当たり前の話だが、小学校には同じ建物の中に、一年生と六年生がいる。六歳から十二歳。急速な成長を伴う期間を一つの建物で過ごすのだ。一年生と六年生の平均身長差はおよそ30cmである。一年で5cm身長が伸びる、というのは改めて考えるとなかなか劇的だ。

 高学年になってから、戯れに、すでに下級生が下校した教室に入ってみたことがある。同じ建物で、同じ教室で、同じ机。けれど驚くほど低くて、足が窮屈だった。「すごい! 小さい!」友達と歓声を上げたのも、覚えている。

 学校の机は、個人のものではない。同じものが教室には均等に並んでいて、その教室もまた、均等に並んでいる。時々カッターや彫刻刀で文字など掘る悪ガキもいるけれど。

 別に全然思い入れなんて、ないつもりだったのに、大きくなっていることを、大人になっていることを、私はそのとき、教えられた気がする。

 端の丸い、小さな机。今もしあのころの小学校の椅子に座れば、どれほど小さく感じるのだろう。どれくらい、大人になったのだろう。

 あの頃たくさん学んだ机はきっと、静かに教えてくれるだろう。