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【詩】惚れた手

あなたの長い指が好きだった
あんなに素敵な手には なかなかお目にかかれない

ペンを持つ手に うっとり見とれる
ていねいにゆっくりと物を扱う手に 見惚れる

何の手入れもしていないから
指先はささくれだっているし 爪も切りっぱなし
年相応の年季が感じられて お肌はガサガサ
だけど 長い指がすらりと伸びて
手の甲に浮かぶ血管が たまらなくセクシー

ひとつひとつ 思い返せば
なんて好きなところだらけだったんだろうと 驚く
どれだけ惚れていたんだろうと 改めて理解する

つい手が出て 愛しく撫でていたら
「普通のおじさんの手だよ」と照れ笑いしながら
引っ込めるでもなく そのままじっとしていてくれる

そんなところも 今思えば たまらなく好きだった


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