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映画評論12「そして、バトンは渡された」

続けての映画評論です。
本屋大賞にも選ばれた瀬尾まいこさん原作の作品です。

作品情報

そして、バトンは渡された:2021/10/29 公開
視聴日:2021/11/4

監督: 前田哲
脚本:橋本裕志
出演:永野芽郁、田中圭、岡田健史、安藤裕子、戸田菜穂、石原さとみ、大森南朋、市村正親

ストーリー

血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子(永野芽郁)と、その親たちを描いた物語です。
優子はわけあって料理上手な義理の父親、森宮さん(田中圭)と2人暮らしをしています。将来のこと、恋のこと、友達のこと、うまくいかないことばかりですが、笑顔で強く生きています。
一方、梨花(石原さとみ)は、何度も夫を替えながら自由奔放に生きている魔性の女。泣き虫な娘のみぃたんに目いっぱい愛情を注いで暮らしていたが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまいます。

優子の元に届いた一通の手紙をきっかけに、まったく別々の物語が引き寄せられるように交差していきます。
親たちがついた「命をかけた嘘」から、本当の家族のつながり、家族の愛情を考えさせられる素晴らしい作品です。

感想

親が死んだ。
親が離婚した。
一般的には、悲しい、不幸なできごとだと思います。

だけど、何が幸せで、何が不幸せなのか。
これは、他の誰かが決めることではないのだと思います。

日本人は何かあると、すぐにレッテルを貼りたがるけど、本当のところなんて、結局本人にしかわかりません。

少なくとも優子ちゃんは自分を不幸だとは思っていないと思います。

そして、優子ちゃんの親たちも、本当に彼女を愛していることが伝わってきます。

親の愛は深い。
誰もが聞いたことのあるフレーズでしょう。

このフレーズから、僕はなんとなく、血のつながった親子をイメージしていました。
これも思い込み、レッテルですね。
でも、本作を見ていて、必ずしも血のつながりはなくてもいいのかもしれないなと思いました。

身近なところにも、血のつながりはないけど、愛情にあふれた親子はいます。
実の子供を殺した親のニュースは、誰もが聞いたことがあるでしょう。

僕はまだ親になったことはないので、実際のところはわかりません。

でも、血のつながりよりも大切な何かがあるのかなと、少しうれしいような気持ちになりました。

自責か他責か

あいつが、あの子が、お隣さんが、
他の人のことばかりを気にして、他の人のことばかりを話す人がいます。
自分以外に対する愚痴ばかり言っている人がいます。

一方で、自分と、自分の未来のことを考え、そのために行動する人もいます。
自分の責任で考え行動し、失敗してもそれを受け止め、未来のために努力をする人がいます。

どちらのタイプもまわりにいるでしょう。
パッと見そんなに大きな違いは感じないかもしれません。

だけど、この少しの考え方の違いは、いつか途方もなく大きな差を生み出します。

他責で生きるか
自責で生きるか

よく言われることですが、これを本当に意識している人はそんなに多くないのかなと思います。

自分でも気がついていない人が多いなと感じることも多いです。

他責、つまり何かの問題の原因を自分以外に求める人は決して成長しないと思います。
極端は話をすれば、新型コロナが猛威を振るっていることも、あなたの責任です。

これは考え方の問題です。
何かが起こったときに、自分以外の誰か、何かのせいにする人は、そこでその問題に対してのアプローチを終了します。
自分は関係がなかった、ということです。

ですが、あなたの生きる世界において、あなたに関係のないことなどないはずです。
例え他人が起こした問題だったとしても、それに対して、事前に想定することはできなかったでしょうか。
事前に想定することができれば、何か予防策をとることができたのではないでしょうか。

少なくとも、このような考え方ができる人は、まわりで起こるすべての問題に対して、自分事として、自主的に向き合うことができる人です。

こういう人はどんどん成長していきます。

本作で優子ちゃんは、どんなときも笑顔で、自分と向き合っています。
そんな優子ちゃんはとてもカッコいいです。

そして、優子ちゃんの親たちも同じです。
それぞれにいろいろな事情があり、いろいろな思いがあったはずです。
普通なら、文句を言ったり、怒ったりしても当然だなと思う状況です。

だけど、誰かのせいにせずに、みんな自分と向き合い懸命に生きています。
だからこそ、血のつながりのない優子ちゃんに対しても、本当の親のような愛情を注げるのだと思います。

誰かを本当に思いやれるように。
そのために、自分としっかり向き合って生きていきたいなと思います。

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