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【霞始靆(かすみはじめてたなびく)】

地球が太陽を一周する360度を24等分したのが、「二十四節気(にじゅうしせっき)」。
それをさらに3等分して、約5日ごとに季節を表す言葉にしたのが「七十二候(しちじゅうにこう)」。花や草花、鳥、虫など身近にあるものの変化から、季節を知る手がかりになります。

小さな変化に季節の移ろいを感じてきた日本人。
日々、慌ただしく過ぎていく日々の中で、日本人が大切にしてきた細やかな感覚を大切にしたい。

自分の学びも兼ねて、七十二候をご紹介!


《霞と朧》
水蒸気をたっぷり含んだ空気で、景色がかすんで見える現象。
現象としては、秋の「霧」と同じだが、寒さの緩みとともに土や植物の発する甘やかな香りで、ふわっとした優しさを感じるのが春の霞。

山間部で春の芽吹きを促す霧や雨のことを「山蒸し(やまうむし)」という。

夜は、「霞(かすみ)」とは言わず「朧(おぼろ)」という。
月の前を水の神である龍が通りかかっている様子が漢字にも表れている。
朧は、月だけでなく、夜の万象全てがかすんで見えることをさす。
たとえば、遠くにかすんで見える光は「朧影(おぼろかげ)」、家の灯りがぼんやり見えるのは「灯朧(ひおぼろ)」、草地がかすんで見えるのは「草朧(くさおぼろ)」

実際に霞(かすみ)や朧(おぼろ)がよく見られるようになるのは晩春だが、七十二侯の「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」は雨水の末侯で、冷たい雨があたたかい雨に変わり、最初の「ふんわり」に気づくころ、と解釈できる。

春の雨は細く、音もなく降る小糠雨(こぬかあめ)や、降っては止んでしまう春時雨(はるしぐれ)。
雨上がりのふんわりとした空気や、甘い香りを楽しみたい。


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