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第18回ショパン国際ピアノコンクール:7/12予備予選出場者(一部)について

 本日より待ちに待ったショパンコンクールが始まる(ヘッダーはExcerpt from Chopin's Etude Op.25 No.1、出典:Wikimedia Commons)。最近、気になる出場者とそのYouTubeについて調べてみた結果をnote(前編後編)で紹介したが、一点反省している点がある。それは女性の出場者を紹介せずジェンダーバランスに欠けていた点で深く反省している(意図的に選ばなかった訳ではなく、ひとえに私の勉強不足である)。
 ショパンは男性だが、女性のChopianist(私の造語;どなたかも言っているかもしれない単純な語呂合わせで申し訳ない)も素晴らしい方がたくさんいると思っている。7月2日にカワイ表参道のサロンで聴いた小林愛実さんのショパンは、その表現力の素晴らしさにすっかり心を奪われたばかりだ。
 差し当たって、本日の出場者(の一部)について調べた結果を簡単に備忘録として書き留めたい(空き時間に随時更新するかもしれない・・・)。

① Ms. Leonora Armellini (Italy)

 本日トップバッターを務めるLeonoraは、18歳の時に2010年の第16回ショパンコンクール(以下「ショパコン」と略す)に出場し、本選3次(20人が参加し、ファイナルには10人が参加)まで進んでいる。以前の前編で紹介した同い年のNikolay Khozyainov(2010年のファイナリスト)と同様、11年ぶりにショパコンの舞台に戻ってくるというのが胸が熱くなる。
 1次では、練習曲Op.10-11Op.10-4ノクターンOp.27-1スケルツォ第4番Op.54、2次では、マズルカOp.33-2バラード第3番Op.47ノクターンOp48-2等を弾いている。18歳とは思えない表現力に聞き惚れる。特に2次のノクターンが素晴らしかった。3次のソナタ第3番Op.58アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズにも感動した。何れもShigeru Kawaiで弾いているところが珍しいし(ショパコンはYとSを弾く奏者が大半である)、そのきらきらした音色にも聞き惚れる。
 (追記)トップバッターだったが、緊張は見られず自信をもって弾く姿が印象的。YAMAHA使用。

② Mr. Luigi Carroccia (Italy)

 Luigiは、エリザベート王妃音楽院(Queen Elisabeth Music Chapel in Waterloo)に在籍する30歳。これまでに日本含む8か国での演奏経験を持つ。2015年の第17回ショパコンで本選3次まで進んでいる。本選1次では、予備予選で弾いた曲のなかより、舟歌、ノクターンOp.62-1、練習曲Op.25-10、練習曲Op.25-11「木枯し」を弾いている。2次ではポロネーズ第7番「幻想」、バラード第2番Op.38ポロネーズ第6番「英雄」、ワルツ第1番Op.18を弾いている。ショパン好きの私はショパンの曲の美しさは弱音部分に宿ると思っているので、彼のその弱音の美しさに聞き惚れる。
 3次は、初日のトップバッターだったが、手の怪我で欠場。回復したのか最終日の最後に演奏した。最初に弾いている即興曲第2番Op.36では、怪我のことが気になっているのか、2次までの演奏と異なり、少し緊張しているように見える。マズルカOp.30-1Op.30-2Op.30-3Op.30-4を弾き終えたら、疲れたのか退場してしまい、会場がざわついたようだが、しばらくして戻り、最後の大曲である24の前奏曲(15番「雨だれ」24番)を弾き終え、満席のホールから聴衆の大きな拍手が起こった(参考文献:p.91サラサーテ12月号増刊「第17回ショパンピアノコンクール全記録」, 2016年)。彼はYAMAHAのピアノを使用。
 前回の演奏を予備予選から3次まで聞いてみて、今回のLuigiの演奏が楽しみになった。今回はノクターンOp.27-2、舟歌、マズルカOp.50-2、Op.50-3、練習曲Op.25-5、練習曲Op.25-11を弾く。2015年のプログラムのうち、練習曲を2曲にし、マズルカを増やしている。

③ Mr. Andrzej Wierciński (Poland)

 Andrzejは19歳の時、2015年第17回ショパコンで本選2次まで参加しており、今回は再び挑戦組。本日7/12に聴いている最中に、情感のこもった演奏に惹きこまれたため、ここに書き留めておくことにした。前回は予備予選免除で本選1次から参加している。1次で弾いた曲はノクターンOp.9-3(美しすぎる)、練習曲Op.10-10練習曲Op.25-11スケルツォ第2番Op.31と、今回の予備予選の曲は全くかぶっていない。2次では、バラード2番Op.38スケルツォ第3番Op.39ワルツ第2番、ワルツ第3番、ワルツ第4番、ポロネーズ第6番「英雄」(とても凛々しい)を弾いている。
 彼も2021年5月のエリザベート王妃国際音楽コンクールに出場し、1st Roundで、2曲目にスケルツォ3番Op.39、3曲目に練習曲Op.25-11を弾いていたが、これも今回の予備予選の曲ではない。

④ Mr. Hyounglok Choi


 以前のnoteの①に詳述

⑤ Mr. Federico Gad Crema (Italy)

 本日7/12、イタリアからの3人目の出場者。彼は初出場(7/12は再出場者が多かった)。YouTube動画の中では、彼のショパンは、昨年5月のコンサート(バッハ、ベートーヴェンの後、ショパンの練習曲Op.10-12、練習曲Op.25-10、スケルツォ第3番Op.39を演奏)と、昨年9月にローマで開催されたフェスティバルで演奏された24の前奏曲Op.28しか見当たらなかった。






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