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フルリモートハッカソン運営体験記

2020年のいつの間にか9月の終わり。もしこの後いつものように忘年会があるとして「今年一番時間を過ごした場所がどこか?」と聞かれれば、その答えは間違いなく「家の作業机」だと思います。

今や家の中で過ごすあの懐かしい幸福感は消え去って、お昼休みに家の近くのコンビニに昼飯を買いに行く時間が1日の中で唯一外の空気を吸って、空を眺めることができる時間になっています。まさかコンビニ行くだけのこの時間が、日々の生活の中で一番楽しみな時間になるなんて思っていませんでした。

2019年の暮れから世界的なパンデミックを引き起こした新型コロナウイルスは、私たちの生活の様々な側面を激変させました。そして、私たちは今もまだその真っ只中にいます。

良くも悪くもタイミング

2020年2月、関東で新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大し始めた頃、ゆめみは、早々に「すべての従業員は、在宅勤務を標準とする」という対応方針を決めました。あくまで「標準」ではあるため、プロジェクトの状況や必要に応じて「プロリク(弊社内における稟議的な機能)」を実施することでこれを上書きすることはできます。しかし、おそらくゆめみに務めるほとんどの人にとって初めての経験であるパンデミックという事態に対する不安、感染予防のための外出の自粛、そもそも在宅やリモートワークにも柔軟な姿勢の社員が多いという要素があいまって、意外にもスムーズに全く新しい生活に適応できていたかなと思います。

そんなフルリモートの生活が始まって1〜2ヶ月がたった頃、私は入社して立ち上げた「ゆめみ塾」の活動の一環として、エンジニア、PM、デザイナー、それ以外の人たちを巻き込んだチームでモノづくりをするイベントをできないだろうかと「未来研究委員会」という別組織のメンバーから相談を受けていました。元々、案件以外で業務の専門領域を跨がることが少ないゆめみ社内で、特にテーマを縛らず、広く横の繋がりを構築することを目的として立ち上げたのがゆめみ塾だったので、私としては嬉しい相談でした。

加えて、新型コロナウイルスによって半ば強制的に導入されたフルリートワークの環境は、今回のモノづくりイベントを開催にするにあたって、いくつかの面白い状況を生み出していました。

例えば、フルリモートになってことで、各拠点の物理的な分断がなくなり、全国どの拠点のメンバーでも気軽に勉強会に参加しやすくなっていたこと。しかも、イベント自体のテーマを決めるのも非常に簡単で「新型コロナウイルス」と「在宅勤務」という2本立てのタイムリーなものがあったこと。さらに、ゆめみでイベントに参加してくれる可能性のある全てのメンバーが、この2つのテーマを体験した当事者であり、そこから見えてくる気づきや違和感を形に変換することができること。

タイミングは絶妙でした。

約5ヶ月間のイベント運営で見えたこと

私個人としては、本物のハッカソンに参加したことがないため「あるべき形式」については詳しく把握できていません。ただ、今回のイベントは、フルリモート開催であること、まる1−2日間といったまとまった稼働時間を数十人単位で確保することが難しいこと、そして何より、この活動を通じて普段案件などで関わることがないゆめみのメンバー同士が新しい関係性を構築してくれればと思っていたこともあり、2020年5月中旬から9月30日までという長期スパンのイベントを運営することを決めました。

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このイベントで探究したかったことは、「新型コロナウイルス」と「在宅勤務」というテーマに対して、「どうすればプラスの状態になるか?」ということでした。

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そして、本イベントにおいてそれを実現する方法としての唯一の縛りは、「何かしらのテクノロジーを活用して動作するものであること」でした。

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ハッカソンイベントの進め方としては、ざっくり
1. 思考のプログラム
2. 口説きのプログラム
3. 創造のプログラム

という3部構成で進めてきました。

思考のプログラムでは、社内でも勉強会や委員会活動への参加が割と活発な15名のメンバーが集まってくださり、今回の新型コロナウイルスや在宅勤務によって日々モヤモヤしていることについてお互いに対話を深め、似たような課題意識を持つメンバーで5つのチームを構成してもらいました。そのあと約1.5ヶ月の期間を経て、解決したい問題と作りたい形について、毎週1回1時間程度の人間中心設計(Human-Centered Design)を体験するワークショップに参加してもらいながら検討を進めてもらいました。

口説きのプログラムは、思考のプログラムで構想したアイデアについて各チームで、まだイベントに参加していないメンバーに向けて、共感を集め、一緒に作ってくれる仲間を集めるという目的でイベント全体の中間地点で設定しました。人間中心設計における「コンセプト受容性調査」やデザイン思考やデザインリサーチにおける「犠牲にするコンセプト(Sacrificial Concept) 」と呼ばれる手法を応用した形のイベントプログラムになります。たった2時間程度のイベントではありましたが、社内の約1/6にあたる40名近いメンバーが参加してくださいました。また、20名程のメンバーが実際に各チームの発表に共感して、イベントへの参加表明をしてくれました。イベント開催当初からは2倍人数での最終プログラムへの突入です。

創造のプログラムでは、運営は基本的に何もしていません。ただ、毎週1回1時間「もくもく会」と呼ばれる、それぞれのチームがプロトタイプの制作をもくもくと進めるzoomミーティングの会議体を用意しただけです。この時間を使わずに別で定例時間を確保して作業を進めるチームもあったり、7月中旬から実施していたもくもく会に毎回チームメンバー全員参加で皆勤賞のチームもありました。いつの間にかそれぞれのチームが勝手に親睦を深め、勝手に計画を立て、勝手にそれを実行するサイクルが生まれているのを目の当たりにして結構感動していました。そして、8月末に実施して中間発表会では、運営側が全く予想もしていなかったレベルでアイデアをブラッシュアップして、プロトタイプを作り込んでいました。

今思えば、通常業務の傍らで、一つ一つプログラムを考えて、参加者の様子やフィードバックを受けながら内容調整をして、毎週反省会をしながら、ゼロから取り組んだこの約5ヶ月間は、まずここまでやりきったことに意味があるし、「自分以外の誰かの創造性が発揮される場をつくる」という個人的なデザイナーとしてテーマにもマッチする体験でした。もう少し深い考察ができそうですが、それは一緒にこのイベントを運営してきたメンバーと反省会をしてからまた改めて書きたいと思います。

いよいよ明日(今日になってしまった)が発表会

そんなこんなで、明日、2020年9月30日(水)19:00~(今日になってしまった)は、いよいよこのハッカソンイベントに参加している5チーム取り組んだアイデアとプロトタイプのお披露目会です。

「オンラインでどうやってコラボレーションするの?」「ゆめみってどんなことやってるの?」「デザイナーとエンジニアはどうやってコラボレーションしてるの?」「今回のプロトタイプではどんな技術を使った?」などなど沢山の発見があると思います。参加費は無料で、どなたでもご参加いただけます。

ゲストコメンテーターも正直かなり豪華です。イベント終了後には、ゆるっと懇親会もあります。発表の中だけでは聞けなかったこのイベントの紆余曲折についてもざっくばらんにお話しできるのではないでしょうか?

そして何より、このイベントには最優秀賞があり、その称号を獲得したチームには賞金が贈呈されます。このイベントに参加していただける皆さんからの投票が直接結果になります。

お時間ある方は、ぜひ参加して、一緒にイベントを盛り上げましょう!🎉


基本的に今後も記事は無料で公開していきます。今後もデザインに関する様々な書籍やその他の参考文献を購入したいと考えておりますので、もしもご支援いただける方がいらっしゃいましたら有り難く思います🙋‍♂️