見出し画像

入院して療法士について思ったこと (事故と入院を振り返って7) ~第49話 パラグライダーで墜落 そして入院~

職業別に入院中にスタッフの皆さんを見ていて思ったことシリーズ。
最後となる今回は「療法士」についてです。今回は現役の療法士さんにも是非読んでもらいたい内容を盛り込んでいます。

入院中は1回1時間の施術が3回ありました。土日や祝日関係なく、毎日3時間のリハビリがあったわけです。なので入院中に最も多くの時間を過ごし、お世話になったのが療法士さんです。事故からまだ時間が経っておらず、手術してからしばらくの間、つまりまだ体がピンチ状態の時にいた急性期病棟では理学療法士と作業療法士が一人ずつ担当になってくれました。そして状態が落ち着いて回復期病徴(リハビリ病棟)に移動してからは理学療法士、作業療法士の担当が一人ずつ。さらに副担当として理学療法士がもう一人ついてくださいました。つまり計5人の療法士さんが担当や副担当で自分についてくれていたわけです。

ところで、このシリーズの医者編で「誰が担当になるかはすごく大事だよね」というお話をしました。
詳しくはコチラ↓

自分を担当してくれた療法心さんは5人ともすばらしい方で、とてもラッキーでした。そんな5人に共通していた点はハードなリハビリをしてくれたこと。

「まだまだやり残したことがある。もっと沢山の写真を撮りたいし、またパラグライダーで飛びたい。だから体を可能な限り体を事故前の状態に戻したい。そのためにはどんなにきついリハビリになってもいい。食らいついていってみせる。」という私の思いに応えてくださいました。

筋トレでは容赦なく追い込み、悶絶レベルの激痛マッサージとストレッチをかまされました。挙げ句の果てに、まだまともに歩けてすらいない時期に担当療法士から「あそこに階段あるの見えます?ここ8Fですけど、退院前には自分の足でここまで登ってもらいますからね。」と衝撃的なこと言われ、蓋を開けてみたら退院1週間以上前から1段飛ばしで8Fまで登らされるという鬼畜っぷり。本当に素晴らしいコミット力でした。

そんな療法士さんとの面白おかしくもある(?)入院中のリハビリのストーリーはコチラから↓

かなりネタにしてしまいましたが、すばらしい療法士さんたちです。私のニーズに合わせてハードなリハビリを毎日してくれたことには本当に感謝しています。

これって一歩引いて見ると、結構すごいことなんじゃないかなって思っていたりもします。病棟の患者はほとんどが高齢の方です。体にかけられる負担の限界の問題だったり、本人の意思の問題だったり、いろんな理由でもっと軽いリハビリをすることがほとんどだと思います。その優しいリハビリを「普通」としていない。「ハードな施術」という真逆の方向性を求められた時にもしっかり対応できる。そういった幅の広さをちゃんともっているわけです。見方によってはプロとして当たり前だといえば、そうです。でもリハビリだけじゃなく色んなことのプロにおいて、その「当たり前」ができない場合が残念ながら多い気がしています。なのでそこの対応力をちゃんと持ち続けているのは結構すごいなと私は思っています。

担当5人の共通点がハードなリハビリをしてくれたことなわけですが、さらにもう一つ共通点がありました。それはリハビリ中の筋トレでは一緒にトレーニングをしてくれたということです。座ったり立ったりの筋トレ、足上げの筋トレ、プランク、はたまた一緒に8Fまで一段とばしで階段を登るなど、可能な時は一緒に筋トレをしてくれたんです。これは本当にありがたかったです。療法士さんが頑張ってやってくれるんですから、こちらが頑張らないわけにはいきません。自然と「やろう!」という気持ちにさせてくれます。モチベーションの維持には絶大な効果がありました。

そんな中で印象に残っているエピソードが2つあるのでご紹介。

エピソード1
リハビリ病棟の担当療法士、通称ハードボイルドKDさんとのリハビリです。KDさんは私が勝手につけた名前に「ハードボイルド」とつくような人です。筋トレをするのが趣味で、ボディービルダーみたいな人なんです。言うまでもありません、KDさんのリハビリが担当だった療法士5人の中でも最もハードです。そんなKDさんから言われたのが座って立ってを連続してやる筋トレ。もちろん一緒にやってくれるとのこと。でもこっちはまだまだ体力がない状態です。「ハンデがある!KDさんは重りを持つべきだ!!」といじり半分で言ってみたんですが、「わかりました」と素直にダンベル置き場へ。 
KDさん、右肩に20kg、左肩に20kg、計40kgの重りを持って戻ってきたんですwww40kgですよ!!!!!
こうなったら、こっちも腹くくって筋トレするしかありません。
二人ではぁはぁ息を切らしながら、筋トレしました。
ちなみにKDさんは40kgの負荷をプラスしているのに、俺と同じ回数の筋トレをやりきりました。マジですげぇ。。。。
あの時のリハビリルームは、、、、私とKDさんだけ温度差がとんでもないことになっていましたね。。。。2人だけリハビリルームではなく、強化ジムになってました笑

