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後輩に伝えたかった、“可能性の選択肢”の話

卒業生として後輩に話す機会があった

私はいまGoodpatchというデザイン会社でUIデザイナーとして働いています。昔から何かを作るという行為が好きで、高校の時は美術科専攻、大学では東北芸術工科大学でグラフィックデザインを専攻していました。
大学を卒業して就職してから約一年経った先日、Goodpatchの運営するデザイナー就活支援サービス、ReDesigner for Studentという事業部の担当者から、「母校の後輩に、デザイナーになった先輩としてアドバイスをしてほしい」という依頼がありました。今回のnoteはそこで後輩たちに伝えた話の一部を書き綴ろうと思います。

なれるか?なりたいか?

私が学生に向けて話すときに、まずはこの質問を問いかけました。

「あなたは将来何になれますか?」

きっといろんなものが頭によぎった人がいると思いますが、これは自分の可能性の選択肢を「できること」ベースで絞り込んだ結果になると思っています。そして僕はもう一個角度を変えた質問をしました。

「あなたは将来何になりたいですか?」

これもまたいろいろなものが思い浮かんだと思います。そしてこれは自分の可能性の選択肢を「やりたいこと」ベースで絞り込んだ結果になると思います。そうやって自分の未来を想像したときに「できること」と「やりたいこと」で絞り込んだ可能性の選択肢の数は一体どちらが多かったのでしょうか? あまり答えは変わらないと思います。超絶スーパー最強天才人間でない限り、やりたいことよりできることの方が多い人間はいません。ましてや学生です。人生経験もまだ浅い彼らに一体誰にも負けられない何かがそんなに多くあるでしょうか?きっとないです。私なんか今もそうです。できることなんかよりできないことの方が多い。成功より失敗の日々の方が多い。 だけどやりたいことなら無限にあった。なんでも知りたい、遊びたい、行きたい、買いたい。興味の塊のような生き方をしています。

このように基本的に「やりたいこと」ベースで未来の選択肢を解放するとだいたいたくさん出てくるんです。しかし、就活というのはそのような可能性の選択肢をいやでも狭めてくる場所でもあると思っています。なぜなら 「仕事」という概念を頭で解釈したときに、どうしても「役に立たなければいけない」という思考に陥る からです。だからこそ大抵の学生は就活を始める段階で行きたい業界・職種を「できること」だけで絞りきってしまいます。なので自分の未来を大きく左右するファーストキャリアの選択肢をそもそも自分で閉じてしまうのです。私もいざ就活を始めた時は、各方面から押し寄せてくる募集要項の求める人材を目の前にしては、「ここに当てはまらない自分はそもそも対象者ではない。なぜならこれは私ができることではないからだ」と思い、ただ苦しいだけで、ずーっと応募できる企業を探していました。でもそんなものは多いわけがないんですよね。100%自分ができることで必要とされる社会にマッチするのは相当運がよくなければいけません。当時の私は、ずっと役に立たなければいけない。という謎の強迫観念にとらわれていました。私の人生なのに。

幸い私はGoodpatchという会社に運良く出会ってから、その脳のスイッチが変わって、私の「やりたいこと」で努力を続ける人生でもいいんじゃないかと思えるようになりました。これは幸運なことだったと思います。しかしそんな当たりくじをみんながみんな引けるわけもありませんから、僕はこの可能性の選択肢を広げる話をしました。言いたいことは一つでした。考え方次第で戦い方は変わる。ということです。1回や2回の勝負で勝てるようなモノでも時代でもありませんから、就活では可能性の選択肢をより多く増やして行動したやつが勝てると思っています。だから今すぐにでも増やせる「やりたいこと」を増やしまくって。と伝えたかったのです。いつだって可能性の選択肢の数は、自身がどの範囲で制限をかけて対象を選定しているかで決まってしまうことの方が多いのです。

できることを増やすのは難しい、けどやりたいことならいくらでも増やせる

大人になったからかもしれません。今思えば大学ではグラフィックデザインの技術やデザインの思想を教えてくれると同時にその生活や土壌、人、空気、食べ物、経験全てが「やりたいこと」のヒントになる場所でした。好きな子の誕生日に友達30人くらいにお願いをしておめでとう動画を作ってプレゼントしたことも、友達と地元をもっと盛り上げたい!と思い、新しくできる地元のピザ屋のアートディレクションの挑戦してみたり、やろうと思えば世界はなんでも許してくれる場所でした。当時は夢中で気づかなかったし、いざ就活となったらそんなことも忘れてしまい勝手に萎縮してしまったのですが、やはり思い返すとそれらの経験から自分はどんな人間なのか。を言葉にして人に説明できることが自身の魅力を伝える方法なんだと思います。だから、今このタイミングで就活にだけ目を向けるのではなく、今までこの環境が与えてきてくれた「やりたいこと」のヒントをもう一度思い出してから就活をはじめてほしかったのです。きっと焦りを感じていた後輩には少しだけ「自分のための就活をしてもいいんだ」と思わせることはできたかもしれません。

できることは今すぐに増やすことはできません。だって寿司を一人前に握るだけで10年とかかかるんですよ?寿司ですよ?そういうモノなんです。「できる」というのは難しいことなんです。世間の目もあります。すごい人なんていくらでもいます。でも 「やりたいこと」を抑制する世界はほぼありません。あなたの好奇心を呪う悪魔は存在しません。 その気になれば、1日に100個やりたいことを増やすことだって可能です。僕の卒業した大学はそれができる場所です。私はその「やりたいこと」を増やし続けるその意欲の根底こそが学習だと思っています。

言いたいことがありすぎて、当日も、ここでもしっちゃかめっちゃかになった気もしますが、
ぜひ、素敵な野望を増やしまくって就活をしてほしいと思い、これらを伝えてきました。

人は必ず人生を振り返る

僕の就活は完全に「やりたいこと」を重視して遂行しました。選んだ職業はインターフェイスデザイナー。人の生活を幸せにする職業です。正直未経験の場所に飛び込むことは恐ろしいことです。でもどうでしょうか。もう一度別の就活方法で、別の就職先を選びますか?と聞かれたら僕はきっと質問の途中で、もう一度Goodpatchがいいです。と答えていたでしょう。それくらい私の選択は私を幸せにするものでした。それも可能性の選択肢を最初にたくさん広げていたおかげです。

人は必ず自分の人生を振り返ります。
「あなたの昔話を聞かせて下さい」なんていう人はいないかもしれませんが、
誰かと初めて会ったときにする自己紹介だって立派な昔話です。
人は後悔をする生き物ですし、悪いことの方が思い出してしまいやすいですが、ここぞ!というときの選択肢を振り返るとき「私は間違っていなかった」と思えるような今を生きていきたいですよね。

明日死ぬ予定はありませんし、ずっとこれからも可能性の選択肢を今よりもずっと増やしていくんです。

大好きな大学の後輩よ、あなたはあなたを見限ってはいけない。

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