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「フィンランド、幸せのメソッド」を読んで

堀内都喜子著「フィンランド 幸せのメソッド」(発行所:㈱集英社)を読んだ。

 

たぶん、国連が公表している「世界幸福度ランキング」を見なかったら、読まなかった本。
2023年度に発表した世界幸福度報告書では、フィンランドが1位、デンマークが2位。フィンランドは6年連続で1位らしい。ちなみに、日本は47位。

フィンランド?

フィンランドと言えば・・・北欧か・・・のどこだ?
北欧と言えば、オーロラと寒そう。フィンランドで知っていたのは、ムーミンとノキアくらい。
ほとんど知らない国。

もっとフィンランドことが知りたくなって、本屋さんに直行。何軒か回ってみたけど、フィンランドの本は少ない。「行ってみたフィンランド」的な本が数冊。
情報量が少ないと、それはそれとして興味が湧いてくるもの。不思議。
本書は、そうやって、買ってきた最初のひとつ。
読むほどに、「不思議の国、フィンランド」 

はじめに・・・フィンランド

フィンランドは、スカンディナヴィア半島の根本に位置し、スウェーデンとロシアに挟まれている。
ヨーロッパの北の外れ。「スカンディナヴィア半島には、デンマークとノルウエー、スウェーデンがある」とされているが、フィンランドも根本で頑張っている。ちょっと違う存在のよう。

国土は、304,000㎢で、日本を一回り小さくした感じで、およそ520万人が住んでいる。国土に占める森林面積が多く、その73.7%が森林。この点も日本に似ているけど、日本の人口は1億2,500万人。人口密度が全然違う。

また、フィンランドは何といっても寒い。白夜がある。ヘルシンキあたりでも6-7月の2か月ほどは白夜が続き、最北端では4か月近く沈まぬ太陽が続く。
ただし、フィンランドには、ほぼ地震がない。固い地盤の国のようで、だから、温泉もない。地震大国の日本には羨ましい限り。だから、オンカロをつくろうなんて発想につながるんだろうな。だけど、温泉がないのはなぁ。まぁ、だから、サウナが流行るのだろうけど。立地条件や気象条件の違いは、ライフスタイルに大きな影響を与える。 

不思議な国

本書によると、現在のフィンランドは、小学校から大学まで学費は無料。 18歳未満の医療費も無料で、学生手当もあるらしい。なんだか、とっても羨ましい。 あれもこれも国が出してくれる。だけど、どこに財源があるんだろう、とも思った。北海道の人口と同じ位の規模で・・・。

各国政府の主要財源は諸税。だけど、税負担が大き過ぎると、国民生活が厳しくなくので、匙加減は難しい。
OECD(経済開発機構)が「国民負担率」を、国別にランキングしたところ、フィンランドは7位で61.5%もの負担率になっている。国民負担率は、租税負担率と社会保障負担率を合わせたもので、国民一人当たりの負担の大きさを示すもの。
これだけの負担になると、どうなんだ。日本は26位で、フィンランドとの差は17%ほど。 と思ったりもするけど、国民感情として、搾取されている的なものはないらしい。(ホントかどうかわかりませんが)

若き女性首相の活躍

本書のまえがきの話題に、サンナ・マリン元首相の話が出ていた。彼女は、両親が離婚し、その後、母親が同棲パートナーと一緒になり、育てられた。決して、エリート街道まっしぐらではない。調べてみると、女性首相は、彼女が初めてではないようだ。
日本とは大きな違い。
彼女の業績として称えられることのひとつが、サウリ・ニーニスト大統領の元でN ATO加盟を遂げたことだろう。

フィンランドは、長くスウェーデンとロシアに支配され、1917年の漸く独立した国だ。まだ、1世紀ほど。独立したと言っても、ロシアとは1,200kmもの長い国境がある。そのロシアが、ウクライナと戦争を始めたことは、恐怖に近いのではないか。

ウクライナ/ロシア戦争が始まってすぐにフィンランドは、ウクライナに武器供与を行うと共に、NATOに新規加盟申請した。加盟には、既往加盟国全ての賛同が必要で簡単じゃないけど、フィンランドは30年も前からNATOに協力してきた歴史がある。2023年4月にはNATO加盟を果たした。
スウェーデンとロシアの挟まれた小さな国には、スピィディな政治判断が必要だ。

やはり、日本とは違う道を歩んでいる。

それにしても・・・教育や医療・福祉に注力するだけでなく、軍事力増強してて、一体、この国はどうなってるんだろう。日本のモノサシで考えてしまうからか、なんだか、わからない。

わからないから、もっともっと、フィンランドを知りたい、と思った。

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