見出し画像

FBの投稿を読んでくださった皆様へ。 ーなぜ「24㍑」なのかを説明します。

こんにちは、福岡県福津市でクラフトビール醸造所を設立準備中の江藤です。

今回、こちらの記事まで訪れてくださった方の多くは、以下の文章をお読みいただいた直後かと思います。

❷一般個人の方へ
事業計画には「小売販売」も含まれているため、一般の皆様からの署名も大変ありがたいです!同一世帯の方が記入する場合は、どちらか代表者一名の方にご記入いただければと思います。また、「年間何リットル」と言われてもイメージが沸かないと思いますので、そういった方は目安として年間24L(≒330mlのビール瓶6本が毎月ご家庭に届くイメージです)とご記入頂けるとありがたいです。

ということなので、「なぜ24L(≒毎月6本×12ヶ月)を目安として記述していただけるようお願いしているのか」についてお話します。少し長い文章ですが、たぶん「へー!」と思える話があったりして面白いと思います。ぜひ感想聞かせてね!(目次を先に読んでいただくと、ざっと何を書いてるかがわかります^^)

前提:
「自社ブランドビール」に関して
伝えておきたい私たちの気持ち

兎にも角にもビールメーカーですから、自社ブランドビールを作り、育んでいくことはとても大切です。

「どんなビールを作るの?」と、これまでもたくさんの方々からご質問をいただいてきました。興味を持っていただけるのは、本当に有り難いです。ただ、ごめんなさい。実はこれまで、できる限りその質問への回答を誤魔化してきておりました。

というのも、単に自社ビールを作ることと、自社ブランドビールを作ることは似ているようで全く別次元の話だと思っていて、あまり適当なことは言えないなと思っていたのです。

ブランドのコンセプトを言葉に落とし込むまでには何十時間、何百時間と時間がかかったりするものですから、なかなか中途半端な段階では説明が難しく、むしろ誤解を生んでしまう恐れもあったんですね。

ですので、自社の看板でもあるブランドビールについては、リリースぎりぎりまで言葉選びなどを真剣に考えさせていただこうと思っています。お待たせしてごめんなさい。どうかお楽しみに!

ブランドに落とし込まない自社製造ビールに
価値がないわけではない

では、自社ブランドビールではなく、その他の”自社で作ったビールたち”に価値が無いかというと、全くそんなことはないと考えています。

自社ブランドビールを中長期的に成長・成熟させていくには、多岐にわたる醸造経験やデータの蓄積が欠かせません。少し冒険したり挑戦したりするからこそ、本当に美味しいビールというのは時代に合わせてアップデートしていけるものだと考えています。

例えばですが、

①全く同じレシピだけど、ホップの種類だけを変えて作ってみるとどうなるか
②全く同じ原材料だけど、ホップを投入するタイミングを5分ずらして作ってみるとどうなるか
③宮●嶽神社の桜の木から採取できた酵母でビールを作るとどうなるか
④クッキーやチーズケーキなどを副原料として使ってみるとどうなるか
(→美味しいらしいです)
⑤地域の特産フルーツや野菜などを使ってビールを作ってみるとどうなるか
⑥売れ残ってしまった天然酵母パンを原料にしてビールを作るとどうなるか

などなど

こーいうユニークでチャレンジングな試みに価値がないとはさすがに思えないのです。むしろ今の時代はこういう試行錯誤品にこそ価値を感じる人もたくさんいるのではないでしょうか。

日本でユニークなビールが出回りにくい
3つの理由

私の知人で、今や世界一のクラフトビールの町とも言われるポートランド州のクラフトビール会社を中心に、海外のクラフトビール業界に精通しているとある投資家さんがおります。

その方から聞いたお話ですが、海外のクラフトビール市場では、完成品を楽しむことよりも、作るプロセスをシェアして楽しむ文化が非常に強いそうです。だからこそ本当に色んなビールが出回っていて、選ぶ楽しさがある。

それらの海外事情と比べると、どうしても日本のクラフトビール市場というのは非常に画一的で型にハマった印象が強く感じられます。

かと言って、日本の作り手がユニークでチャレンジングなビールを作りたくないかというと、本当はそんなことはなくて。醸造家の皆さんは、作りたくて作りたくて悔しい思いをしている状況です。

では、なぜ日本ではユニークでチャレンジングなビールが出回りにくいのか、その理由は主に3つ。

1)一回の仕込み量が多すぎるため失敗が許されない
クラフトビールというのは最低醸造量の規定のほかにも、根本的に原価率が高かったりするため、一回の仕込みでたくさんのビールを作って人件費・作業工数を減らさなければならず、どうしても一回の仕込み量を底上げできる大きな機材を構えがち。そうなってしまうと、とんでもない量ができあがるため、さすがに失敗が許されなくなり、万人に好まれる味の範囲でのビール作りになってしまう傾向があります。

