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醜いわたし。

 
半年程前
 

幼い頃わたしが自ら創ったであろう透明のカプセル。
見つからないところにしまっておいたはずの
あのカプセルが私の身体から抜け出し
1メートル程だっただろうか。。
フワ〜っと浮かんだと思ったら頭上で割れたのだ


おびただしい程の言葉のシャワーを浴び
わたしは大泣きした


幼い頃のわたしのあの目
ポツンと悲しそうな目でこっちを見ているあの表情もその意味もやっと繋がった


記憶をなくし上書きしたあの頃の思い出も
そのシャワーによって洗い流された


悲しみと辛さと無力さと憎悪。
自らの中から剥ぎ取り
カプセルにしまうことにしたのだと
わたしはこんなに悲しくて苦しくて醜い程の憎悪を抱えていたのだと
三十も半ばを過ぎた今頃気づいたのだった


腹の底から湧き上がる醜い感情を怖れ
わたしはわたしを拒絶していた


やっと見つけてあげることができた
『醜いわたし』


わたしのカケラ達が
ワンワン声をあげて泣いた


ずっと見つけてもらえなくて
あんな小さくて狭いカプセルの中に
ぎゅーぎゅーにしまい込んでいたのだ
そりゃそうだよね


遅くなってごめんね
今まで気づかなくてごめんね


そしてわたしは
拒絶していた『醜いわたし』を
わたしの身体に染み込ませた 


パンを作るみたいにコネコネして内と外を一つにした


豊かさがバージョンアップし
まさに発酵した瞬間のようだった

 


醜いわたしは
『とても豊かで美しいわたし』だったのだ

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