【49歳のつぶやき】『いい人』をやっと卒業した話


昨年末、自宅にカーポートを設置した。
お願いしたのは、家を建ててくれた工務店さん。我が家のことを知ってくれているので安心してお任せしたのですが、設置されたポートを見て「あれ…?」。
なんとなく違和感がある。

こちらがイメージしていたものよりも、屋根が高く感じたのだ。
なんか、雨が降り込みそうだし。
なんか、バランスも悪くない?
と夫と胸のざわざわを話し合った。

夫の話によると、工務店さんにお願いした高さよりも、10センチほど高いという。

たかが10センチ、されど10センチ。
頭で自分を納得させようとしたけれど、何度見ても違和感が拭えない。

工務店さんに相談したところ、
・設置し直すには、「こんな手間」、「あんな手間」がかかる
・職人さんへのギャラ追加分を、負担してもらわないといけない
ということだった。

そしてこう付け加えたのだった。
「ああ、そんな話、していた気がします。忘れていました、すみません~

この「忘れていました、すみません」のひとことが、さらに私たちの胸をざわつかせた。これがプロフェッショナルの誠意ある対応と言えるだろうか?
しかも40万円ほど支払うのだ。納得がいかない。

そして、超個人的な、過去の「2大モヤモヤ話」まで思い出し、怒りが増幅してしまった。(工務店からしたら「知らんがな」でしょうね)

モヤモヤ話①
「卵を落としたのは誰だ」事件

マンションに住んでいた頃、「どこかの住人が、ベランダから卵を投げているらしい」という話があった。車や駐車場に割れた卵が散乱、それはそれは大問題になったのだが、その犯人としてうちの息子が上がったのだ。息子は1歳半頃だっただろうか、そんなチビッコがベランダから卵を投げたと言うのである。
管理人さん「石田さんとこの子、卵をベランダから投げたりしないですかね~。他の人とも話していたんですけどね〜」と、住人の間ではそこで決着しているらしい。
「はあ?」と思った。1歳半の子どもが、背伸びをしても届かない位置にある卵をわざわざ冷蔵庫から取り出して、わざわざベランダに行って、全面コンクリートの壁を越える球(卵)を投げるとでも?
「正気か」と思ったのだけど、その時の私は「そんなことしません」とだけ言って、あまり戦わなかったのだった。モヤモヤ。

モヤモヤ話②
「検査」で給湯が壊れたのに、7万円払って直した事件

これもマンションに住んでいた頃の話。「関西電力の下請け会社が給湯器を検査する」とやってきたので、上がっていただいて「検査」をしてもらった。
「OKですね」と問題なく検査を終え、お帰りいただいたのだが、その晩から急にお湯が出なくなったのだ。水しか出なくて、本当に困った。
翌日、すぐに電話をして事情を話したが、「検査は無料ですが、検査後の修理は有料です。7万円です」と言われた。
「はあ?」と思った。検査する前までは何ともなかったのに、「検査」をしたら水しか出なくなったんだよ、と訴えたつもりだったが、暖簾に腕押し状態で、結局7万円支払って直してもらったのだった。モヤモヤ。

この2つの話は、もう5年以上が経つというのに、時々ふっと頭に浮かんできては、私をイラつかせていた。
「どうしてあの時の私は、『いい人』でいようとしたんだろう。どうして戦うことを諦めたのだろう、悔しい」と。

このままでは、「『忘れていた』という理由でカーポートが希望通り設置されなかったのに、40万円以上払った事件」として3つ目のモヤモヤができてしまう。しかも、カーポートは毎日、いやでも目に飛び込んでくるのだ。

あかん、耐えられない、これは言うしかない、直してもらうしかない。

もう、いい人でいるのはやめよう。
嫌なことは嫌だと、理不尽なことは理不尽だと言える人間になろう。

と、49歳にして初めて、自分の「嫌だ」という想いを言葉にし、相手を動かすことに成功したのだった。

* * * * *


2ヶ月後。
ふらりと立ち寄った友達が「あれ? カーポートの高さって変えた?」と気づいた。
「え? わかる? 10センチくらいしか変わってないんだけど」
「わかるよー! 前に見た時、ちょっと高いなあって思ったもん。よかったね、下げてもらえて」

ああ、わかる人にはわかるんだあ。たかが10センチだったけど工務店に直談判してよかった。
『いい人』を卒業してよかった。

と(超個人的でささやかな)自分の成長を喜ぶ一方、こんな懸念もある。
ああ、こうして女性は「おばさん」になっていくんだね。ズケズケもの言うおばさんに

どうせなら、世の中のためになるような発信を、ズケズケしていこう。
と、やんわり誓った。

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