雨の日には雨の音を聴こう、の思い出話。

2023.3.23


雨の日には雨の音を聴こう、の思い出話。


高校生の終わりの頃、地元の駅の商店街からすこし道を外れたところにあるインド物のお店の、細くて急な階段を上った店内に、所狭しと迷路のように並ぶ色とりどりの衣装や布をかき分け、窓を望んで座る何席かのカウンターの喫茶コーナーに腰掛けると、目に入る近くの壁の一隅に掛けられた個性的な小さな絵の下に、それは書かれていた言葉で。

「雨の日には雨の音を聴こう」

記憶の穴蔵の壁面に、今も掛かる絵と言葉。薄暗い明かりにぼんやりと、輪郭は失いながらも。あのときの空気や、匂いの、少しざらついた手触りまで、全部一緒になって。


あれは私の"始まりの場所"の一つなのだろう。



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