エピソード2
リハビリ病棟の副担当療法士Oさんとのリハビリの話です。
Oさんに言われた筋トレは座った状態で両方の足を右、左、右と交互に上げるももと腹筋の筋トレでした。負荷を高めましょうということで重りをつけられたのですが、、、、よく見ると、、Oさん、俺には4kgつけておきながら、自分には2kgをつけてるんです。
「なんで自分は2kgなの!?そんなんずるい!!!」と駄々をこねる私。
それに対してOさんは困った顔で
「だって私、女性だし、、、」
というのです。こまりましたね。すかさず
「俺なんて1ヶ月前まで半身不随だったし。」
と言って反撃してみました。
Oさん、、困ったのを通り越して絶望するような顔でこっちをみて何も言えなくなってしまいました。。。これはまずい流れです。すかさず
「ごめんごめん!今のはなかったことに!」
と言って事なきを得て筋トレをスタートw
あの時は、、、ちょっと発言が攻めすぎてたかな?
すみませんでした、、、笑

さて、話を戻していきましょう。
次に話すのは療法士さんの「タイプ」についてです。

体を可能な限り戻すために、ハードなリハビリを求めていた私としては、マッサージなどもハードにやって欲しいと思っていました。なのである程度、パワーのある療法士さんがいいなと思っていました。なのでどちらかと言うと男性の療法士さんが入ってくれたほうがいいなと思っていました。そして、自分の中にある療法士のイメージとしても、筋力のある人の方が療法士としては有利な部分がどうしてもあるんだろうなと思っていました。恐らく事実そういう部分はあるかとは思います。しかし、療法士にとって大切な要素は他にもあるんだと思った出来事があるんです。

そう思わせてくれた療法士さんは何度か私の施術にも入ってくださった女性の方です。初めての施術はどうしても様子見で優しくなってしまうものなのですが、その人は早い段階で私の場合はかなりハードにやっても大丈夫というのを見抜き、的確な施術をしてくれました。とても勘のいい人というか、頭のいい人なんだろうなと思っていました。ある日、その療法士さんは隣でお爺さんの施術をしていました。自然と会話している声が聞こえてきます。その療法士さんがお爺さんにかける言葉がすごくよかったんです。

「昨日すごく頑張ってくれたから、色々できましたよ。ありがとうね。今日もしっかりやっていきましょうね。」
「もうちょっとですよ。頑張ってやりましょうね。」
「すごい!目標回数達成しましたね。やりましたね!」
「今のうちにしっかり休んでください。次は腕の筋トレいきますね。」
「一生懸命やってくれたから、きっと良くなっていきますよ!」

なんというか、言葉のチョイスだったり、声のトーンだったりがとても優しかったんです。患者側は自然と「やろう」って思えるだろうなという感じを強く受けました。

患者がみんな100%リハビリを頑張れる状況とは限りません。体の関係で頑張りたくても頑張れない人もいます。普段はやる気がある人でも、どうしても気分が落ち込んでしまって頑張れない日もあります。自分にもそんな日がありました。あとそもそもやる気がない人だっています。そんな人達でもかけられる言葉によっては「やろう」「もうちょっと頑張ってみよう」と思える。そういった気力を引き出すことも、療法士には大切な能力なんだろうな思わせてくれる出来事でした。

もう一つ、療法士さんの素晴らしい出来事がありました。
それは担当療法士さんのKDさんと院内で歩行訓練をしていた時の話です。KDさんの先輩にあたる療法士さんが話かけてきました。事務的なことでどうしてもKDさんに確認が必要で話しかけてきたみたいです。その話が終わると、私の話になりました。実はこの出来事の前日、先輩の療法士さんは私の施術に入ってくれていました。

KDさん「昨日、前島さんの施術はいってくださいましたよね?どう思います?」
先輩療法士「KDさんの言う通り、〇〇の筋力が足りないから、歩く時にまだカクッとした動きがでてるし、くるぶしの後ろの部分が痛いといっているのもそのせいだと思う。でも弱いのは〇〇筋だけじゃなくて、△△筋の部分の筋力も足りていないのかなと思う。だから筋トレは〇〇筋だけじゃなくて、△△筋の強化も増やしていったほうがいいと思うよ。」

そんな感じで、私の歩く様子を見ながらKDさんと先輩療法士さんは私の現状、足りていない部分を分析して今後の施術の方向性などを結構長い時間一緒に歩きながら議論してくださいました。専門的な用語が結構出てくるので1/3くらいしか話の内容はわかりません。ですが、二人ともすごく豊富な知識を持っていて、それをもとに意見を交わして、今後の方向性を話し合ってくれているのは私にもわかりました。

何ていうんですかね。そうやって真剣に患者と向き合っている姿がすごくありがたいですし、何より安心感がありました。そうやって療法士さんたちも連携して患者が元気になるよう努力してくださっているんだな。ありがたいなと思った出来事でした。

・一緒にトレーニングをしてくれる療法士
・しっかりとパワーのある施術ができる療法士
・優しい言葉がけで、患者のやる気を引き出してくれる療法士
・豊富な知識と経験で的確な施術、治療の組み立てができる療法士

色んなタイプの療法士がいて、色んな能力が必要なんだなと勉強になりました。自分が入院した病院は大きいだけでなく、リハビリに力をいれている病院でした。その分、療法士の数がかなり多いので、色んなタイプの患者に幅広く対応できるという部分は病院として有利なんだろうなとも思いました。

退院して4ヶ月。普通に歩き、階段を登り降りできるようになりました。今ではジョギングの練習をするまでに。社会復帰もして、大体の撮影もこなせるくらいに体は戻ってきています。ここまで順調に回復しているのは療法士さんたちが頑張ってくださったからなのは間違いありません。本当にありがとうございます。

以上が「入院中にそれそれの職業に思ったこと」となります。

次はそういった事を踏まえて「入院時の心得」をテーマに話して行こうと思います。

お楽しみに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?