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喪失。

祖母が亡くなったことは、私にとって、とて大きな喪失だった。

例えば、1年に何度か帰る田舎にいる、たまに会うおばあちゃんとは違って、私は祖母のごはんで育ったし、一緒に仕事もしたし、10代のころから、祖母がかかった病院や、入院のお見舞い付き添いはほぼ私が行っていた。
ある意味、私はヤングケアラーだったし、とても繋がりが深かった。

・・・

私が生まれて、物心ついた時には、もう父はいなかった。

記憶に残ってるのはあごひげとメガネ。
1歳くらいの時に、両親は離婚して、父は出ていった。

父は、自営業だった母と恋愛ののち結婚したけれど、まだ父も若かった(20代前半、母より年下)から、母の店でずっと働くのもしんどかったらしく、たびたび失踪していたらしい。

外に女の人ができたり、故郷の岩手に勝手に帰ったり。

でも帰ってくる時は、いつも頭を抱えて落ち込んでいて、家族の誰も父を責められなかったという。

たびたび失踪して、浮気もしたのに、なぜか母も祖母も、父のことはいつもいいことばかり話したし、父を悪く言うことはなかった。

きっと何か大きな悩みがあったんだろう。
助けてあげられていたら、と口を揃えて言う。

もしかしたら、父にも、私と同じような精神疾患があったかもしれないと、今は思う。


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