見出し画像

僕の実家は下町の食堂

フジテレビで放送中の「春になったら」というドラマのロケ地として、僕の実家が使用されました。
第9話の冒頭の回想シーンと、中盤の食事シーンで映っているのが僕の実家です。

祖父が開業し、約70年続く老舗です。
と言っても歴史が古いだけで、美味くもなければ不味くも無い、本当によくあるタイプの食堂なわけですが。
創業時は大人気の大行列店だったそうですが、店を継いだ僕の父はTV取材の話も少なからずあったのを全て断っていました。
子供の頃はTV出たら人気出るのに何故断るのだろうと不思議に思っていましたが、今自分がTVで多くの飲食店をご紹介する立場になったからこそ、その気持ちが理解ができるようになりました。
TVに出ずとも常連さんを中心にぼちぼち安定して売り上げがある状態で長続きしている店なので、もしTVに出て行列にでもなれば一時的に売り上げが上がったとしても一番大事な常連さんを失いかねないわけです。
派手に店を営業したいわけではなく、地味でも着実に営業したいと考える飲食店の店主さんは僕が知る限りでも少なからずいて、僕がTVでご紹介したいとお話ししても断られることがしばしばあります。そしてそのスタンスも間違っていないと思います。だからこそ今はTVに出ないスタンスを逆説的に理解できるようになりました。

父は忙しすぎると機嫌が悪くなるタイプだったので、ただ単純にそうならないように断っていただけなのかもしれません。という以上に恐らくこちらが真相で、しかしながら結果的に常連を失わずにすみ、ぼちぼちの状態で70年近く店が続いたのでしょう。

今は母が基本的に一人で切り盛りしています。パートのおじさん、お姉さんもいますが、母ももう歳なのでいつまでも続くお店ではありません。
実は閉店の時期もざっくり決まっていたりします。

だからこそ今回は閉まる前に記録に残せる良い記念でもあり、ロケ地としての使用を受け入れたというわけです。
父が亡くなったこともありますが。

僕にとっても沢山の思い出があるお店です。
うどん、そば、ラーメン、中華、洋食までなんでもある食堂なのですが、僕はその中で特にカツカレーとカツ丼が好きで、週に1度はどちらかを食べていました。
本格的にカレーに目覚めたのは大学生の頃ですが、僕のカレーの原体験は、実家である下町の食堂のカレーなのです。

多くの人にとってカレーは家庭の味だとはよく言われますが、僕にとっては家庭が店だったので当然家庭のカレーが店の味であり、だからこそ今も食事のほとんどが外食なのでしょう。

僕は長男ですが音楽の道に進み、今も音楽を生業とし続けることができているので店を継ぐことはしませんでした。
音楽で食えなくなった場合の保険として、調理師の免許は取り、いざとなったら店を継ごうとは考えていましたが、そうなる前に店が閉まることになりました。

僕の実家に思い入れのある友人は沢山いると思います。
何かというと実家に友達で集まって飲んでいましたから。
そんなわけで僕の実家に思い入れを守ってくれている友人知人の皆さんは、行けるうちに行ってやってください。

そしてSnowMan深澤さんの熱心なファンの皆さん、聖地巡礼するなら早めに行くことをおすすめします。
深澤さんが演じる岸君が食べたカレーライス。
僕はそれで育ちました。

ちなみに主演の奈緒さんはカレー好きで有名なので、我が実家のカレーを食べてみてほしかったですが、きつねうどんを召し上がったようです。

閉店する前に僕も実家のカレーをまた食べに行かなくては。

月島駅6番出口を出てすぐ近くにある亀印食堂。
それが僕の実家です。

後日番組公式Xにて上の写真が公開されていました。
この3人のように、僕は多くの友達とここでこうやって語り合ったのを思い出してエモーショナル。
あの時ここで一緒に飲んだあなた、元気でやっていますか?

僕は色々なことに疲れ切って元気はありませんがカレーのおかげで健康ですし、今も音楽を生業として、さらにはカレーも生業の一部となって、今も生きています。
この場所が無くなる前に、もう一度ここで会えたら素敵ですね。

せっかくなのでそんな会を設けようかと思っています。
あの頃のように、告知はmixiでしますw

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?