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牡蠣 #NHK俳句季節往来 投稿作

瀬戸内海の牡蠣

 大学卒業後、岡山で会社員生活をスタートした。春と夏、同僚たちと船に乗り、瀬戸内海の島に一泊した。島で海水浴とバーベキューをたのしむ。夜、海に唾を落とすと夜光虫が反応して光るのは面白かった。
 天然の牡蠣が浅瀬にごろごろあった。先輩が殻をあけて海水でちょっと洗っただけで口に放り込む。「食べてみられ」と渡された。
 夏の牡蠣って大丈夫かなあ。念入りに海水で洗い、思い切って口に入れる。すごく濃厚。先輩の前なので幾つも食べた。するとそんなに好きならと袋にたくさん入れ、帰りに持たせてくれた。要らないと言えない。ベランダ
に置いたまま忘れて、全部腐らせてしまった。先輩ごめんなさい。

稀人は海より来たり夜光虫


NHK俳句には、「季節往来」という読者のお便りコーナーがあります。
その月のテーマに沿った300字程度のエッセイに、それに合う俳句を添え、題名も自分でつけます。
テーマ:夏の海で出したお便りが没ったので、お亡くなりになったお便りをここにアップし弔うことといたします。


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