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パラグライダーで墜落。そして入院。その11 ~寝たきりの代償~

墜落して26日くらい。腰の本手術をした2日後の話です。

自分用のコルセットが届きました。手術した腰の骨を守るためのものです。腰を曲げたり、ひねったりする動きがNGなので、そういった動きに制限をかけています。なのでおへその下から胸まであるがっしりとしたコルセットです。

さて、腰の本手術から2日経った日で、まだまだ術創が痛みます。動いていなければそんなに痛くないですが、左の横腹に力がかかる動きをするとかなり痛くなります。

そんな状態でもリハビリは再開されます。当然、術創が痛くならない範囲でのリハビリをされるんだと思っていました。

真逆でした。。。。

担当の理学療法さんの視点としては
「腰の手術も終わった。コルセットも届いた。やっと条件がそろった。」となっていたんだと思います。

明かされたリハビリのメニュー。それは「離床」
ベッドの上で起き上がってすわることです。

そう言われたとき、俺はこう言いました。
「それは無理です。まだ手術が終わって2日しかたっていない。まだ術創(左の横腹)が体を動かすとかなり痛む。左手で歯磨きをするだけで辛いくらいなんです。ベッドで起き上がろうとすれば左の横腹に力を入れなきゃいけないので、めちゃくちゃ痛くなるはず。まだそれをするのは早すぎると思います。傷がもっと癒えてからでいいのでは?」
たぶん、誰でも同じ反応をすると思います。

療法士さんの返答はこうでした。
「あなたはもう1ヶ月近く寝たきりの状態が続いている。寝たきりでいると日々、驚くほど体力が奪われていっています。痛くなるのはわかっています。それでも今は一日でも早く起き上がって体に刺激を与えることがすごく重要なんです。だから今日は多少痛みを我慢してもらわなきゃいけません。」

その寝たきりの日数がもう一ヶ月近く経っていれば、もう2,3日ずれたくらいで大差はないのでは?と思いましたが、強く言われたので、従う以外の選択肢がありませんでした。色々疑問はありましたが、渋々受け入れました。

そしていざ起き上がってみると、、、起き上がる途中はやはり想像した通り、術創はかなり痛かったです。でもなんとか我慢できる範囲でした。
完全に起き上がると、、、想像の何倍もつらい。
手術をした腰が痛いのは納得できます。でも他にもあちこち痛い。自分の体重を支えているお尻や太ももすら重みに耐えきれず痛みを覚えます。体の角度を安定させて支える両手も必死です。すべて筋力の低下から来ているものでした。

ベッドの上に起きているだけなのに、、、、
ただ座っているだけなのに、、、、、色んな所が痛い。
めちゃくちゃしんどい。。。。
しかもびっくりするほど立ち眩みがする。。。
文字通り、フラフラです。

起き上がってみて、はじめて理解しました。
約1ヶ月間寝たきりだった代償は想像以上に大きい、、、と。
一日でも早く起き上がったほうがいいと言われたのも、今ならうなずけます。それくらいショックを受けました。
ただ、初めは皆こんなものだそうです。ここからリハビリを続けていき、時間をかけて立って、歩くとこまで行くそうです。今の自分からすると、歩けるようになるまでの道のりは気が遠くなるほど遠いなと感じました。

こうして寝たきりの代償への大きなショックとともに、この日から本格的なリハビリがはじまっていきました。

翌日のリハビリは同じような内容で、離床訓練。ただし離床する時間が前回はせいぜい5分だったのに、この日は10分以上に挑戦。。。。かなりハードです笑
そして次の日はさらなるステップへの挑戦が待っていました。自分の力でベッドから車椅子に乗る訓練です。

ところが車椅子への移動は体力の低下だけでない大きなハンデがありました。それは左足の免荷重です。

次回は免荷重の話と、車椅子で病室の外に出た先で出会った景色についてのお話をしていきます。



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