
「うわー!これはすごいぞ!!」とユーザーの皆様に思ってもらう製品を発信し、それを拡散してほしいというメーカー魂からでした。

掴んでいたニーズ

投稿する前からニーズを少し掴んでいました。

ターゲット:コスプレ造形する方
ニーズ  :柔軟性のあるメッキ調塗料がないため表現が実現できていない

情報発信をする中でフォロワー様と交流をさせてもらい事前にお悩みを聞くことができていました。ターゲットへ拡散してくれるフォロワーも増え、またニーズも鮮明でしたので、インフォメーション型でバズを狙えたと思っています。

開発に相談する時も、「これは絶対に興味を持ってもらえます。作ってください」とやたら強気に交渉していました。

ただすぐには着手できなかったのですが、きっと頭の中で配合を考えていたのだと思います。ふとタイミングが出来た時に「ちょっと作ってみます」と作業をはじめ数時間でこの奇跡の手袋が完成しました。

ゴム手袋へウレヒーローメッキシルバーを塗装

なお、ウレヒーローの生みの親ですが前職は某飲食チェーン店の店長さん。塗料メーカーにない柔軟な発想、お客様目線でスピード感とクオリティのバランスの大切さをよくわかっています。本当に頼もしいです。

話を戻しまして、ニーズを掴むにあたっての最初のきっかけとなる投稿を紹介します。

きっかけは突如やってくる

こちらは正直に申し上げまして、バズは全く狙ってはいませんでした。
お恥ずかしながら投稿した際には、真骨彫ティガに起こっていた状況を正確に把握しておらず、ただお悩みとウレヒーローの性能と相性が良さそうで、お困り事があるなら解決したい。という思いで投稿しました。

しかし、このきっかけを逃すわけにはいきません。
そのインフォメーションの直後に実施したコミュニケーションは大きく3つです。

ウレヒーローは元々は工業用塗料で家庭用としては不向きです。開発にお願いしてすぐに動き、開発状況をよりホビープレイヤー様を想定し実践的に投稿を続けました。

そしてある程度商品の形が見えてきた段階で、すぐにファンの方にお渡しすることにしました。

実際にお客様にご利用いただき改良品に対する手応えや、さらなる課題も浮き彫りになりより製品化へのスピード感も増したのと、お客様からも認知から興味へ段階があがるきっかけにもなりました。

スピード感で言うと、2021/8/2に反響があり、ホビー用への開発開始が8/5、サンプル配布が8/16と2週間で鬼のような速さで対応を続けました。

神企業と呼ばれた奇跡

8月の1カ月間とにかく発信と交流を続けた結果…思いもよらない反響をいただきました。

嬉しい応援のお言葉

ウレヒーローに対する期待だけでなく、企業自体をほめてくださる嬉しい投稿を多数いただきました。エゴサをしてすべてキャプチャ保存しています。今の私の生きる活力です。ありがとうございます。

また、少し脱線ですが、
フィギュアに使う軟質パーツ用の塗料開発はかなりニッチな分野です。硬いはずの塗料が柔らかいというのも開発難易度も高く、要は大手はこの要望だけでは開発しないかと思います。
しかし、そんなニッチな塗料を元々開発していたというのが中小企業の面白いところです。ノウハウがあれば、そこからのスピード感はご覧の通り。
また、開発だけでなく、裏では営業の方がフィギュアの塗装してくれたり、僕の仕事を巻き取ってくれた工場のメンバーなどの支えがあってこそのスピード感。弊社メンバーを誇りに思います。

交流は諸刃の剣にも

しかし、コミュニケーションは神経をかなり使います。
例えば、サンプル配布も要は良い面悪い面すべて露出するため下手すれば諸刃の剣にもなりかねません。
ファンの方にウレヒーローの良し悪しを理解してもらった上で利用いただき、忌憚なきご意見をもらう。それをどのように改善するかを投稿する。というファンとの相互コミュニケーションを積み重ねる必要はあると思います。

