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【読書】オリジン/Origin - ダン・ブラウン

インフェルノに続いてオリジン、読みました。スペイン、ガウディ、そこからウィリアム・ブレイクという流れで謎解きは進みますが、焦らされる話しの進め方にもやもやしました。

そして本書を読んでいろんなことを考えさせられました。

テーマ、人類はどこから来てどこへ行くのか

コンピュータサイエンスの天才が世界の三大宗教団体のトップと会談で持ち出したセンセーショナルな内容、それが引き金となって巻き起こる殺人事件、その謎を最先端AIプログラムの力を借りて解決していくラングドン教授の活躍譚になります。

そのセンセーショナルな話のテーマというのがまさしく人類の起源、いくすえですがそこは各宗教が常日頃信者たちに説いている神の領域に踏み込むものですから反発を買うのは当然ですね。

ちょうどこれを読み終えてしばらく寝かせていたら今年のノーベル物理学受賞のニュースが飛び込んできました。真鍋さんが気候温暖化シミュレーションモデルを作り出した研究です。その研究で真鍋さんはものすごくコンピュータを使ったというインタビューをみて、自分の中でなんてタイムリー、と思いましたが、この小説が発表されるずっと前から取り組まれていたのです。そこに今風の味付けが入ってますが、ダンブラウン氏のリサーチや描写は2021年の今でも古く感じさせないですね。

昔ながらのノイマン型コンピュータのすごく速いマシンと量子コンピュータを組み合わせたマシンは実現できるかどうかはわかりませんが(^_^;)

コンピュータがすごく進化して、件のシミュレーションがものすごいスピードでできるようになり、どのようにして人類は、いや生命は始まったかが解き明かされたところはちょっと信じちゃいました。

何かで読みましたが異星人、UFOとかの話がいっぱいでるけど普段から観察しまくってる天体物理学者とかそういう人たちからは何も声が聞こえない矛盾を考えると妥当な落とし所なのかもしれません。夢はないけど。

じゃあ人類はどこへ向かうのか、新たな種、目、界が始まるというのです。いや、始まっているというのです。
新生物?宇宙人?なに?と思いますよね?

本書が解き明かす新しい界とは、(ここ数年映画などでも取り上げられてますし、実際にもうやってる人たちが増えてるそうですが、)コンピュータ機器、チップを体に埋め込むやつです。

えぇー、そこ?みたいな行き先でちょっと頭が混乱しましたが、Apple Watch、iPhone、いずれはApple glassとかいうメガネも出てくるかもしれませんね。埋め込まないまでも十分利活用してるので、昔の『人類』とはいろんな点で既に今の人類は過去の人類を越える能力を持ち始めているのは確かなようです。

人類のいく末、自分の行く末、社会の行く末が心配になった

でもいくら科学技術が進歩しても一千年の昔から宗教が無くならない理由として人の心が進化しないとダメだと思うのです。

私はIT業界の端っこにいますが、普段やってることはなんてことないべたべたな人外戦術、ドブ板営業がまだまだ多いし、コミュニケーションの取り方なんて〇〇ハラスメントって言葉が次から次へと出てくるくらい全然だめなんです。

偉い人に対する忖度とかもいっぱい。今時まだそんなこと言う?ってくらいめんどくさいです。

それにもう昔とは違う、パワハラだめ、セクハラダメって言うけど本当には無くなってないですよね?TwitterとかのSNSでもすぐに煽ったり人を貶めたり。

それに真鍋さんが言ってましたけど日本は人に気を使いすぎる、と。ほんとそれなんです。行間を読まないといけないことが多すぎるんですね。それを考えすぎて疲れることが多いです。

日本だけじゃなくて世界に目を向けると、未だに台湾にこだわる中国、北方領土を返さないロシア、竹島を自国領土と主張し占領する韓国、中近東、東アジアをとりまく宗教戦争、ひと頃の世界平和を目指した社会は何処へやら、今はどんどん悪くなってるという気がします。

新しい界とか、行く末とかについて、へぇー、と思いましたがそういうところが本当に変わらないとダメなんじゃないかな、と思いますね。

そして地球環境も地震、猛暑、台風、豪雨が昔よりもひどくなってきてます。安心して次の世代に良い環境、良い世界を残していく責任を誰も感じてないのかな?なんてエンターテイメント小説からめずらしく重たいことを考えちゃいました。

だからと言って自分の行動をすぐに変えられるか、というとなかなか難しいのですが、少しでも変えていきたい、と思いました。

ウィリアム・ブレイク

トーマスハリスのレッドドラゴンで知り、その後もいろんな小説でお目にかかりますが、本作でも大事なパスワードのキーとして出てきます。

ブレイクについてもっと知りたくなってきました。彼の作品や解説している本を探してみようとおもいます。

おすすめ度:★★★(ちょっとダヴィンチコードや天使と悪魔ほどの目新しさがなくなってきてからでしょうか)

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