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崇城大学の起業家育成プログラムについて

最近日本国内の大学の起業家育成プログラムのリサーチをしている。当面の目的としては、各大学がどのようなカリキュラムを提供しているのかという全体像をつかむことにある。なぜこんなことをしているのかというと、個人的に将来この起業家育成プログラムに関連した事業になんらかの形(生徒として、メンターとして)でも参加して行きたいと考えているからだ。

現在は、留学をする前に通っていた大学の教授(ほぼ友達)と一緒に簡単なリサーチをして報告会をしあっている状況である。教授が日本語を絶賛勉強中なので、各大学のホームページや起業家育成プログラムの説明欄を日本語と英語の両方とで閲覧しているのだが、英語の情報の量が圧倒的に少なく、日本語においても起業家育成プログラムに関する情報は限られている。

有名どころの国立大学や私立大学には、似通ったプログラムがあることが多いようではあるが、実際にプログラムの内容を知るための情報は、内部の人に限られているようで、ほとんどの場合有益な情報を得ることができない。実際のスポンサーがつき易い(?)このようなプログラムにこそ、高等教育を修めた留学生を招待して、多様な思考パターンやディスカッションを通して、早いうちから日本初のプロダクトやサービスを日本国内だけに留まらないものにする戦略を立てる訓練をすることができるように感じるのに、現在の状況は少し残念に感じる。

興味深かったのは、色々とリサーチをした結果熊本県に本拠地をおく崇城大学に中々面白い起業家育成プログラムがあることを発見した。加えて、他の大学では中々発見することのできなかった日本語・英語両方でのプログラムの詳しい説明が閲覧可能であることがわかった。
調べた限りでは、この崇城大学の起業家育成プログラムは、日本国内において最初のプログラムの1つであるらしい。

熊本県民としては中々に嬉しい発見であったものの、熊本の経済状況や企業が従事する事業内容を考えてみると、優秀な人材を集めることには苦労しているのではないかなど考えていた。何れにしても、このようなプログラムを通して、熊本県内に経済を上手く循環させるエコシステムを構築しようとしているプランに対してはかなり感動している。今回は、崇城大学のサイト上から得ることのできる情報をもとに、起業家育成プログラムの全体像とそれを取り巻く組織との関係を表すエコシステムマップを製作した。これを通して、このプログラムが一般に広まるきっかけになれば良いし、自分がこのような事業に関わる為には何ができるのかを思慮するきっかけになれば良いとも思う。

エコシステムマップ

これが、エコシステムマップの全体像である。
教育機関のサービスのデザインは、個人的には医療に次いで興味のある分野である。アメリカの大学の教授と自分が卒業したデザインプログラムの改善案を考案するプロセスに少しの間参加させてもらったことがあったが、実際に提案された案が承認され実行されるプロセスは、亀よりも遅く、鉄よりも頑固である。時には考え出した案を丸ごと無視されることもあることを目の当たりにした。

一見するだけでは、情報を咀嚼しずらいのでこれからステップに分けて説明して行きたいと思う。

崇城大学と参加者

このパートはかなり文字通りだと思う。
崇城大学は、工学部、情報学部、薬学部、芸術学部、生物生命学部の5つの学部から構成されている。崇城大学の学生、教授はそれぞれの学部に所属している。崇城大学における起業家育成プログラムは、特定の学部には所属していない。


起業家育成プログラムと主要な構成要素

プログラムがどの学部にも所属していない特性に基づき、崇城大学のどの学部の学生でもこのプログラムに参加することができる。プログラムの内容は、主にイノベーションや起業に関するビジネス講義、起業に関する課外活動、そしてSOJO Venture Labの3つの要素から構成されている。


プログラム主要構成要素間の関連性

始めに、ビジネス講義は、大学の教授によって提供される。講義の内容としては、おそらくビジネス・起業に関する基礎知識を深めるためのものであると考えている。

次に、起業家育成プログラムの参加学生は、これらの講義で身につけた知識を課外活動の中で実践していくことが求められる。内容としては、起業合宿やシリコンバレーツアーが含まれる。

最後に、主要構成要素の中でSOJO Venture Labが最も重要な役割を果たしている。起業家寮などの施設を提供する一方で、このラボは、サンフランシスコにオフィススペースを確保している。調べたところによると、サンフランシスコベースのデザインコンサルタント会社であるbtraxが提供するDHAUSというサービスを使用しているようだった。加えて、スタンフォード大学+d.schoolなどとどうのような形の連携をしているのかまではわからないが、エコシステムの一部として含まれていることはかなりの驚きである。


崇城大学ビジネスプランコンテスト

崇城大学ビジネスプランコンテストは、この起業家育成プログラムの中で最も重要な要素の1つである。参加学生はこのコンテストにチームで開発したビジネスプランや実際のプロダクトのプロトタイプを提出することができる。このコンテストは、崇城大学もしくはbtraxが提携する実際の投資家によって評価される。プログラムに参加する学生以外にも、ワサモンのまちづくりやSOJO Venture Kidsに参加している一般からのコンテストへの参加も可能である。崇城大学を構成しているエンジニアリングと芸術(またはデザイン)系の学部に、このビジネスの観点を付け足すことには非常に大きな意味があると考えている。実際のプロダクトのコンセプトを形にできる彼らにとっては、重要な経験になるはずだ。


スタートアップ輩出と地元組織との連携

崇城大学ビジネスプランコンテストで良い評価を得ることができた学生は、そのアイデアを実際のスタートアップへと昇華する機会を得る。これらのスタートアップには、崇城大学が提携する投資家、地元企業、熊本県、熊本市といったスポンサーがつく。

現段階で実現されている部分や将来的な発展を含めたこのエコシステムを見た感想としては、とても面白いというのが正直な感想である。自分は、大学でベンダーとしてのデザインを仕事を大学でインターンシップを通して学ぶことができたものの、この起業家育成プログラムのように実際に自分でプロダクトやサービスを考案する機会がもっと多くあればさらに楽しかったように感じる。

個人的には、これらのプログラムに海外から留学生やスピーカーを招待することができればより面白いかもしれないという考えが浮かんだ。特にソフトウェア関連のプロダクト・サービスには、海外のマーケットに展開をできる可能性は大きくある。地方でスタートアップやキックスターター事業の内容を見ていると、地元の特産物、文化、観光資源をさらに経済活動に利用とする試みが多いように感じる。それはそれでいいことだと思うけど、それだとあまり将来的に未来がないし、現在の市場経済活動に利用された「文化」などに人類学的・考古学的観点からみるとかなり虚しい。

この辺の話は別の機会にまた個人的な考察を深めることができたらと思う。

そう言えば英語版も書きました。

基本的に今後も記事は無料で公開していきます。今後もデザインに関する様々な書籍やその他の参考文献を購入したいと考えておりますので、もしもご支援いただける方がいらっしゃいましたら有り難く思います🙋‍♂️