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【読書】ジェームズ・ロリンズ/アマゾニア

シグマシリーズでお馴染みジェームズ・ロリンズ氏の初期の作品です。タイトルからお分かりのように舞台は南米アマゾ未だ文明が分け入ったことのないような奥地でロリンズ氏お得意の冒険活劇が展開されます。

ストーリー

物語は初めにある行方不明者がジャングルの奥地から生還したところから始まります。彼は結局助からなかったのですが、実は行方不明になった時、彼は片腕がなかったはずなのに、回収された遺体にはしっかりと右腕が「生えて」いたのです。

そしてその彼に関わった人たちからどんどん謎の病気になっていくという、コロナ禍を彷彿させるような怖い事態が起きます。

主人公、いわゆるいい人たちチームと悪い奴ら、そしてジャングルの奥の謎の存在が絡み合いながらも人類を救い出すための秘薬となりうる「何か」を探す・奪い合う展開です。

いい人たちチームは軍隊、研究者などさまざまなバックボーンを持つ人たちからなります。主人公ネイサン・ランドは民俗植物学者。ジャングルの奥地の植物にとても詳しいのです。そして、言語学者・古人類学者のレッシュ・コウエ。この二人はアマゾン原住民のことをとてもよく理解している研究者です。そしてマヌエルとジャガーのトートー、ケリーとフランクのオブライエン兄妹、コストス軍曹、カレラ上等兵など興味深い、映像化されたらあんな女優俳優が似合うだろうなぁと想像を掻き立てる魅力的な人物がたくさん出てきます。

私はとても猫が好きなのですが、この本読んでて、うちにもトートー見たいなジャガーが一匹欲しい!と思いました。でかいけど可愛い猫系動物、最高ですね。怒らせたらやばいですが(汗)

一方悪い奴らも魅力的です。ルイ・ファーブル。名前からするといい人っぽいですが、めっちゃ悪いです。レイダースのあの丸い眼鏡をかけたとけちゃう悪い人をイメージしてしまいました。そしてツーイ。超怖いです。

ツーイ、そうですね、80年代末期に活躍していたグレースジョーンズを思い浮かべてます。切れ味抜群でやばい感じなんかぴったりで彼女を思い浮かべて読んでました。

何やらかんやらありつつ、物語は奥地へ

パン・アリという謎の種族を探すことになり、奥地へとむかういい人チームがすごく苦労ばかりします。足の生えたピラニア、巨大イナゴという恐ろしい見たくもないようなヘンテコな生物に襲われたり、せっかく作った筏を燃やされたり、散々です。

そしてたどり着いたパン・アリの住む聖なる地は言うなれば古生代の植物が自然の作り上げた人が入りにくい奥地で、巨大な木を母なる木としてあおぎ、まつり、共生している世間とは隔離された摩訶不思議な世界でした。こういうことを考えさせて、描かせたらロリンズさんはやっぱり面白いですね。

シグマシリーズでも時々びっくりするような謎のワールドを地球上に出現させてくれますがその才能の片鱗はこの本ですでに発揮されていました。

この木が実は全てを司り、全てを解く鍵なのですが、そこはぜひ読んでいただきたいです。

SDG`sのご時世なので、自然を大切に

映画アバターで誰かが死ぬとかよりも悲しかったのは巨大な木が焼かれ、倒されていくシーンでした。本作のラストでも似たような展開がありますが、こういう聖なる土地が文明が入り込み破壊される様を描くのは小説の上、冒険譚としては必要なのかもしれませんが、実に西洋的というか、残念です。

最近思うこと

全然本編とは関係ないのですが、今回なぜか読むのにすごく時間がかかりました。老眼が進み、読書の際の集中力が落ちているのかもしれませんがいつもなら上下巻合わせて遅くとも10日もあれば読み終わるはず、なのですが一月以上かかってしまいました。このあとまだシグマシリーズ新作もすでに控えていてペースアップして読みたいのですが、ちょっと不安な今日この頃です。

おすすめ度:★★★☆(まずまず。初期の作品ということで少し盛り上げ方が足りないところは否めませんが、ベースはしっかりしているので面白く読めます!)

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