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第18回ショパン国際ピアノコンクール:7/20予備予選出場者(一部)について

 予備予選9日目。ショパコン以前より、日常生活の中でほぼ毎日ショパンを聞いてきたが、予備予選期間中は(予備予選で指定されている)課題曲ばかりを聞くことになるため、普段あまり聞いていなかったマズルカにも親しみを覚え、独特の旋律やリズムを楽しんで聴けるようになってきた(今回のショパコンに備え、マズルカ全曲(57曲)演奏しているルービンシュタインとNikolay KhozyainovのYoutTubeの演奏を10数回リピートして拝聴;マズルカは本選3次で再び課題曲(p.9参照)て登場)。(ヘッダーは、Żelazowa Wola - Chopin's house, 出典:Wikimedia Commons)
 昨日はMozartの生まれ変わりみたいな雰囲気のYangyang Ruanの音色、ショートカットの似合うXuanyi Maoのバラードが気に入った。気になって調べたところ、Yangyang Ruanは英才教育で有名なカーティス音楽院でマンチェ・リュウ(小林愛実さんと同じ)に師事し、Xuanyi Maoは北京音楽院で学びながら、フランスの名ピアニストPascal Rogeにも師事している。どこで研鑽を積み、誰に師事したかで音色が豊かになっていくのだろう。。
 夜はいったん寝て、3時過ぎに起きて反田恭平さんを聞いた。ノクターンの1音目からSolita Worldに惹き込まれ、深夜の眠気も一気に吹っ飛んだ。彼の奏でる澄んだ音色は天上の音楽のように優雅で、複雑な和音も響きを濁らせることなく真に美しかった。続く練習曲、マズルカでは別の表情が見え、最後のバラードは静寂と激情の要素がドラマティックに表現されていた。この30分はコンクールであることをすっかり忘れ、ただ聴き入り、改めてショパンの音楽の美しさや繊細さをしみじみ味わった。演奏後は拍手が鳴りやまず、再登場。16日のMorning SessionのトップだったNikolay Khozyainovの時も拍手が止まず、ピアノの前方に再登場したことを思い出した。
 本日は7月16日以来、私が個人的に注目する出場者が集中する日で、以前のnoteにも一部の出場者について記載しているが、こちらでその他の出場者情報を追記しておきたい。時間的制約あり、午前の部に留める。

① Mr. Alberto Ferro (Italy)

 以前のnoteの⑫で詳述。2日ほど前の彼のインスタストーリーでワルシャワ入りをしているのを見て、ワクチン接種が進むEU内の移動や措置が平常時に戻りつつあることを感じた。

② Mr. Georgijs Osokins (Latvia)

 以前のnoteの⑬で詳述。彼の個性あふれるショパンの解釈や強い信念を持っている姿に惚れて、かなり熱く語った(笑)

③ Ms. Szuyu Su (Chinese Taipei)

 Szuyuは17歳の時、2015年の第17回ショパコンで予備予選まで進んでいる。さんざん他の演奏を見てきた後だからかもしれないが、17歳の若さで緊張していたのかもしれないが、テクニックの面、表現力含めてもう少し探求が必要なのかなと感じた。最新の演奏動画でショパンを2曲弾いているが、今回の予備予選で弾くものではない。

④ Mr. Hayato Sumino (Japan)

 特別の思い入れのあるピアニストのため、別記事でプログラムの曲の背景と演奏後の感想を残す予定(だが、演奏後、気持ちを落ち着かせて文章を纏められるなら・・・)。

⑤ Ms. Aleksandra Swigut (Poland)

 Aleksandraは1992年生まれ。彼女については、日本語でのプロフィールと代表的なYouTube動画(15の内、ざっと見て6つほどはショパンの演奏)が紹介されているサイトがあり、第47回ポーランド全国ショパン・ピアノコンクールで第2位など国内外のコンクールでの多数の入賞歴を持つ。

⑥ Mr. Marcel Tadokoro (France)

 田所マルセルさんは1993年生まれ。最近では2021年のモントリオール国際音楽コンクールピアノ部門でファイナリストに選ばれており、ファイナル(5月10日から13日まで4日間開催された)の3曲目(14'00"から)に、今回の予備予選で弾くバラード第1番Op.23を弾いている。端正でさわやかな音色が耳に心地よい。
 モントリオールと同時期、2021年5月のエリザベート王妃国際コンクールも出場している。1st Round(7月14日にアップロードされた)ではショパンを弾いていない。2019年には第13回ラニー・シュル・マルヌ国際ピアノコンクールで優勝している。同年の浜コンでは2nd stage(ショパンは弾いていない)まで進出している。このように国際コンクールの出場、優勝含む入賞歴を豊富に持つ。

⑦ Ms. Rikono Takeda (Japan)

 竹田理琴乃さんは2015年にポーランド国立ショパン音楽大学を首席で卒業。国内を中心に国際コンクールでの入賞歴もある。日本語のプロフィールは2021年3月にカワイ表参道で開催されたコンサートの中で見られる。
 21歳の時、2015年の第17回ショパコンには予備予選、本選1次まで出場した経験を持つ。予備予選の練習曲3曲を聞くと、音の粒が揃っており、完成された演奏に思えた。今回の予備予選では、前回弾いた練習曲Op.25-11「木枯し」以外、全ての曲を入れ替えて心機一転臨む(前回の本選1次の練習曲Op.10-4(Shigeru Kawaiで弾いている)はこちら)。
 最近のショパンの演奏動画を見つけることはできなかったが、2019年のリストのハンガリー狂詩曲第12番の演奏は見られる。

 あと、4時間で9日目の予備予選のMorning Sessionが始まる。それまでにやるべき仕事を片付けたい。

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