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キャリアのロールモデルになろうとしなくていい

1社でできることには限界があるよな、と思うことがある。

1人でできることにも限界があるよな、と思う。

特に、キャリアのロールモデルの文脈においては、組織の境界をどんどん越えていきたい。

※私自身、ライフテーマに「意思決定層の多様化」を掲げていることもあり、このnoteでは、数あるロールモデルの中でも管理職の文脈に偏っていることを記しておきたい。

キャリアのロールモデル不足について

女性の管理職をどう育成していくかという文脈で必ず登場するのが「社内にロールモデルが不足している」問題だ。

それはそうだ。

男女共同参画白書 令和3年版によると、2020年の上場企業の役員に占める女性の割合は6.2%であるし、階級別役職者に占める女性の割合の推移については、部長相当8.5%、課長相当11.5%、係長相当21.3%である。

母集団が少ないベンチャー企業でいえば、管理職の女性が1人いればマシという状況だろう。

社内のロールモデルが不足しているというよりは、ほぼいないか、意思決定プロセスのどこかでロールモデルが途切れているのが現状だ。

私自身、そんな環境だからこそ、良きロールモデルの1人になりたいと思ってきたし、いまそう思っている。

仕事の成果を残すという面だけであれば気が楽なのだが、キャリアのロールモデルへの期待は、仕事だけでなく、ライフイベントにも及ぶ。リーダーで、子育てもしていて、趣味も楽しんでいて、サステナブルで・・・etc.

周囲からの幻想的な期待に応えようとするうちに、良きロールモデルの1人になりたいという思いが息苦しいものになっていく

そしてふと我にかえる。

誰かにとって完璧なロールモデルになる必要がどこにあったのだろうか。

キャリアのロールモデルが不足する事態は、男性にも発生しつつある。男性育休の取得促進を目的とした育児・介護休業法の改正等の動き等の時代の変化によって、例えば「育休をしっかりとって、子育てにコミットしている管理職像」が求められるだろう。

ロールモデルがいても「あの人みたいになれない」「あの人みたいになりたくない」問題が起きる

そして、キャリアのロールモデルがいれば、問題が解決されるかと言えば、そう簡単な話でもない。

ロールモデルがいたらいたで、彼女彼らがスーパーマンやマッチョに見え、「あの人みたいになれない」とか、「あの人みたいになりたくない」となる。

それはそうだ。

数少ないその管理職の女性は、同質性の高い環境に適応してきた人であり、それは、ロールモデルがどうこうという次元ではない。

目指したいかと言われたら、同じことは到底できないレベルだし、やりたいわけでもないし、結果、目指したくないと思いたい気持ちになる。

もちろんロールモデルはいたほうがいいだろう。しかし、1人しかいなかったり、1タイプしかないと、どうしてもこういう現象が発生する。

キャリアのロールモデルは社外で探せ

キャリアや働き方についてメンバーと話していると、「そもそもそういうことが出来るんだ」「発想すらなかった」という反応をもらうことが多い。

さまざまなタイプのロールモデルがボコボコいる状態がいいのだ。

しかし、1社で100のロールモデルを用意することは難しい。

1社で無理なら、複数社でそれができないものかと考えている。私は、個人の活動として、複数社合同のスポンサーシップ・キャリアプログラムを企画運営している。女性役員が1社に1人しかいなくても、100社集まれば100のケースを見てもらえるのではないか、という世界観だ。

ロールモデルは、「参考にしたい要素を組み合わせて自分なりにつくる人物像」のこと

最近、キャリアのロールモデルは、誰か1人を指すのではなく、「参考にしたい要素を組み合わせた人物像」という考え方を聞いて、なるほどなと思った。

思い返せば、私は、キャリアの相談は男性経営者の先輩方にするし、ライフテーマのロールモデルは本の中の人だ。漫画や歴史上の人物やアイドルからも参考にしている要素がある。要素分解して考えれば、すべてを同性かつ1人に求める必要はないのだ。

だから、社内にある数少ないロールモデルだけ見て、そうならなきゃとか、なれないとか思う必要はない。

ロールモデルが不足しているなら、どんぴしゃな人物が現れるのを待つより、社内外の合わせ技で自分なりに描いけばいいし、それが良いのだと思う。自分のキャリアを描く主体は自分だ。

そのために私は、キャリアのロールモデルの文脈において、所属組織にとらわれず機会を提供していきたいし、メンバーには社外にも複数のロールモデルを見つけてほしいと思う。

そして、キャリアのロールモデルとしてこうあらねばならないと思ってくれているメンバーには、感謝を伝えたい。それから、あなたらしくで良いんだよ、と声をかけられるようになりたい。


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