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「蝶の羽音がききたい」の解説のような

冬は、思っている以上に太陽の影響の下に生きているのだな、
と部屋にいるとき、
ふと雲に隠された太陽が故、覆った影の深さに驚き、
書いた詩です。


【雲が一瞬
 太陽をかくす
 君がいないことが
 こういうことであったなら
 良かったのかな

 蝶の羽音をききたいんだ
 心臓も深く黙っておくれ
 星のさよならを聞き逃したくないんだ
 世界の鼓動も そっと黙って
 君がいない静けさに慣れたくない

 君の傷のひとつくらいは
 わたしだったかな

 どうしても心が呼ぼうとするから
 君の名前をひっくり返すから

 わたしはその首を絞めて言うよ
 青い空に陽がかえるように

 君が好きだって
 さあ】

雲は一瞬で去っていきました。
部屋はいつもの明るさを取り戻し、
だからこそ、
あの薄暗い時間が鮮明に残りました。

あれほどにあっけない薄影が、
私にもたらしたもの。

それはとても不思議な感覚でした。

影の中にいるとき、
私は静かに絶望と話をできるような気がしました。

そんな心が書いた詩です。

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