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ヒステリック・タイフーン

うちの病院の事務課は
すごい病んでいる

事務課長がよそからきて
ベテラン勢とのソリがあわず全員辞めた

そのあたりから
忙しさがハンパないらしく
キーボードを弾く音が

何でこんなに仕事しないときけないの?

あー課長、ウザいホントウザい、死ねキモイ

リハ科、早く出欠押せや、このグズ

そう聞こえてくる

先週は階段の途中で
事務課長に

どうして私がこんなことまで
しなくちゃいけないんですか?

と、すごんでる
30代の女性事務員を目撃してしまった

ラキぃぃぃ

事務課長は、まーまーまーまーと
あまり受け止め方がよろしくない

それもそのはず
彼女はこの界隈で有名な

ヒステリック・タイフーンなのだ

あちこちに移動しながら
文句を言いまくる
教科書みたいな更年期障害女だ

今でこそ
事務処理はデジタル管理になったが
以前は記載物を事務に
持っていかなければならなかった

我が部所は
クイックルワイパーが欲しくて
(可愛いもんだろ、クイックルワイパーだぞ)
物品請求したのに
3ヶ月経ってもまだ届かない

嫌な予感を胸に
山ちゃんは事務課へ催促に
向かったのだった

嫌な予感は的中

その日は、物品請求担当の娘が休みで
あのヒステリック・タイフーンが
デスクに定着してる

今日は動かないのか

すごい顔してる

誠にすごい顔だ

化粧してあの形相だから
洗顔後を見てしまったら
俺ならチラ見で石化するだろう

今日の物品請求担当なのに
誰も話しかけてくれるなオーラが
この部屋を充満させていた

隣にいる、駐車の下手くそな
須藤主任に言おうかな、と声をかけたら
信じられないことに無視された

↓須藤主任のエピソードはこちら↓

違う違う、ほぼ同時に電話が鳴ったのだ

俺が先に話しかけたんだから
電話に出るなよ、と思ったのだが
電話に夢中になってしまった彼を
阻止するほど俺のメンタルは強くない

やはり、あのヒステリック・タイフーンか

山ちゃん:

あのぉぉぉ

ヒステリック・タイフーン:

、、、 、、、

ここで無視かよ!
こんなそばであんたに声かけてんのに
無視できるメンタル

オリハルコンか

山ちゃん:

あのぉぉぉ、3ヶ月ほど前に頼んだ
クイックルワイパーが届いてないんです

と言ったら、キリッと睨まれて

ヒステリック・タイフーン:

私、3ヶ月前にそんな話
聞いてませんけど

こんな理不尽な話があるか
ここは会社だ

女性特有の、私聞いてません
そろそろやめてくれないか
刑法で決めてくれ
私聞いてませんは懲役8年

これ女社会に多すぎる

あなたに話していなくても
記載物は提出しているものなのだ!

俺が、渋〜い顔して
事務課長の方を見ると
事務課長も俺の方を見て
いたたまれない顔をしていた

山ちゃん:

ですよねぇぇぇ

やめやめ、明日にしよう
と、立ち去ろうとした時

須藤主任:

山ちゃんさん、確認します
それ先月届きませんでしたか?

電話が終わった主任が
助け舟?を出してくれたのだった

が、気を許してはいけない
コイツは駐車がハンパなく下手くそなのだ
駐車が下手くそなヤツなど信用できない

山ちゃん:

あれ、クイックルワイパーじゃないんだよ
俺が欲しいのは、床掃除の方

須藤主任:

届いたヤツ、返品しました?

俺は、もちろんだ、と頷く

須藤主任:

分かりました、確認します

何とか、やり取りが終わったようなので
この禍々しい部屋から立ち去ろうと
振り返った時

ヒステリック・タイフーン:

よかったですね

と、俺を見もせずに
言い放ったのだった

あまりにも
ホルモン代謝異常が過ぎるぞ、と
俺のオーラは彼女に襲いかかっていたが

山ちゃん:

ハッ!

と、俺、思わず
詰まった何かを吐き出してしまったのだ

やべ、と思った時にはもう遅い

ヒステリック・タイフーン:

こー、わッ

って、言われました

(笑)

何なんだ、あいつ

その後、ほどなくして
彼女は子どもの世話が大変だとかで
先々月退職、ほか事務員3人も同時に退職

どこまでも呪われてる部所だ

事務課長ほか一同
ホッと胸を撫でおろしたものの
3人辞めたらどうなるか
分かっているのだろうか

面白かったね

須藤主任に
あの当時を、俺なりに話したら

須藤主任:

今度、入る人
もっとヤバいですよ

と、ニヤリと笑って
俺を脅してきたのだった

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