2)廃棄が怖い、廃棄ができない
せっかく作ったものを廃棄するというのは誰でも嫌だと思いますが、かと言って売れなければやはり廃棄になります。しかし、ビール業界というのは、この廃棄量なども詳細に報告する義務があり、廃棄が増えすぎると国税庁はあまり良い評価をしてくれません。下手すればペナルティを喰らう可能性も十分あります。そのため、廃棄リスクが少ない”安定的に売れるビール”を作る思考が当然生まれてきます。

3)期待値ズレが怖い
お客さんとの期待値ズレというのはどんな商売でも怖いもの。特にこの業界はビールと発泡酒の違いの件や、地ビールとクラフトビールの違いの件など、これまで期待値ズレに苦しんできました。どれだけチャレンジングな試みのビールだと伝えても、お客さんや、お客さんのお客さんにそのことがうまく伝わっていく保証はありません。ユニークでチャレンジングなビールを作って売るということは、そういった期待値ズレのリスクを自ら抱えにいくことになるため、やはり避ける思考になりやすいのが現状です。

だから、やりたい!
卒業制・有償アンバサダー制度

ここまでくればお察しの方も多いかと思いますが、私の醸造所では「小ロット生産」という特徴を活かして、裏で色んなビールを開発していく予定です。小ロット生産だからこそ作り過ぎてしまうリスクも廃棄のリスクもほぼ無いわけで、こういった挑戦ができるのは私の醸造所の大きな特徴です。

で、このユニークなビールたちも本当は色んな方々に飲んでみていただきたいわけです。お酒の楽しみ方って人ぞれぞれですが、完成品より未完成品の方がそういった意味では余白があっていいなって。

例えば皆さんの方から「次は○○を使ったビールを作ってみてよ!」みたいにリクエストいただく形でそれらを元にビールを作ってお届けするとかも面白いですよね。私一人の発想だけではなく、皆さんの発想もぜひ織り交ぜながら楽しんでいきたいところです。

ただし、そうなってくるとある程度は考え方や価値観に共感してくださる方々に絞る必要はあると思っていて、そこで行き着いた形が有償アンバサダー(名前はまだ未定)。

任期は12ヶ月。12ヶ月分のお代をあらかじめ頂いておいて、毎月江藤が実験的に裏で作ってみたビールが6本送られてくるようなイメージです。原価がどれだけ変動しても金額は固定。試作ビールが6種類もない時は、自社ブランドビールで代替。

で、12ヶ月後の期間満了時の自動更新はなしで強制的に卒業(?)を迎えます。卒業の理由はシンプルに「自動更新って何だか機械的で嫌だ」「”本当は解約したいけど江藤さんとの関係性もあるし…”みたいなのも嫌だ」です。なので予め1年と期限を決めて、1年後には卒業していただきます。

ただ、1年後にいきなり卒業というのもお互いに寂しいと思うので、私から卒業証書と永久アンバサダー認定バッチ?名刺?みたいなものが最後に送りつけられて晴れてご卒業といった感じです。

また、例えばですが私の醸造所では色んな飲食店さんなどからのオリジナルビール制作(OEM)の受け入れも行なっていくので、もし発注元さんが希望するのであれば、例えば一緒にオンライン試飲会などを実施して、一緒にそのお店のオリジナルビールの味を決めたりすることに関われるかもしれません。私たちが繋がっている飲食店さんは素敵な個人経営のお店が多いので、何だか双方にとって良いご縁になる気がしています。

ちなみに永久アンバサダーになられた方は、今後私たちが手がける様々なイベントやキャンペーンで、少しばかりVIP対応させて頂ければ…なんてことを考えていますが、まだ具体的なところは何も決まっていません。でも、何だか面白そうじゃないですか?有償アンバサダーに興味がある方、ぜひご感想ください。

まとめ:
取引承諾書の「24㍑」の根拠

だいぶ長々と説明してしまいました。話を元に戻すと、有償アンバサダーに登録された皆さんに送り届けるビールセットが今のところのイメージだと【6本セット×12ヶ月≒24㍑】とかでしたので、そういった意味で【24㍑】でした。

もし応援の気持ちで取引承諾書にサインをしてくれようとしてくださっている方で、いまいち何リットルと書けばいいかわからない…という方がいらっしゃれば、よければ「24リットル」とご記入いただけると幸いです。

ちなみに、本当に有償アンバサダー制度を導入するかどうかは、まだ現時点では明確には決められていません。もしかしたら6本セットではなく、4本セットとかにするかもしれません。まだわかりません。でも”三方よし”になるイメージはありますし、面白い繋がりができていきそうなので、前向きに検討しています。

なので、もしご興味ある方はぜひご感想を教えてください。広く浅くというよりは、狭く深く面白く進めていければと思います。

最後まで読んでくださって
ありがとうございました

相変わらず私(江藤彰洋)の文章は長いですね。溢れんばかりの想いが…すみません。善処します。まぁそこら辺もクスッと笑いながら見守って頂けると有り難いです。引き続きよろしくお願い致します。

(写真は、醸造所が入る元旅館「海のほとり玉乃井」の正面玄関前で記念撮影したもの。写真の通り、醸造所設立に向けて現在改装中です^^)

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?