特に塗料は完成品でなく半製品です。塗装物、塗装環境、塗装技術…様々なかけ合わせで製品となります。その為いくら性能がよくても、満足いく塗装ができるまでがメーカーが見守るゴールです。
しかし、かけ合わせが複雑なだけに原因を曖昧にする風潮は業界全体にあったと感じています。クレームを恐れ塗料は悪くないと初めから決める場合もありました。もちろん本当に塗料が悪くない場合もありますので見極めは大切なのと、特に一般販売を進めるにあたっては、しっかりとコミュニケーションを取りながらより安心してウレヒーローを使ってもらえるようにしたいと思います。

コロナで急ブレーキ

順調そうに見えますが…実は9月に新型コロナ陽性になるという緊急事態に陥りました。もう社内外多くの方にご迷惑をおかけし…この場を借りてお詫び申し上げます。また支えてくれた家族にも本当に感謝しています。

この病気は本当にやっかいで、復帰後も倦怠感が抜けません。3か月ほど経った今だからこそようやく復調してきました。

twitterでの発信も交流もピタッと止まってしまい…[興味層が→認知層]へ[認知→非認知]になった方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
フォロワー様も8月に約500名増えましたが、9月、10月に約2割の100名ほど減少しました
ここからもわかるように、継続してインフォメーションとコミュニケーションを取り続けるということが企業アカウントの運営ではとても大切です

今後は属人化せずに運営できる体制を作っていきたいと思います。

今後の展開

本年は幸い多くの認知や興味を持っていただくことができました。
ウレヒーローのメッキタイプも現在(2021/12月)モニターにてコミュニケーションの最中です。
いただいたご意見を元に改良をすすめ、来年はいよいよ購入やご利用いただく機会に挑戦します。

購入やご利用について

シンプルに以下の2つです。

1:自社サイトでの販売
2:量販店様での全国展開

1については、ほぼほぼ準備完了しています。
容器の選定から充填方法、一般家庭用のラベルなど年明けのどこかのタイミングからスタートしたいと思っています。
2については、我々からもアプローチを開始して興味を持ってくださっている企業様もいらっしゃいます。またご案内もできればと思います。

リピートやファン化

大切にしているのは、上記のような相互のやり取りです。

①ユーザーと弊社
②ユーザーとユーザー
③ユーザーとインフルエンサー
④インフルエンサーと弊社

それぞれの相互関係を深める施策具体的な施策はいくつかあると思いますが、SNSでユーザーの方へのモニター募集は随時行う予定です。
また、展示会でのご縁からインフルエンサーの方向けに一緒に造形を作る活動支援、またアンバサダー募集というのも面白いと思っています。
あと、今後挑戦したいのがサブカルファンが集まるリアルの展示会です。今までコーティングジャパンという塗装向けの展示会は出ていましたが、ターゲットが明確になっている現状と「ホビーショーや世界コスプレサミット、コミケ」…いくつか候補の中で費用と相談しながら、情報発信と交流の場を設けたいと思います。

最後に

刷新した新理念

工業用の伸縮柔軟性塗料から、今後は一般向けのサブカル系塗料として躍進していく「ウレヒーロー」。サブカル界のお話を聞くと、まだまだ塗装が原因で実現したいことができていないというお悩みが多くあることがわかりました。大手さんから見たら小さな市場かもしれません。
しかし、弊社は創業から大切にしている思想があります。

お客様の困り事を解決するのに企業の大小はない。あらゆる壁を突破するのは技術力だ。

現在、「Design&Development」という精神を元に、技術力から新市場を創出していくという強い想いの元に活動をしています。来年も多くのお客様の悩みを解決してまいりたいと思います。

以上、今年の振り返りと今後の抱負でした。
何かの参考になると幸いです。

長文お読みくださりありがとうございました。

補足:
一年間のフォロワー様の推移です。施策でしっかり積み上げでき感謝申し上げます。


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