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[Tumblrからの移行記事]八百屋的花屋をつくる

こちらの記事は以前Tumblrに掲載していたものです。
<初出:2017年3月26日>

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フローリストは、花のことをしっかりと学んだ上で、花を扱うことが求められる職業です。料理人が、肉や野菜といった素材のことを理解して、調理するように。
しかし、昨今のフローリストは、花自体のことを学ぶ以前に、花を束ねたり、アレンジすることにガムシャラになる人が多い気がしています。たしかに、フローリストは、お客さんの想いを汲み取って、形にすることが最大の魅力であり、やりがいとも言えるので、その気持ちが分からなくもないのですが。

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フローリストとして、花をアレンジすることはもちろん大切ですが、ぼく自身、店(ex. flower shop & laboratory)でお客さんと会話していると、「花のことを知りたい」人が数多くいます。特に、プレゼント用ではなく自宅用の花を買いに来た人はなおさらです。花を自宅で飾っている人は、花のことが好きだと思うので、好きであるゆえに知りたいのでしょう。そのニーズに既存の花屋はちゃんと応えられているか?というのは業界の課題の一つだと思っています。

もちろん、花屋が、花の「知識」と「技術」を両立できるのが理想なのですが、現実はなかなかうまくいっていないのがぼくの理解です。BOTANICもスタッフ一同、花のことを学ぶことを大切にしていますが、日々の業務に追われて(これも重要な業界課題)、なかなか満足いくようにできていません。また、学ぶべき知識にも幅があると思っていて、お客さんが知りたい知識と、花の技術に必要な知識は必ずしも一致しないのです。「八百屋に必要な知識と、料理人に必要な知識は同じではない」と例えたら分かり易いかもしれません。

前置きが長くなりましたが、今回、BOTANICが始めた「霽れと褻」というブランドは、「料理屋」ではなく、「八百屋」的なサービスです
旬のお花と同梱する「新聞」は、花そのものを好きな人、興味がある人が楽しんでもらえるように、花屋のぼくたちが情報を集め、心をこめて執筆、編集しました。花業界は商流が長く、これを全否定する気はありませんが、プレイヤーが絡むほど情報は歪みます。なので、霽れと褻では、農家さんを直接取材し、情報の純度、正確性にこだわっています。そのため、近所の花屋で聞く情報よりも信憑性が高いし(頑張っている花屋は別!)、WEB上の情報よりも温かみがあると思っています。

新聞がどんな内容か気になる人のためにも、内容を一部。このページはちょっとマニアックなページですが、飾り方や楽しみ方、梨元さんとの対談など、気軽に楽しめるページもあります。

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一応追記しておくと、ぼくは「料理屋」としての花屋を諦めたわけではなく、そちらも大好きなので力を抜くつもりはありません。がんばります。

※本記事は2017年3月26日に投稿したものです。BOTANIC代表退任に伴い、現在、ぼくは当社の運営に携わっておりませんが、いちファンとしてその成長を応援しています。

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